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卑怯者の民主主義
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/12/10)」★ :本音言いまっせー
フーテンは特定秘密保護法案の国会審議を見て、改めてこの国の民主主義の劣化を感じた。政治家が政策を堂々と国民に訴えて信を問う事をせず、卑怯な方法で政策を実現させる手段がまかり通っている。
フーテンがそうした事を感じるようになったのは中曽根内閣の「売上税」あたりからである。その卑怯な手段が「特定秘密保護法」では桁違いに大きくなった。代議制民主主義は今や死に瀕している。
自らが大蔵大臣として発行した赤字国債の責任を痛感した大平総理は、消費税を導入して財政の健全化を図ろうとした。1979年の総選挙で大平総理は消費税導入を国民に訴えて信を問うが自民党は大敗、それが自民党にとってトラウマとなった。
消費税の導入には財政健全化以外にもいくつかの理由があった。戦後アメリカによって国のかたちを作られた日本は、アメリカの指導の下に所得税などの直接税が中心の税制を採用させられた。一方、福祉国家を目指すヨーロッパ諸国は消費税などの間接税を導入し、「ゆりかごから墓場まで」国民の面倒を見る国づくりを行っていた。大平総理の消費税導入にはアメリカ型から脱して日本も福祉に力を入れる国づくりを目指す意味合いがあった。
また直接税には都市のサラリーマンが厳格に課税されるのに対し、農家や自営業者などが税金逃れをする不公平さもあった。極端かもしれないが、すべてを消費税にすれば、より多くの消費をする人間からより多くの税金を取れるのでむしろ直接税より公平さが実現できるという議論もあった。
いずれにしても堂々と選挙で訴えた大平総理が選挙に敗れた事で、それ以後の自民党は選挙に勝って大量議席を得てから増税を打ち出すようになった。それが中曽根総理の「売上税」である。中曽根氏は「大型間接税の導入はしない」と選挙公約して大勝利を収めた。そして大量議席を獲得すると、一転して「売上税」の導入を図ろうとしたのである。
完全な公約違反である。ヨーロッパ型福祉国家を目指して消費税に反対でなかった社会党までこれには反対の声を上げた。冷静に議論をすれば国民を説得できたはずの消費税に「公約違反」というマイナスイメージが付けられた。さすがに中曽根総理は「売上税」を実現させる事が出来なくなり、消費増税の実現を条件に竹下登氏に後継を委ねた。
竹下総理は国民に丁寧に説明する努力を行おうとした。ところが「リクルート事件」が勃発し、国会は「政治とカネ」の問題一色になった。不幸な事だが消費税の議論は全く行われないまま3%の消費税が導入されることになった。そして消費税が導入された後の選挙で国民は与党に鉄槌を下すと言う不幸なサイクルが出来上がるのである。
3%の消費税が導入された後の参議院選挙で宇野内閣が惨敗、5%導入後の参議院選挙で橋本内閣がやはり惨敗した。しかしいずれも国民は事後的な対応に関与しただけで導入する是非を判断させられてはいない。国民は政策の作成に関与する事を許されず、後になって鉄槌を下すという民主主義とは思えない国民と政治の乖離が生み出された。
今回はこうした不幸のサイクルに加え、さらに卑怯な手段が行使された。衆議院選挙で自公政権が誕生し、日本版NSCや特定秘密保護法を成立させる事は予想されたが、参議院の「ねじれ」を解消するまではそうした事をおくびにも出さず、アベノミクスに国民の目を引き付け、公明党は安倍政権のブレーキ役になると称して国民を騙し、警戒心を持たれないようにした。
自公政権は参議院選挙にも勝利して「ねじれ」を解消すると、今度は国会を開かずに与党の独り舞台を続け、支持率を下げさせないようにメディアを利用し、臨時国会を「成長戦略実行国会」にすると言って国民の期待感を高めさせた。
ところが実際に始まってみると「成長戦略」は国民の目から全く見えない。代わりに登場したのが日本版NSCと特定秘密保護法案である。大量議席があるのだから成立は間違いないのだが、それでも国のゆくえを左右する重要法案であるから国民にはきちんと説明する必要があった。
しかし審議が始まると見せられたのは全く意味不明の出来事である。担当大臣の答弁がころころ変わる。つまり政府の方針が定まっていない。しかし定まっていないうちから野党との修正協議が始まる。こうして法案の内容が分からないのに衆参共に三分の二を越える議員が反対していないという状況が作り出された。
フーテンは長らく国会を見ているがこんなことは見た事も聞いた事もない。国民が不安に思うのは当たり前である。すると「施行までの間に様々な措置を講ずる」という話が出てくる。「様々な措置」は法案に書き込むのが当たり前だろう。そうやって無理やり法案を通して、国会を閉幕させてしまった。
国会が閉まってしまえば野党の出番はなくなり、再び政府の独り舞台である。そうしてメディアを抱き込めば国民を「洗脳」する事はたやすいと考えている。だからメディア抱き込み工作が着々と進められている。最大のターゲットはNHKだが、ニュースの内容を見ると、まさに安倍政権の宣伝機関としての報道がすでに流れている。
自民党は国会が政府の秘密指定をチェックできるようにすると言いだした。これからそのための調査を始めると言うが、法案が成立してからそんなことを言うのは順序が違う。国民を騙すためのパフォーマンスに過ぎない事は誰が見ても明らかである。これでまた日本は世界から馬鹿にされ笑われることになる。
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