★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK158 > 191.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
偽りの民主主義  田中 良紹 
http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/191.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 12 月 19 日 00:01:00: igsppGRN/E9PQ
 

偽りの民主主義
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20131218-00030770/
2013年12月18日 15時4分 田中 良紹 | ジャーナリスト


浜野保樹著『偽りの民主主義』(角川書店)という本を読んでいる。敗戦後の日本の映画・演劇がGHQの指導の下で復興する過程を描いた本である。そこには「日本を民主化する」と称してアメリカが行った数々の「統制例」が書かれてある。

日本の映画人たちは終戦の1か月後に集められ、「戦前の日本の検閲はすべて廃止し、民主化に協力するものに限って製作の再開を認める」というGHQの方針説明を受ける。その方針は演劇、浪花節、落語、漫才、講談にも適用された。

GHQの担当官デイビッド・コンデは映画の素人だが、日本の映画界に絶対的な権力を振るうようになり、「検閲ではなくサジェスチョンだ」と言いながら事実上の事前検閲を行う。復讐劇が多い時代劇の制作を認めず、軍閥や財閥の横暴を暴き労働組合意識を高める映画を奨励した。また「キスは民主主義のシンボル」として映画にキスシーンの挿入を強要し、俳優に対する講習会まで開く。

8月15日を日本人は「終戦」と思っていたがアメリカは違った。狂信的で好戦的な日本人を洗脳しなければ占領軍は日本人から襲われるという恐怖心からアメリカは心理作戦を継続する。それが映画や演劇に対する「統制」となる。コンデの指導の下に黒沢明の『わが青春に悔いなし』や木下恵介の『大曾根家の朝』、今井正の『民衆の敵』など「民主主義を扇動する」映画が作られた。

戦後の日本でコンデが指導したのは映画だけではない。共産主義者であったコンデは労働組合の結成にも力を入れた。大映や東宝に労働組合が生まれ、それが後に米軍まで出動した東宝の大争議へとつながる。労働組合を作らせたのもアメリカなら後に争議を弾圧したのもアメリカであった。

コンデはGHQの民政局に所属したが、冷戦が始まると民政局は反共主義者のウィロビー率いる参謀二部と対立する。1946年、コンデは天皇の戦争犯罪を問う映画『日本の悲劇』を作らせたことから役職を解任された。アメリカは戦時中から天皇を中心とした傀儡政権を日本に打ち立てる方針を持っていたためである。『日本の悲劇』はフィルムのネガもポジもすべて没収された。

日本人の洗脳を遂行するGHQは、占領当初は日本にアメリカ映画だけを輸入させる方針でいた。しかしヨーロッパ映画の輸入も認めざるを得なくなると、連合国側の映画は認めたが、ドイツなど敵側の映画は禁止した。

そしてGHQはイギリスやフランスよりアメリカ映画が圧倒的に多く輸入される割当制を公布し、民主主義を広めると称して日本国内の映画館や劇場を接収し、映画だけでなく音楽や演劇の市場も占有しようとした。

「貿易は映画に続く」というのがGHQの方針であった。映画によってアメリカへの憧れを生み出し、アメリカの生活様式を普及させれば、アメリカ製品が売れるという考えである。映画で見たウェディング・ドレスを着るためキリスト教徒でもない日本人が教会で結婚式を挙げ、映画で見たクリスマスを日本人が祝うようになった。

日本は敗戦によって表現の自由が回復されたと思わせられたが、しかし占領の現実そのものを映画で表現する事は厳しく規制された。占領政策の妨害になるという理由で焼け跡の風景や横文字の標識、進駐軍施設を撮影することなどは許されなかった。

日本が独立すると日本の映画人は占領期に作れなかった映画を作ろうとする。原爆投下を扱った『長崎の鐘』や『原爆の子』、基地問題を扱った『混血児』や『赤線基地』などが作られたが、谷口千吉が監督した東宝映画『赤線基地』はアメリカの圧力によって公開が中止される。日本映画界は60年安保後に今村昌平が『豚と軍艦』を撮るまで米軍基地を自由に描く事が出来なかった。

1951年に日米安保条約が締結されると、ハリウッドはずるがしこい悪役という日本人のイメージを好転させなければならなくなる。そこで「日本女性とアメリカ人男性のロマンス」映画が次々に作られる。京マチ子、ナンシー梅木らが出演した『八月十五夜の茶屋』や『サヨナラ』などは、しかしいずれも日本人には受け入れがたい異国情緒に塗り固められていた。

こうした戦後の日本映画史を見てくると、民主主義を巡る日本とアメリカの関係は今も変わらないと思えてくる。一方にリベラルな民主主義を押し付けるアメリカがあり、もう一方にタカ派的な民主主義を押し付けるアメリカがある。その主張はまるで違うのだが、しかし両方とも目的は一つでそれはアメリカの国益を狙っている。

アメリカは時と場合でどちらが有利になるかによってそれを使い分けてくる。ところが日本はどちらかを正義と考える二つのグループに分かれて対立するのである。GHQから追放されたコンデが日本に舞い戻り、社会党の機関誌に連載していた事実などを知ると、戦後の保革対立にはアメリカの影を感ずるが、冷戦が終わってからもその構図は変わらない。

冷戦が終わる頃、アメリカの敵はソ連でも中国でもなく日本経済だった。その頃ワシントンで日本問題の専門家として活躍したロナルド・モース教授は私にこう言った。「地球上でアメリカと異質な国は日本、北朝鮮、キューバの3つだ」。思わず「ソ連と中国は違うのか」と聞き返したが彼はかぶりを振った。

