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インド公式訪問から帰国された天皇、皇后両陛下をお出迎えするため、安倍晋三首相とともに羽田空港を訪れた昭恵夫人(右)=12月6日、東京・羽田空港 (大橋純人撮影)(写真:産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131215-00000519-san-pol
産経新聞 12月15日(日)14時27分配信
戦国・安土桃山時代の武将、山内一豊が国持ち大名になるまで出世したのは妻、千代の「内助の功」があったからだと伝えられる。現在の政治家にとっても、妻は陰日向で自身を支えてくれる最大の援軍の1人であるはずだ。では、このところメディアへの露出が目立つ安倍晋三首相の妻、昭恵夫人(51)はどうなのか−。「家庭内野党」を公言する昭恵夫人の奔放な言動に対し「政権のアキレス腱になる」と論評するメディアもあるが、それはお門違いだろう。
政治家の妻といえば、筆者はわけても塩川正十郎元財務相の妻で平成14年9月に鬼籍に入られた鈴子さん(享年75)を思い出す。
「厳格な夫に、常に三歩下がってついていった昔ながらの古風な普通の女性だった」。塩川氏の秘書たちは一様にそう振り返る。
鈴子さんは「代議士の妻」でありながら表舞台に立つことはなかった。選挙の際にも夫の遊説には同行せず、選挙区を東奔西走して汗を流す運動員のために「真心のこもった弁当をつくる」という裏方に徹した。
鈴子さんは兵庫県伊丹市で貿易業を営む服部保太郎氏の長女として生まれ、親類の紹介で実業界に身を置いていた塩川氏と知り合い、大恋愛の末に昭和29年に結婚、2男1女をもうけた。42年に大阪府布施市(現東大阪市)助役から衆院選出馬を決断した夫に最初は強く反対したが、35年間にわたり「夫の選んだ道だから」と黙って陰で支え続けた。
塩川氏は故福田赳夫元首相の流れをくむ「清和会」の若手・中堅のまとめ役として活躍する一方、官房長官や運輸相、自民党総務会長などの要職を歴任し政界の重鎮となっていたが、夫人は都内の議員宿舎で夜遅くまで夫の帰りを待っていた。「あの奥さんがあって、塩さんがあった」と閣僚経験者はいう。
平成8年の衆院選で苦杯を喫した後も都内のマンションで夫婦水入らずの生活を送っていたが、14年に体調を崩し東大阪市の自宅で療養生活に入った。そして8月15日、食事中に意識不明となり、大阪市内の病院に入院した。塩川氏は財務相の公務の合間を縫って東京から飛び、意識のない妻に寄り添った。6日夜、妻のもとに向かおうとしていた塩川氏は羽田空港でその死を知らされた。
「私に自由に政治活動をさせてくれた。ここまで政治家としてやってこられたのは女房のお陰です」
筆者も参列させていただいた葬儀で、喪主の塩川氏は嗚咽(おえつ)で言葉を詰まらせながら参列者にそう語りかけた。その光景は忘れられない。
鈴子さんのようなタイプは政治家の妻の典型の一つだろう。だが「アッキ−」の愛称で親しまれる、安倍首相の昭恵夫人は、鈴子さんとは全く位相を異にしている。
首相夫人といえば「糟糠(そうこう)の妻」「ファーストレディー」などと称えられることが多かった。しかし昭恵夫人は歴代総理の妻たちとは明らかに違う。
昭恵夫人は東京・内神田に居酒屋「UZU」を開店し、店頭にも立った。自ら東京電力福島第一原発周辺の帰還困難区域に何度も足を運び、11月12日の北海道新聞主催の講演会では、安倍政権が進める原発の推進・輸出政策に反対の考えを訴えたほか、居酒屋経営者としての苦労から消費税増税にも異を唱えた。
同時にメディアにも頻繁に登場し、最近では12月9日発売の「週刊現代」(講談社)単独インタビューに応じ、夫や安倍政権の政策に対する思いをありのままに語った。
「主人と私は別人格。心の底から正しいと思ったことを発言していく」
従来のファーストレディーを枠を打ち破るかのように、そう自身の思いを奔放に発信する昭恵夫人に対し、自民党のベテラン議員は「今の腰砕けの野党よりも野党らしい。安倍さんも苦々しく思っているに違いない」とこぼす。
12月3日発売の「週刊朝日」も、「原発ゼロ」を叫びだした小泉純一郎元首相とともに、身内の昭恵夫人が安倍首相の政権運営への“不安”になると書いていた。政権に批判的な夕刊紙「日刊ゲンダイ」も「首相夫婦の亀裂は決定的」とダメだしした。
首相自身は11月22日の「いい夫婦の日」の前夜、フェイスブックに「家庭の幸福は、妻への降伏」と自虐的に記した。しかし、昭恵夫人が本当に政権への“不安材料”になっているのだろうか。
それは違う。むしろ昭恵夫人は安倍政権の「広告塔」であり、首相官邸がそのキャラクターを存分に広報戦略に生かそうとしているのではないか。
昭恵夫人は12月4日、東京・永田町の自民党本部で開かれた党環境部会に招かれ、政府・与党が進める東日本大震災被災3県での防潮堤建設計画(予算規模約8千億円)について「行政に声が届かないところで反対意見がたくさんある」と見直しを求めた。さらに「反対運動をするつもりはないが、巨額の税金を使う以上、必要がないところはやめればいい」と訴えた。
これに対し翌5日、菅義偉官房長官が記者会見で「(防潮堤の)計画を知ったとき、問題があると思った。もっと緑があっていい」と同調し、昭恵夫人の発言には「地元の声を踏まえて意見を述べたのだろう」と語ってみせた。
首相夫人が党の政策会合に出席し、政府・与党の政策への反対意見を開陳するのは寡聞にして耳にしたことがない。当然、官邸の“お墨付き”があったようだ。
聞けば昭恵夫人は今春、官邸内に専用の“執務室”が設けられ、専任の秘書もつけられたという。これこそ官邸の格好の「広報レディー」としての重要な役割を担っているからだろう。今や「日本で最も有名な妻」となった昭恵夫人を使わない手はない。打ち明けるのは、官邸にパイプをもつ永田町関係者だ。
「昭恵夫人は首相とプラス、マイナスによってバランスをとる役回りで、ほとんどの言動が官邸の台本通りと言っていい。安倍政権の原発政策や消費増税政策に反対する層も、昭恵さんの言動で溜飲を下げる。それだけでもイメージ戦略としての効果は大きい」
歴史小説『ローマ人の物語』の著書で知られる作家の塩野七生(ななみ)氏も、12月1日付日本経済新聞朝刊のインタビューで昭恵夫人をこう高く評価していた。
「彼女のインタビューを見ていて、この人はなかなか頭のいい人だなと。そして安倍晋三さんにとっては、とても適した奥さんじゃないかなと思う。非常に率直な方であると同時に、旦那様のことを笑いながら話しているが、これが決して人格を低めることにつながっていない。今までとは違うが、なかなかいい奥さんじゃないかと思う。(中略)あの方は頭のいい、賢い女の子ではないか」
第2次安倍政権発足からまもなく約1年。特定秘密保護法をめぐる与党の国会対応などを受け、内閣支持率は下落気味だが、希代の宰相の妻は今後、「内助の功」を発揮すべく果敢に動き回るに違いない。
人生いろいろ、政治家の妻もいろいろだが、はたして昭恵夫人は真の「山内一豊の妻」になれるのか。官邸が描くシナリオを忠実に演じているのであろう“女優”のお手並み拝見である。(政治部編集委員 高木桂一)
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