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「原発ゼロ」を唱える小泉氏。経産省出身者が牛耳り“脱原発タブー”の空気を醸す安倍政権へのインパクトは十分。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131218-00011552-president-bus_all
プレジデント 12月18日(水)12時15分配信
「原発の使用済み核燃料(核のゴミ)を最終処分する場所は世界のどこにもなく、その状態で原発を動かし核のゴミを増やすのはあまりに無責任。日本は原発をゼロにすべき」――小泉純一郎元首相の主張はシンプルだが本質を突いている。
ケンカ上手で並はずれた発信力、突破力を持つ小泉氏が相手とあっては、原発推進派もやりにくい。安倍晋三首相も「小泉発言こそ無責任」と形ばかりの反論をしたが世論の共感は得られず、「このまま黙殺して、やり過ごすしかない」(官邸筋)というのが現状だ。
そこで首相に代わってケンカを買って出ているのが、元通産官僚の細田博之自民党幹事長代行(元官房長官)だ。
「『パンドラの約束』という映画が米国で上映され、見終わると半分以上が“原子力発電はどうしても人類に必要だ”と納得するらしい。日本でも来春に上映されるようだが自民党で上映してはどうか」
11月下旬、自民党の原発推進派の集まり「自民党電力安定供給推進議連」の会合で、議連会長でもある細田氏はそう提案した。
電力会社の業界団体「電気事業連合会」がホームページに掲載したこの映画の紹介によると、この映画の監督は「かつては反原子力の活動をしていたが、エネルギー・環境問題を理解するうちに、(CO2を出さない)原子力発電を推進することが1番効果的な解決方法だとの主張に変わった」という。
「CO2の排出は資源を枯渇させ、地球温暖化に恐るべき悪影響を及ぼす。こんな犯罪的な行為をしてはいけない」
会合で細田氏はそう前置きして「化石燃料の輸入を続けることは人類と日本経済に対する犯罪で、短絡的な小泉さんの発言はどう考えても正しくない」と切り捨てる一方、「党内には原発は絶対ダメという人もいる。それでは日本経済はダメになるのに理解していない」と党内の脱原発グループの動きを強く牽制した。
「首相は運転停止中の原発を再稼働するタイミングを見計らっているが、小泉発言で再稼働のハードルが高くなることや、自民党内の脱原発グループが安倍政権批判で動き出すことを警戒している」と全国紙の自民党担当記者は語る。
自民党関係者によると、自民党の新人議員ら約20人が小泉氏を講師に呼んで脱原発勉強会を旗揚げする見込みという。脱原発は首相にとって極めて厄介なテーマになりつつあるのだ。
「小泉氏は脱原発についての自民党内の勢力図を“五分五分”と話していたが、本音では脱原発だと思っている議員が多いのは事実。今は安倍首相に逆らえないから黙っているが、安倍政権の支持率が落ちれば、脱原発が政治の大きなテーマとして浮上してくる可能性は大きい」と若手議員は話す。
アベノミクスの成功で株高、円安が続いているうちはいいが、来年4月には消費税が8%に上がり消費の冷え込みが懸念される。もし株価が下がれば安倍人気は急落し、脱原発ムーブメントに火がつく恐れがあるのだ。
■石破、進次郎両氏が安倍氏に立ち向かう?
厄介なことに小泉氏は今後も脱原発を言い続けると宣言。しかも小泉氏が「脱原発新党はつくらない」と言っているため、小泉氏を反自民党の“謀反人”として攻撃することもできない。
小泉発言のインパクトの大きさゆえか、党内では「次期総裁選をにらんだ仕掛けでは」との臆測もささやかれだした。
「安倍首相は、昨年の自民党総裁選で石破茂幹事長を推した小泉進次郎氏を今秋の人事で復興担当政務官に据え政権内に取り込んだ。石破氏と進次郎氏がセットで首相に立ち向かうのを防ぐためだ。が、次の総裁選で、もし石破氏が“将来的には原発ゼロにする”と脱原発に舵を切ったら、争点は脱原発になる。人気者の進次郎氏が石破氏に同調し、脱原発を唱えて石破氏を推したら、首相は非常に厳しい戦いを強いられる。小泉元首相は進次郎氏取り込みを策す安倍氏に、脱原発という楔を打ち込んだのではないか」(自民党代議士)
当面の焦点は来年の春闘で大手企業がベースアップを行えるかどうか。政府・自民党はアベノミクスの成果を示すために、財界トップにベースアップの実施を求めているが、企業側も慎重だ。給料が上がらない限り国民はアベノミクスの恩恵を実感できず、支持率ダウンは避けられまい。“小泉劇場”の幕が上がるのはそのとき?
堀隆弘=撮影
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