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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131208/frn1312080723000-n1.htm
2013.12.08
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が日中韓3カ国を念頭に「北東アジア共同歴史教科書作成」を提唱したことについて、下村博文文科相は「日中韓の関係閣僚が話し合うよう、朴大統領が韓国内で指示してくれれば、日本としても積極的に対応すべきだ」と述べた。朝鮮日報も下村氏のコメントを紹介した。
たしかにグッドアイデアだとは思うが、現実には不可能なことだと思う。最初の会合から大ゲンカになることは間違いない。
たとえば、大化の改新で豪族中心の政治から天皇中心の政治へと変えた中大兄皇子(なかのおおえのおうじ=後の天智天皇)について、韓国側は「朝鮮半島から亡命した百済の皇子である」と主張してくるはずだ。これを文部科学省が教科書に載せるだろうか。 おそらく紛糾するだろう。
さらに、朝鮮出兵の豊臣秀吉、征韓論の西郷隆盛、初代韓国統監の伊藤博文の扱いについても、韓国の教科書では「3悪人」として記述されている。いずれも日本では尊敬されている歴史上の人物だから、そうした日本における評価にも配慮せよ、という日本の主張に真っ向から反対してくるだろう。
また、中国の共産党は「抗日戦争で勝利したわれわれが日本占領軍から人民を解放した」と主張しているが、実際に抗日戦争に勝利したのは(連合軍と組んだ)蒋介石の国民党軍だ。ヤルタ会談でもカイロ会議でも国民党の蒋介石が「中国」の代表として扱われている。共産党が国民党を台湾に追い出して政権を確立したのは戦後の4年目、1949年のことだ。
しかし、これは共産党の存立そのものにかかわってくるわけだから、絶対に譲らないはずだ。中国も韓国も日本の援助で戦後復興しているわけで、その辺を賠償と呼ぶのか援助またはODAと呼ぶのかでも大いにもめるだろう。このように、「共通の歴史の教科書を作ろう」と言っても、容易なことではない。
さらに、「日本が侵略をしたのかどうか」という点に関しても紛糾するだろう。当時は帝国主義が世界のルールだった時代で、中国は北はロシア、残るところはイギリスに抑えられ、フィリピンはアメリカ、インドネシアはオランダに植民地化されていた。そんななか、アジアの一勢力である日本が反旗を翻し、そのうちの一部を解放したという考え方もできるわけだ。実際、「インドネシア国民の7割が、オランダを追放した日本が一番好きだと思っている」というデータもある。
しかし、このことは韓国も中国も認めないだろう。こういう点から考えると、「歴史がどうであった」ということのほかに、それぞれの国で「歴史をどう教えているか」ということも考えなくてはいけない。
現在の“語り部”がどんなことを言っているかということは、歴史の教科書問題以上に大切なことだ。従軍慰安婦の問題がここまでクローズアップされるということ自体、異常なことなのだ。
たとえば、韓国併合後の日本がどういうことをしたのか、事実だけを積み重ねていき、これをプラス面、マイナス面に分け、それが現在の韓国とどうつながっているのかということを語る。こういった姿勢がないと、「共通の教科書」なんて、あり得ないと思う。
これを提唱した朴大統領は、韓国に不利な事実が出てきたとき、受け入れる準備ができているのだろうか。さらにいえば父親の朴正煕氏が日本と締結した日韓基本条約(1965年)とその背後にある密約、金大中氏の日本からの誘拐など、いま分かっていることを書き出すだけで気絶するかもしれない。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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