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http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-81fc.html
2013年12月16日
2014年度の日本版「財政の絶壁」に対する警告の書が
拙著『日本経済撃墜−恐怖の政策逆噴射−』(ビジネス社)
である。
12月12日付ブログ記事
「金融専門誌バロンズが「日本版財政の絶壁」を警告」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-d0d8.html
およびメルマガ第739号記事
「巨大な暗雲が迫りくる2014年度の日本経済」
に記述したように、最近になって、「バロンズ」誌やロイターニュースなどが、「日本版財政の崖」問題を取り上げるようになった。
拙著について、二つの書評をいただいているので、紹介させていただく。
中西良太氏によるアマゾン・レビューとジャーナリストの高橋清隆氏による書評である。
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1789730.html
アマゾン・レビューより転載させていただく。
評者 中西良太氏
アベコベノミクス(政策逆噴射)批判
:バブル期以降四度目の日本経済墜落の危機
本書の構成には、正直最初ちょっと戸惑った。
なぜなら「経済あっての財政」と言う基本を見失い、1996年と2000年の日本経済再浮上を、財政再建原理主義と言う政策逆噴射(超緊縮財政政策)で撃墜させた財務省批判と、四度目の日本経済墜落となりうる安倍政権による消費税大増税(本書では2014年の緊縮財政規模22兆円のハイパー・デフレ・インパクトの主要構成要素として分析されている)への明確で首尾一貫した主権者立場からの警鐘のみならず、金融市場面のバブル期から今年の10月までの、日米中の株価、為替レート、金利の推移の連動関係から無党派的、無国籍的ないわゆる投資家一般(自民党勢力も含む)のための資産運用戦略までが一冊に纏められているからである。
個人的にはこの二つは分離されたほうがどちらにも最大限受容されやすい形になったと思うが、ひとつの戦略的な構成ともいえる。
おかげで、その論考に、政治的にも柔軟に敵との理路整然とした対話提言を可能とする全面性と敵からもレッテルばりで一面的に否定できない科学性が賦与され、敵対勢力の非科学的な感情論や観念論的偏見の毒文毒舌とは好対照であり、誰もが見習うべき一流の節度ある愛国者、科学者の文説のあり方がここにある。
こうして一連の批判でも、常に植草さんが敵の説得と言う側面を放棄されていないことにここで改めて気づいた。この点もネットや現実世界で人物破壊に躍起となる悪辣な敵対勢力とは正反対なのであり、読者を感心させ説得させるものがある。
本書は、日本の御用メディア16社体制が日々垂れ流す情報汚染への対策本として以下の幾つかの印象に残った点がある。
1) 2012年可決の消費税増税法では、安倍政権の言う2012年度の補正予算効果によるやらせの2013年の4-6月期のGDP成長率を消費税増税の決定条件などとする規定がない事。経済を破壊してでも、目先の財政再建なるものを優先し、そしてまた経済を破壊した為、財政難に苦しむのである。経済あっての財政という基本の欠如として指摘されている。
2) 安倍政権が消費税増税を、元々消費税でもまかなえない削減縮小中の社会保障に充てると言う言説も、社会保障自体の拡大とは別であり、拡大の約束すらしていない事。これは典型的な官僚主義の欺瞞である。
3) 財務省の新自由主義政策を採るシロアリ官僚が、消費税大増税やシロアリ増殖の為の民営化など私利私欲のために流布する日本財政危機論も、日本政府の1千兆円以上の資産もその財政赤字と同程度あると言う事実により反駁されている事。これは、典型的なシカゴ学派信奉者らの国民騙しの手口である。国民はいつまでこの手の脅威論、危機論に騙されるのか?
4) 1989年から現在まで、この官僚たちは消費税3倍、法人税は3分の1にするというように、自然発生的などではなく明らかに超格差社会を確信犯的に、意図的に創出していると言う事。真の日本の愛国者達はこの悪しき亡国の流れを早急に止めねばならない。民敗れて資本ありでは、日本は人間社会としては死滅したに等しい。
5) いわゆるバブル崩壊後の一面的な停滞史観が誤りであり、1996年や2000年など、日本経済は浮上しバブル崩壊不況を脱したが、その後政策逆噴射で、大増税の為に撃墜されたことがここでも改めて論証されていることは、忘れてはならない。バブル崩壊後の一面的な停滞史観は、メディアの垂れ流しであり、植草さんが本書で指摘される財務省の政策逆噴射の大罪が見事隠蔽されてしまうからである。
6) 公約違反の野田政権が、生活の党(当時の日本未来の党)の政党交付金を減少させ、生活の党の資産が最も枯渇するタイミングで2012年度内の解散、総選挙に臨んだという分析もイデオロギー自体からの説明ではなく、政治経済学的な理由からなされ実に科学的である。
7) 景気回復と財政再建が二者択一とする誤りを何度も指摘し、景気回復優先こそその両者を両立させる現在の日本政府に求められる財政政策運営の正しい姿勢であるという正論。
8) 孫崎さんが『戦後史の正体』で、紙幅上割愛された、株価を任期3年で3分の1にして、最後に公的資金を公約破りで導入し株価急反発を演出した小泉竹中政権以降の、いわゆる国民の審判を経ぬ電撃辞任を繰り返した自民党の「たらい回し政権」時期全体に関しても、植草さんは本書で詳述されているので参考になる。
最後に最も印象に残った植草さんの言葉を引用し本書全体の主旨を概括したい。以下の言葉に植草さんのメッセージが簡潔に表現されている。
「安倍政権が提示する2014年度の財政政策の方向は、最悪の組み合わせであると言わざるを得ない 。抜本的な是正が必要不可欠だ。どうしても消費税増税を実施するというなら、少なくとも20兆円規模の経済対策の策定が必要である。その中身は、中低所得者層に対する購買力の付与を軸に据えるべきだ。中低所得者層に巨大な税負担を押し付け、それによって得た資金を金持ち減税、法人減税、バラマキ公共投資に振り向けるのは言語道断である。」(本書、PP.167−8)
植草さんが未来の国民政府に於いて、経済担当のポストに就任されることを一日本国民として切望致します。植草さんは圧迫されたる日本の主権者層の貴重な代弁者の一人であり、これからもご活躍されることを希求致します。
(追記) TPPに関しては、ISD条項はまず米国の支配下にある世銀において、国務省の指令で不敗体制が維持されている上に、米国の連邦法、国内法において米韓FTA以降ISD条項について50の各州の反対で未だに米国国内への適用もなく、連邦法へも優先しないという不平等条約説に関しては本書でも言及されておりませんが、是非この米国側からのTPP運用の実態の研究も今後期待しております。
本書はこのアベコベノリスク期の投資家のみならず、日本国民必読の書です。
身に余る書評を賜り、誠にありがたく深く感謝申し上げたい。
高橋清隆氏による書評は日を改めて紹介させていただく。
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