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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131218-00000000-sasahi-pol
週刊朝日 2013年12月27日号
医療法人「徳洲会」グループから無利子・無担保で5千万円を受け取っていた問題で、猪瀬直樹都知事が意外なほどの粘り腰を見せ始めている。発覚した11月22日から3週間あまり。彼が辞めない理由をさぐった。
多くの関係者が指摘する「辞めない第1の理由」は、金銭的な問題だ。猪瀬氏の知人は話す。
「本人は、自分から辞める気はないと思いますよ。最近のノンフィクション作家としての実績も、東京都の政策に関わった役職からスピンアウトした作品が多いんですよ。今さら彼の得意分野だった歴史ノンフィクションを書き下ろしするにしても、これだけダーティーなイメージの人の作品を、誰が買うでしょうか」
猪瀬事務所は東京・西麻布にあり、地下1階地上4階建ての自社ビル。4階には窓つきの風呂と小さなスイミングプールまで完備されている。固定資産税や人件費などで維持が大変になるはずだ。
「事務所のスタッフは、公設秘書だったり、都の専門委員に送り込んだりして、都からお金をもらって、事務所を運営している部分もあるわけです。それがいきなり、都と切れたら……やっていけませんよ」
講演活動も影響を受けるのは確実だ。講演会エージェント関係者は話す。「猪瀬氏が副知事になって公職についたメリットというのは講演料が上がったこと。ノンフィクション作家としては最高ランクの時給100万円を超えるようになった。でも、これだけ『言葉』を軽視した言動をしたら、政治家生命、作家生命だけでなく、タレント生命も終わりですよ」
猪瀬知事はあまりに「言葉」を軽んじている。総務委員会で「記憶にありません」とありきたりな言葉で答える姿に多くの知人が幻滅したと話す。猪瀬事務所に案内されたことのある学者は、送られてきた郵便物を事務所関係者がコンピューターに一通一通記録するのを見たという。さらに、猪瀬氏はスケジュール帳を分単位にわたるまで細かくつけることでも有名だった。データを重視するノンフィクション作家が、どうして借用証がいつ返送されてきたかがわからないのか。
自民党の都議が指摘する「辞めない第2の理由」は、五輪への異常なまでの執念である。「2期目も堅いと言われていたから、東京オリンピックでも自分が知事として、おもてなしする夢を持っていたと思いますよ。その夢をどうしても捨て切れないんでしょう」
「猪瀬さんはこれまでの人生において退いたことがないんですよね」と解説するのは東京都庁関係者だ。「攻めるのはめっぽう強いが攻め込まれるのには本当に慣れていない。だから引き際がわからないんです」。
猪瀬知事を今いちばん支えている実績は、1968年の新宿騒乱事件で信州大学から新宿まで出てきて全共闘として戦ったことかもしれない。信州大学を卒業してからは日雇いで働いていた時期もある。ノンフィクション作家として名声を獲得し、昨年末に知事になった。たたき上げで上り詰めた人物は、実力で地位に固執するのかもしれない。
先の東京都庁関係者は、こう付け加える。「自分からあっさりと辞めるのは2世政治家、3世政治家ですよ。ぼんぼんというのは簡単に辞めるの。でも猪瀬さんは違う」。
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