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http://blog.goo.ne.jp/ichimurasan2006/e/88aeaffbffe47fcbfc09ef74f1cfac7c 2003年に出版された養老孟司氏の『バカの壁』は400万部を超える大ベストセラーとなり流行語大賞にも輝いた。
その冒頭に「NHKは神か」というくだりがある。NHKは「公平・客観・中立」を報道のモットーにしているが、
そんなことは神でもない限りありえない、あると考えるところに「バカの壁」は存在する。
養老氏は「バカの壁」の代表例としてNHKを批判した。
フーテンも長年取材をしてきたが、どれほど「公平・客観・中立」を目指しても、それが達成されたかと問われれば自分では分からない。
それこそ神様に判定してもらうしかない。結局は自分が知りえた範囲でしか報道はできないのである。
従って様々な人間が様々な角度から取材し、多様性のある情報が国民に提供されない限り、
「公平・客観・中立」の報道は実現されないとフーテンは考えた。世界のメディアもそうした考えでテレビの多チャンネル化を始め、
さらに多メディア時代を到来させた。
ところが来年NHKの会長に就任する籾井勝人氏は記者会見で、「公平中立、不偏不党を確実に実行する」とか「放送法第1条に回帰する」と語った。
放送法第1条は、放送が公共の福祉を目的に不偏不党を求めているが、それが時代遅れであるという批判は昔からある。
フーテンが郵政省担当記者の頃、「世界の流れは多様性にあり、放送法第1条は改正するのが本当だが、そうさせない勢力がいて困っている」
という官僚の話を聞いた。そうさせない勢力とは「既得権益」の事で、NHKを筆頭とするテレビ界、さらに民放と系列関係にある新聞社の事を指す。
籾井氏はおそらくメディアの事は何も知らないのだろう。何も知らない「アマチュア」だから会長に選ばれた。
「政治アマチュア」だからこそ都知事に後継指名された猪瀬氏と同じである。素人なら操りやすいし、いつでも使い捨てに出来る。
それが永田町とNHKの双方にとって都合が良いのである。
だからNHKが用意した通りの記者会見を行った。また籾井氏は週刊誌のインタビューで報道の中身に踏み込む発言を行った。
「テレビの報道はみなおかしい」と言ったのである。おかしいという点はフーテンも同感だが、中身はフーテンと違っていた。
政権の方針に反対する人に批判的なのである。
特定秘密保護法や原発再稼働に反対するデモをメディアが好意的に報道しすぎると考えているのである。
実はアメリカのテレビが変わるきっかけとなったのはスリーマイル島の原発事故であった。
それまでアメリカのテレビには「公平の原則」があり、政治的に対立する問題は必ず双方の意見を放送しなければならなかった。
日本の放送法第1条と同じ趣旨である。従って原発問題で反対の意見だけを放送する事は許されなかった。
ところが現実にスリーマイル島で原発事故が起きた。地元の放送局は「原発反対」の番組を作る。
それが「公平の原則」に反するとして問題になり論争が巻き起こった。女性の政治団体が原発反対の放送を認めるよう訴訟を起こし、
連邦最高裁は最終的に「公平の原則」は「表現の自由」に反するという判決を下した。
ケーブルテレビなどの普及で放送局の数が飛躍的に増え、一つの番組の中で必ず両方の言い分を流さなくとも、
国民は多様な意見をメディアから受け取ることが出来ると判断されたからである。こうしてアメリカでは1987年に「公平の原則」は廃止された。
デジタル技術の発達もあってアメリカでは多チャンネルと多メディア化が促進された。
ところが同じ頃に日本ではBS放送という世界のどの国もやっていない衛星放送がNHKに認められ、
それに伴いNHKは株式会社を子会社に持つことが許可され、財政的に豊かになった。世界の流れとは逆に日本の放送界はNHKへの一極集中が進行した。
さらにこの国の構造が他国と違うのは、NHK予算が国会の承認を必要とする事である。
つまりNHKにとって国会は民間企業の株主総会に当たる。数の多い与党が大株主という事になる。
大株主の意向に企業が逆らえないように、NHKは政府与党に逆らえない仕組みになっている。それを国民に察知されると、
「広くあまねく」支払ってもらわなければならない受信料に影響が出かねない。
そのためNHKは「公平中立、不偏不党」をことさらに強調して国民の目を欺こうとしているのである。
国家権力が国民を洗脳するには多メディア化より、与党に逆らえないNHKを肥大化させる方が良い。
衆愚にその報道を「公平中立・不偏不党」と思わせれば万全である。
国会ではろくに議論をせず、数の力で押し切った後にメディアを使って国民を洗脳する。
この臨時国会からそういう政治が始まった。そういう政治のためにNHKは協力させられる。ご褒美はNHKの肥大化である。
しかしそれは特定秘密保護法と同じように世界の流れに逆行する事だ。しかしこの国の「バカの壁」はそれをそう思わせない。ああ「バカの壁」。
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