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http://www.asahi.com/articles/TKY201312060473.html
朝日新聞デジタルが5日夜、ネットで生中継した特定秘密保護法案をめぐる議論の概要は以下の通り。
【司会】賛成側には、影響を受けるのはスパイだけという声がある。
【落合弁護士】特定秘密の漏出に関わる人が幅広く処罰の対象になる。中にはスパイも含まれるが、そうじゃない人も処罰や捜査の対象になる可能性がある。
【元榮弁護士】具体的にはどういった人たちが。
【落合氏】自分たちに必要な情報を教えて欲しいと公務員に働きかける人はいろいろいる。その中身によっては、特定秘密の漏出の教唆をしたとか、共謀したとか、問われる可能性がある。おれはスパイじゃないからとは片付けられない。気づいたら、家の中を捜索されたとか、あの人スパイらしいよと決めつけられ、社会的生命を奪われる恐れがある。行政機関が持つ情報はスパイにとって重要であると同時に、普通の善良な国民市民にとっても重要。そういう情報へのアプローチが、秘密の漏出に関わるとされる危険性のある法律案だ。
【司会】なかったのがおかしいという声もある。
【落合氏】秘密保護法制が日本にはなかった、というのは間違い。従来の国家公務員法、自衛隊法で秘密を漏らす行為は処罰されている。自衛隊法で防衛秘密を漏らす行為は5年以下の懲役と重い処罰。国家公務員は守秘義務があり、そそのかし、共謀も処罰対象になる。日本はスパイ天国とか言われるが、スパイはどこの国にもいる。
【司会】賛成派が言うように、国を守るために秘密を守る必要もあるのでは。
【落合氏】秘密が守られなくてもいいと言っているわけではない。適正な処罰は必要だが、重くしたり、対象を広げたりすれば秘密を守れるものではない。それによって一般の人が処罰されるとか、疑いをかけられるとか、そういうことが起きないように、処罰範囲は必要かつ合理的な範囲にとどめないといけない。その配慮が欠如している。
【司会】法案は国家公務員法とどう違うのか。
【落合氏】従来の制度では、秘密について、行政機関が秘密指定するのではなく、実質的な秘密であれば保護するに値する秘密だというのが判例だった。この法案は行政機関の長が指定し、明確に保護の対象になる。
【司会】以前の方があやふやだったのか。
【落合氏】そうではない。「実質的な」という部分で絞りがあった。特定秘密の場合、行政機関の長が決めるが、出したくない情報を恣意(しい)的に秘密にするのではないか。それをチェックする機能がこの法案にはなかった。あまりにもおかしいのでチェック機関をつくろうという話になっているが、行政機関内部でつくることしか想定されていない。不十分だ。
【司会】米国は大統領令でより具体的に決めているようだが。
【落合氏】その米国でも問題になっている。スパイ防止のための法制なのに、立件例を見ると、国民に知らしめるべき行政の情報を内部告発してマスコミに提供する行為が処罰される例が相次いだ。秘密保護法制の危険性を示している。スパイ防止というと耳ざわりがいい。スパイをとりしまらなくていいという人はいない。そこで秘密保護法制ができる。だが、実際の運用として、内部告発を封じこめることに使われる危険性がある。米国の議論を参考にすべきだ。
【司会】投稿マップを見ると、法案反対派にも守らないといけない秘密はあるとの声は少なくない。知る権利とどう両立するか。その点を世界中の専門家が議論してまとめた「ツワネ原則」を参考にすべきだとの声もある。
【落合氏】ツワネ原則では、公務員でない人が共謀などその他の罪で訴追されるべきではないと定めている。秘密保護法案ではそういう問題意識は皆無に近い。報道機関は著しく不当なものや法令違反がない限り正当な業務とみなすとされているが、なにが著しく不当なのかなどは不明確。一般の人についてはふれていない。ツワネ原則とかなり違う。裁判手続き上も、ツワネ原則は裁判の際は秘密情報も開示すべきだといっているが、保護法案では裁判でも公開されないブラックボックスだ。
【元榮氏】秘密の適正性について国民が裁判で争うことはできるのか。
【落合氏】できないだろう。中身がわからないから。特定秘密である以上公開されない。指定がおかしいと司法で争うことが想定されていない。
【元榮氏】情報公開請求をかけて拒否され、不服を申し立てるようなことは。
【落合氏】もともと公開を想定していない。公開対象にならないのは、秘密として保持されるべきものであればしょうがない。ただ、それは永遠に公開されないものであってはならないと。これもツワネ原則がうたっている。秘密指定は必要な期間に限定すべきだと。いまの法案は30年、60年と言われているが、それでも秘密が解除されないものがありうる。
【司会】賛成派からは、情報提供者の名前などの開示は命にかかわるという意見がある。
【落合氏】例外のないルールはない。原則を定め、秘密指定は必要な期間に限定し、そのうえで人の生命に危険がおよぶものは限定して守ると定めるべきだ。米国ではそうだと聞いている。例外があるからといって原則をむしばんでいくのは本末転倒だ。
