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衆愚が選ぶ政治のアマチュア
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/12/19)」★ :本音言いまっせー
猪瀬東京都知事が辞任を表明した。フーテンが「速やかに辞任すべし」と書いてから1か月近く経っての表明である。一体この1か月は何のための1か月だったのだろうか。猪瀬知事は記者会見で「出来る限り説明しようとした」と強弁したが、説明は二転三転しただけで、疑惑を深めただけの1か月である。
公職にある者が表に出せない金を受け取ったのは事実なのだから、金の性格がいかなるものかを説明するより、受け取った不明を恥じて即刻辞任すべきであった。ところが裏金を受け取ったことについても「政治のアマチュアだった」と弁解を繰り返した。
厚顔無恥をさらけ出したのは「一人の作家、都民として、都政を見守り恩返しをしたい」と語ったくだりである。ここまで来て作家に戻れるとでも思っているのだろうか。1か月前にフーテンは「速やかに辞任して作家に戻り、自らの恥部も含めて政治の裏側を書き残す事が国民のためになる」と書いたが、醜態をさらした後になれば猪瀬氏が書いた文章など誰も信用できる筈はない。
もっとも猪瀬氏は志の低い出版社が数多くあることを知っているから「作家としてまだ食える」と思っているのかもしれない。そうだとすれば一連の騒動はこの国のあらゆる部分が劣化している事を象徴的に示す事件だったと言えるかもしれない。
20年ほど前にフーテンは、ワシントンにある政治専門チャンネルC−SPANを真似て、
日本にも国会TVという専門チャンネルを作ることを国会に提案した事がある。その構想が政治家に知れるようになると様々なところから「会いたい」という申し出を受けた。まずは政治家のタニマチと言われた事業家からの申し出である。
仲介役の政治家から「あなたの構想に共鳴しているので会った方が良い。派閥の領袖クラスが皆お世話になっている人だから間違いない」と言われて困惑した。直接に会って協力を申し出られれば断ることは難しい。そして協力を受け入れれば構想は政争に巻き込まれる恐れがある。様々な理由を付けて面談を断り、それが原因で仲介者の政治家と絶縁状態になった。
政界の大物からも資金提供の申し出を受けた。「ご厚意はありがたいが、政治家を引退してからでないと受けられない」と断ると、「俺の話を断るのは珍しい。しかし世間はそれほど甘くないぞ」と説教された。「ポケットマネーで5億円出すから会社を作れ。君が社長で俺が会長」と言う財界人もいた。それも断ると「君は商売を知らん」と怒られた。
そのせいかフーテンの国会TV構想はうまくいかなかった。「資金提供を受けておけばよかったのに」と言う人もいたが、タニマチも大物政治家も後に東京地検特捜部に逮捕された。政界は一寸先が闇なのである。
猪瀬氏は「政策について一生懸命やってきたが、政務については知らなかった。政治のアマチュアだった」と語ったが、そのアマチュアに史上最高の票を与えたのは東京都民である。これを衆愚と言わずして何を衆愚というのか。ポピュリズムの蔓延がこの馬鹿馬鹿しい騒動の源にある。
大体が「利権の塊」であるオリンピックを聖なる事業とでも言いたげにもてはやす衆愚がいる。オリンピック招致を打ち上げれば、その利権のおこぼれにあずかろうとする業者が政治家や関係団体に献金を行うようになる。招致が実現しようがしまいがそれで利益を得る人間が出てくる。それを狙ってオリンピック招致を打ち上げたのが石原慎太郎前知事だとフーテンは見てきた。
「政治を知らないアマチュア」だからこそ猪瀬氏は石原氏の後継に指名された。そして実現する筈のないオリンピック招致の旗振り役をやらされた。ところが中東情勢が緊迫化した事もあり、本命のイスタンブールが消え、東京が開催地に決まった。そうなると「政治のアマチュア」に都知事を任せる訳にはいかない。徳洲会事件で真っ先に猪瀬氏の名前がリークされた背景にフーテンはそうした事情を感じる。
都知事辞任で東京地検特捜部は猪瀬氏の捜査がやりやすくなった。東電病院を巡る贈収賄事件が動き出す気配である。国民の目をそこに引き付ければ東京地検は事件の全体像を隠すことが出来る。だから本命と見られていた石原氏は猪瀬氏に引導を渡す役割を演じた。スネに傷を持つ石原氏はこれから権力の言うがままになる。
そうした事を知ってか知らずか、猪瀬氏は辞任表明会見でこれまでとは異なりさばさばした表情を見せた。これも「政治のアマチュア」のなせる業か、フーテンの理解を越えた行動をこの1か月余り見せつけられた思いがする。
フーテンは「政策は誰にでも作れるが、政策を実現するのは政治家にしかできない」と主張してきた。ところがこの国の衆愚は「政策が大事で政局はけしからん」と、官僚にとって極めて好ましい事を言うのである。政治家に政策実現の主導権を握られたくないために官僚から流された洗脳情報を衆愚は鵜呑みにしている。
1票が足りないために政策が実現されない事がある。政策を実現するためには政局が大事なのである。その事を理解できないと猪瀬氏のような「政治のアマチュア」が衆愚によって政界に押し出され、それが日本を劣化させていく。
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