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傲慢と強欲のツケ [Photo] Getty Images
検察は5000万円に新札がないか一枚ずつ調べている!「天狗」から一転、守りの弱さを露呈した猪瀬都知事は、都議会とマスコミ、そして特捜の猛攻に耐えられるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37786
2013年12月12日(木)伊藤 博敏 現代ビジネス
好き嫌いはあるにせよ、作家・評論家時代、猪瀬直樹氏の舌鋒の鋭さは見事だった。政治家や官僚などが適当に誤魔化そうとすると、「詭弁だよ!」と、間髪を入れずに突っ込んだ。
攻めに強い人は守りに弱いという。それにしても、これだけ説明が食い違い、堂々と受けて立つ気概に欠け、おどおどと汗をビッショリかきながら説明している様子を見ると、指導者としての資質に欠けているように思えてならない。
しかも猪瀬氏には、彼を守ろうとする友人・知人、同僚・部下がいない。副知事として5年、怒鳴り上げ、罵倒してきたツケが回ってきた。
■攻勢続く都議会、「ポスト猪瀬」に走る石原氏周辺
意外にもろい神経に、人望のなさ――。都議会自民党や石原慎太郎前都知事の周辺は、今回の事態を「歓迎はしないが、ある程度叩かれるのは、東京オリンピック招致の成功で天狗になっているから丁度いい」という見方だった。しかし、ここまで弱点が明らかになると、「次の都知事選を想定、準備しなければならなくなった」(石原氏周辺)という声が強くなってきた。
都議会の攻勢は続く。12月9日と10日に開かれた都議会総務委員会の集中審議で、二転三転する猪瀬知事の説明に、各党の質問者は呆れた。5000万円は資金提供を受ける前日にわざわざ借りた貸金庫に納め、借用書は、一水会代表の木村三浩氏を介して戻ってきた。
普通、大金は銀行に預ける。貸金庫を借りて用意していたということは、裏ガネとして処理するつもりだったのが明白。しかも借用書に至っては、「あるかどうかもわからない」と言っていたのに、突然、「貸金庫にしまっていたことが確認された」として公開。それが金額を算用数字で書いているだけのいいかげんな“代物”であることで、かえって墓穴を掘った。
都議会自民党は、「ドン」の内田茂幹事長と猪瀬知事の不仲もあって、攻撃の手を緩めるつもりはない。公明党も野党各会派も同じ。猪瀬知事は四面楚歌のなか、議会に追及の材料を提供しているに等しい。
従って、総務委員会は12月13日の議会閉会後も継続して審議することを決めた。16日、17日、24日の3日間、猪瀬知事に出席を求めて追及する。木村三浩、徳田毅といった猪瀬知事の5000万円受領に関与した人も呼ばれ、質問を受けることになる。
それで終わりではない。答弁内容によっては、偽証に罰則のある調査特別委員会(百条委員会)の設置や、不信任決議や問責決議などに踏み切る可能性もある。
ここまで予想できれば、猪瀬知事誕生に功績のあった石原氏周辺が、「ポスト猪瀬」に向けて備えるのも当然だ。もともと猪瀬知事は、「石原後継」ではあっても「石原利権」の後継者ではない。石原氏の元秘書ら石原軍団が猪瀬氏を担いだのは、石原都政14年の間に築いた利権を、そのまま継続するためである。
「政治資金も選挙資金も潤沢だったハズ。なんで徳洲会に行ったんだ!」
5000万円問題の発覚後、石原氏は思わずこう怒鳴ったというが、気持ちは十分にわかる。
石原氏は、後継の猪瀬氏を「人」も「カネ」も出して支えた。猪瀬氏は石原軍団の神輿に乗っているだけで大勝。それだけでなく、選挙後は、「庁外秘書」だった鈴木重雄氏を特別秘書に入れて支えさせ、「石原慎太郎の会昼食会」をそのまま「猪瀬直樹の会昼食会」に移行させ、年間3000万円内外の政治資金を確保させた。至れり尽くせりなのに、まだカネが欲しかったのか。猪瀬氏の強欲に、石原氏とその周辺は呆れている。
■特捜とマスコミの波状攻撃≠ェ本格的に始まる
そして、石原氏周辺が「ポスト猪瀬」に走っているのは、市民団体からの告発を受け、東京地検特捜部が来年、捜査に本格着手することがハッキリしているからだ。
公職選挙法と政治資金規正法は、猪瀬氏が「生活資金に借りました」という主張を貫くことで、何とかクリアできるかもしれない。密室の取調室で怒鳴り上げながら、検察がシナリオ通りの自白調書を取る手法は、「特捜改革」のなかで封印された。録音録画の中で行われる取り調べのなかで、いかに守りに弱いとはいえ猪瀬知事が落ちるとは思わない。
ただ、そうはいっても特捜検事の本質は“猟犬”である。獲物には飛びかかりたいし、政治家の不正には敏感に反応する。政治家捜査で最も難しいのは、金銭授受がキャッシュで行われ、証拠が残っていないことである。だが、今回は徳洲会側が返ってきた5000万円を不用意に置いていたことで、現金授受の足がついた。
受領した時、猪瀬氏は筆頭副知事としての職務権限があり、都知事になってからはオールマイティの権力者である。23区内に病院を持つことが悲願だった徳洲会のために、東電病院売却の際、口利きをした事実はなかったか。面従腹背の都庁職員のなかに、そう証言する人間が出てこないとも限らない。
特捜部は、押収した5000万円のなかに昨年11月の受領以降、発行された新札が混じっていないかを調べている。混じっていれば、「貸金庫に入れたまま」という供述は覆り、選挙に使ったのではないか、という追及が始まる。
そうして特捜部が前向きになれば、二人三脚のマスコミが動き出し、新たな「証拠」を見つけ出すかも知れない。検察と司法マスコミが一体化した時の怖さは、これまでに何度も見てきた。政治家逮捕のハードルは高くなったが、捜査と報道の波状攻撃を、打たれ弱さを露呈した猪瀬知事は防ぎきれるのか。
状況は厳しい。だが、仕方がない。自分で撒いたタネである。
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