【司会】反対派はこれは現代の治安維持法だと言っている。
【落合氏】治安維持法は当時の国体を変革していくことを防止する法律。秘密保護法はあくまで特定秘密を守るもので、結果的に治安維持に資するかもしれないが、目的自体が違う。あまりそれを持ち出して同じだというと、もともとの法案の持っている危険性がぼやけてしまうことにもなりかねない。
【司会】弁護士業界の反応は。
【元榮氏】弁護士ドットコムに登録する6200弁護士のうち100人に緊急アンケートをした。結果は賛成9人、反対85人、どちらでもない6人。
【司会】反対の理由は。
【元榮氏】抜粋すると、▼秘密か否か司法判断する具体的な手続きが定められていない▼適性評価制度で重大なプライバシー侵害が起きる恐れがある▼戦後これほど、立憲民主主義に反する疑いのある法律はなかったのではないか▼憲法21条が定める表現の自由、具体的には知る権利や報道の自由を侵害するのではないか、という指摘もあった。
【司会】賛成側は。
【元榮氏】抜粋すると、▼現行法では秘密の指定範囲も基準もわからず、事実上野放し状態で、かえって危険だ▼我が国は従来スパイ天国とよばれるほど国家機密の保持に鈍感であって、安全保障をめぐる環境が厳しさを増している現状を考えると、秘密保護法制の整備は課題だ、という声がある。
【司会】秘密の指定範囲を定めるべきだとの声があったが。
【落合氏】特定秘密という形にするかどうかはともかく、従来も行政機関の秘密はある程度のランク分けをしたうえで管理してきた。ただ、あいまいさがあったり、それぞれの省庁ごとにやっていたり、それを明確な基準を設け、横断的に共有すべきものは共有する仕組みをつくるのは、あってしかるべきだ。そういうことをするには、情報のレベルに応じた区分けをしなくちゃならないが、特定秘密は一括でガサッと指定されるので、内容に応じたきめ細かい管理という発想がない。かなりの数の特定秘密ができてしまう。
【元榮氏】どういう内容の法案ならよいのか。
【落合氏】特定秘密を指定する際に、行政機関の長だけでなく、第三者機関がチェックする。首相の友達とかではなく、独立性が強く担保された有識者がチェックすることで恣意的な指定を防ぐ。処罰も抑制的に、現在の自衛隊法の5年以下とかに抑える。公務員以外が関わることについても、共謀とかあいまいさがでるものは処罰対象にせず、従来の国家公務員法程度にとどめる。情状によっては刑が免除できるとか、マイルドな方向に進んでいける規定をつくっておく。公務員が情報を管理するところに重きをおいたものであれば賛成できる。
【司会】サイバー上の秘密保護の不備を指摘する声もあった。
【落合氏】この法案はサイバーとは関係ない。サイバー上の秘密保護が強化されるものではない。
【司会】生中継中のツイートで《そもそもテロリストって何》という質問が寄せられた。
【落合氏】12条の2項の1でテロリズムを定義している。国家もしくは他人に強要するものもテロリズムだとも読める。ややあいまいさが残る。
【司会】強要という言葉を幅広くとるとどうか。
【落合氏】口汚く悪口雑言をあびせながら練り歩き、意に反することをさせる。それがテロリズムとされる可能性はある。
【司会】デモを「テロリズム」と言ったような発言につながるのでは。
【落合氏】表現の自由が一方にあり、この法案の文言がある。大声を出すのは、何かを実現するため。そことテロリズムの定義に緊張関係がある。先日の自民党幹事長の発言は期せずしてその面をついたと感じている。
【元榮氏】適正な取材活動なら問題にならないと思うが、うっかり構成要件に該当することはないか。
【落合氏】報道関係者が著しく不当な取材活動することは、普通はそんなにないと思う。被疑者よりは参考人になる例を懸念する。西山記者事件のように、警察が動くときは情報入手の経路が捜査対象になる。家宅捜索に入らないという担当大臣もいたが、そんなに簡単にガサに入りませんと言える状態じゃなくなるだろう。証人尋問で、報道機関が取材対象はあかせないと言っても、証言拒絶権がない。職業上の秘密と言えない。保護が薄い。情報源を言わされることがおきうる。被疑者になる懸念だけでなく、参考人レベルでも厳しい状況に追い込まれる懸念がある。
【元榮氏】それによる抑止効果もあるのでは。
【落合氏】公務員に接近して情報求めるのはやばいよね、という萎縮的効果はおきうる。それは取材の自由の制約につながるし、国民の知る権利が守られないということにもなる。
【司会】ツイッターで《理想的な第三者機関とは》という質問が来た。
【落合氏】専門性があって、批判的にチェックができて、他から影響されない独立性を保つ。気に入らなかったからといって解任されず、任期の間は職務を執行できなくてはならない。
【司会】最後に一言。
【落合氏】賛成派も反対派も日本を守りたいという気持ちは同じだ。総論は変わらない。問題は各論。そこを国会で議論し、いろんな意見を参考にしないと。その議論がされないまま法案が成立するのは残念。成立しても問題点はきちんと検討されないといけない。それが国家、国民のためだと思う。
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