日本の総理が「日本とアメリカは価値観を共有している」と発言するとき、私は言いようのない違和感を感ずる。アメリカはそう言わせる事が利益になると思えばそうするが、そうでないと思えば言わせないようにするだけの話である。

終戦の日のニューヨーク・タイムズ紙には日本という怪獣の牙を抜く米兵の漫画が掲載され、「怪獣は死んでいないので牙を抜く作業は永遠に続けなければならない」と書かれてあったと言う。日本人は終戦によって戦争は終わったと考えているが、アメリカの対日戦争はまだ終わっていないのである。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年12月19日 00:03:35 : rlq9AJwIYg
ケツ舐め民主主義もあります。

[12削除理由]:アラシ
02. 2013年12月19日 07:16:23 : SrmPqLSMME

GHQの日本人洗脳ってのは、戦前日本=悪、侵略国、軍国主義、抑圧社会、
これを解放したのがアメリカ、アメリカ軍=解放軍。ってゆぅ洗脳だな。

このGHQにより刷りこまれたGHQ史観、に忠実に従ってるのが糞左翼だ。
そのくせ、従米だの隷米だのゆーておる。わが身を振り返ってみょ糞左翼。

 アジアの大半を植民地にしておりながら、日本はアジア諸国に迷惑をかけた
とか、うそコクんじゃねぇ〜


03. 2013年12月19日 12:39:07 : 8lpzp31iAk
アメリカの対日政策が二律相反だったというよりも

アメリカの外交政策、日本への要求事項は第二次世界大戦後の劇的な国際情勢の変化により劇的に変更された。

1945年終戦時。日本を極東の弱小国にとめおき、軍隊を解体し民主的な思想を実現させようとした、これが現憲法のもとになっている。多少非現実的でも画期的な人権擁護、思想の自由、戦争放棄が書き込まれた。

第二次大戦終了後、ヨーロッパではたちまちソ連と占領政策をめぐって対立しベルリンの壁が築かれドイツ西部、西ベルリンを守る必要に迫られた。米ソ蜜月は戦争中だけだった。西ドイツを反共の砦の前線にする必要が起こった。

ハルノートでもわかるとおり中国の支配権をめぐって日米は決定的に対立したわけだがその中国でアメリカの傀儡国民党軍は共産党軍に敗れ1949年には台湾へ逃れた。アメリカにしてみれば何のために総力をあげて日本を倒したのかわからないとなった。

続いて、朝鮮半島で戦争が起こりアメリカは国連軍の名のもとに戦争を行い一時は中朝国境まで進んだが新共産中国の介入により跳ね返されやっと引き分けに持ち込んだだけだった。

アメリカでは反共産主義のレッドパージ旋風が吹き荒れ、その前戦に日本、西ドイツを立て、その復興を支援するとともにアメリカの指揮権の下、警察予備隊を発足させ再軍備をはかった。このときには日本に対して憲法9条を与えた時期とは全く違った政策政策をとっていた。

GHQやマッカーサーに確固たる方針があったわけではない。ころころ変わっただけだ。


04. 2013年12月20日 02:24:38 : QBrYpzDGwo
  日本が米国の影響を大きく受けているのは確かだが、昔から、「毛唐の奴ら」と言って憎む層は結構存在した。とにかく、世界中から多国籍の人間が集まった移民の国であり、国土も巨大であり、随分と国の形も違っていた。そこへ宣戦布告した結果の今日である。今更歯ぎしりしてもどうしようもないことだ。
   それにしても、現在首相はアジア歴訪し、日本の技術を輸出し、発展途上国や新興国を豊かにしようと企図している。発展した日本と同じ文化をイスラム系の国にも享受してもらいたいようであるが、これについては、国内では異論はないようだ。むしろ、クールジャパンとして評価されることを喜んでいる。
  戦前の日本も、冷たい土間で食事を作り、風呂も五右衛門風呂であり、トイレも外にあるため、脳卒中など珍しくなかった。家事をするたびにアカギレに悩む日本女性にとって、ダイニングキッチンや水洗トイレ、室内にある風呂は憧れだったと言える。プール付きとまでは言わないが、隙間風の入らない鉄筋の団地で幸せ感に浸り、「欧米に追い付け、追い越せ」と、必死に高度経済成長を目指したのである。その結果が、良くも悪くもアジアでも引けを取らない近代国家日本の姿ではないのか。それを否定することは出来ない。あの勢いがなければ敗戦後の立ち直りはもっと遅かった筈だ。未だに家の外の、蝿や蜘蛛の巣の張った暗い便所に戻りたいと思う者はなかろう。
  今、一応の文化的生活は整い、当時の欧米文化を追う意識は薄れて来たゆえに、衣食足りて再び、毛唐の奢りだとして一発喰らわせてやりたい、と思うようになったのか。
   米国の自動車産業や造船産業を凌駕し、今や日本は皆新車を駆使している。捻れば湯が出る。そうした文化的生活を経て、発展途上国へその恩恵を与えるべく、首相は走りまわっている。
   途上国が素直に先進国の技術を受け入れ、成長しようとしているように、日本もかつてはそうだったことを思い出すのがベストだ。
  米国さえいなければこんな日本にはならなかった、などと悔やんでいても仕方がない。ましてや国民一丸となった高度経済成長をして、欧米の文化を受け入れたのは糞左翼だ、などと返す刀で同じ日本人を罵ったところで得るものは何もない。
  


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK158掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