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ハフィントンポストが入手した2通の内部文書によれば、オバマ政権は、論争の的となっている新しい貿易基準について、国際的な支持をほとんど得られていないように思われる。この貿易基準は、企業に強力な政治的権限を与え、処方薬の価格を上昇させ、銀行規制を制限するものとなる。
この文書は、ある環太平洋パートナーシップ協定 (TPP) 交渉参加国から入手したもので、協定に向けた継続的な議論の詳細を記述したものである。ここでは、重要な立場のホスト国に関する意見の相違や、年内に合意に達するかどうかについての全般的な疑問を明らかにしている。本来、交渉には期限はないものの、オバマ政権は参加国に対し、年が明けるまでに合意に達するように促している。
今週、シンガポールで行われている閣僚会合に先立ち、1つの文書が作成された。この文書は、ハフィントンポストが入手する前に、かなり多く編集されている。ハフィントンポストが入手した文章全文はこちらである。 (注: 省略は、文章の編集を意味する。[ ]内の文章は、第三者によって付け加えられたものである) またもう1つの文書は、文章上の異なる国の立場を示す表であり、11月初旬の日付がある。この日付は、ソルトレークシティでの会合が始まる前である。表はこちらから見ていただきたい。ハフィントンポストでは、協議に参加しているアメリカを除いた11カ国のうち、どの国がこの文書を作成したのかを特定することはできなかった。
「これはアメリカの文書ではないので、その出所や本物であるかどうかは不明である」と、通商代表部の報道官は述べた。「この中のいくつかの項目は失効しており、まったく誤っているものもある」。報道官は、どの項目が失効しており、どの項目が誤っているかを指摘することは拒否した。
オバマ政権は、2010年以降、国際貿易協定の交渉を主導してきた。協議参加国には、オーストラリア、ブルネイ、チリ、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムが含まれる。
交渉の中で特に議論を呼んでいる条項は、アメリカ政府が主張する、企業の権限を新たに拡大する条文である。これは、外国企業に対し、非公開の国際法廷で法律や規制への異議申し立てを認めるものである。世界貿易機関 (WTO) の協定では、政府の法律と対立するこうした政治的権限は、国家の側にあるとされている。アメリカは、北米自由貿易協定 (NAFTA) を含む過去の貿易協定において、繰り返し企業の政治的権限を支持してきた。しかし、TPP協議の場では、異議申し立てができる法律の対象がこれまでよりも広範囲となる。
「アメリカは、過去の会合と同様、提案に柔軟性を持たせず、話し合いをまとめるための障壁となっている。投資協定の概要の中には、国家と外国の投資家との間で交わすことのできる、ほとんどすべての重要な契約が含まれているからだ」と文書に記されている。「アメリカと日本だけがこの提案に賛成している」
NAFTAでは、石油大手のエクソン・モービル、化学大手のダウ・ケミカル、製薬大手のイーライリリーといった企業が、沖合での石油採掘、シェールガスの水圧破砕、殺虫剤、医薬品特許、その他の案件について、カナダの規制を覆そうとした。TPPでは、企業はさらに広く、数多くの法律に異議を唱えることが可能となる。
重要な薬剤の利用に関する新基準は、多くの国にとって、等しく問題となっているように思われる。オバマ政権は、TPPの協定に新たな知的財産の規定を設けることで、製薬会社は新薬を長期間にわたって独占することができると主張している。結果として、製薬会社は、ジェネリック医薬品供給業者との競争に悩まされずに薬品に高い価格をつけることができる。しかしその結果、世界中でより高い価格設定を招き、貧しい国の人々が命を救うための薬を利用できなくなってしまうと、公衆衛生の専門家は警告する。11月の表にある知的財産については、12か国の大半がほぼすべての項目について反対している。12月の文書では、知的財産については、119の「未解決案件」が国家間で合意しないままであるとされている。この協定は、参加国に対し、多くの基準をアメリカに準じたものへと変更することを義務づける。そしてアメリカ国内の処方薬の価格は、その他の国々の価格水準よりもずっと高い。
また、12月の文書によれば、アメリカは、政府の公共医療サービスが薬剤価格を引き下げるために製薬会社と交渉することを阻止する提案を再提出した。文書によれば、この提案はまったく受け入れられず、会合の早期段階で却下された。
オーストラリアとニュージーランドはそれぞれ薬事委員会を持ち、政府は公衆衛生のために高価な新薬を拒否するか、特許を持つ製薬会社と価格交渉をすることができる。新薬に、ジェネリック医薬品と比較して優れた点が認められなければ、委員会はその新薬に税金を投入することを拒否できる。また、新薬のために個人が高額な費用を負担することも拒否できる。オバマ政権は、国の委員会によるこのような規制を禁止しようと推進していたが、これは、製薬会社の莫大な利益を保護するためだ。オバマケア(アメリカの医療保険制度改革法)では、こうした委員会のように、薬剤の価格決定に際してアメリカ政府機関に新たな柔軟性を与えることで、国内の健康管理にかかるコストを下げようと試みた。
アメリカは、銀行規制の基準についても、大きな抵抗を受けている。オバマ政権は、外国政府による「資本規制」の実行を縮小させようと試みている。ここには、非常に多岐にわたる金融ツールが含まれる。過熱した市場での貸し出し制限や、金融恐慌発生時に多額の資金流出を禁止することなどである。こうした金融ツールが失われれば、銀行の危機を防いだり、止めたりするために政府が行使できる権限が大幅に縮小される。
「各国の足並みはまだ揃っていない」。12月の文書の金融サービスの章にはこのようにある。「アメリカはまったく柔軟な姿勢を見せていない」。
これまで明らかになったTPPの文書は、全世界的に公衆衛生専門家、インターネット自由化論者、環境保護論者、組合労働者から警告の声が上げるきっかけとなった。しかし、この文書は、アメリカの企業と商工会議所からは強く支持された。オバマ政権は、交渉を機密情報であるとみなしている。そのため、国会議員がアメリカの交渉上の立場について、報道機関や一般国民と議論することを禁じている。また、議会の職員は、文書を閲覧することを制限されている。
アメリカ通商代表部のコメントと、オバマケアにおいて処方薬に関する柔軟性が州政府の委員会に与えられている内容を追加しました。
原文はこちら
TPP交渉の内部文書入手 外国企業が国内規制に異議申し立てできる提案にアメリカと日本だけ賛成 ハフィントンポスト
http://www.huffingtonpost.jp/2013/12/09/tpp-obama_n_4414795.html?utm_hp_ref=japan-world
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