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安倍首相単独インタビュー 特定秘密保護法案への批判、疑問に答える
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131206/plt1312061810002-n1.htm
安倍晋三首相が5日、注目の特定秘密保護法案について、夕刊フジの単独インタビューに応じた。同法案は5日午後の参院国家安全保障特別委員会で野党議員が激しく抗議するなかで可決、6日以降の本会議で可決・成立する方向だ。野党の強い批判や一部メディアの報道もあり、同法案には悪いイメージが広まっている。中国や北朝鮮の政情不安が指摘され、日本人が海外でテロに遭う危険もあるなか、安倍首相は国民を守るために必要という同法案の意義を訴え、批判・疑問に答えた。
──改めて、法案の必要性を聞きたい
「日本には現在でも、政府の『特別管理秘密』と、自衛隊法で規定された『防衛秘密』、日米相互防衛援助協定等に伴う『特別防衛秘密(MDA秘密)』という3つの国家秘密がある。このうち、特別管理秘密は特に法律で定められていない。世界各国では、国家秘密の指定と解除、保全などには明確なルールがある。今国会で、国民の生命と財産を守るために、国家安全保障会議(NSC)を設置した。各国と安全保障や外交、テロなどの情報を交換するにあたって、情報保全の法律整備は不可欠だった」
──中国が、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定するなど、東アジア情勢が緊迫化している。今年1月には多数の犠牲者が出たアルジェリア人質事件もあった。法案はこれらにも関係するのか
「インテリジェンスの世界には『サード・パーティー・ルール』といって、提供された情報は第三者には渡さない、渡す場合は了承を得る−という掟がある。例えば、中東やアフリカなど(日本人ビジネスマンが数多く活動しているが)日本だけではテロなどの情報収集が難しい地域もある。アルジェリア人質事件では、キャメロン英首相から情報提供を受けたが、今後、日本と英国などのNSC同士の対話が進むだろう。安全保障でも、他国のレーダーの探知範囲や高度、戦闘機のミサイルの命中精度などの情報提供は、この法案で強化される」
──民主党の海江田万里代表は「欠陥法案。官僚の情報隠し法案だ」などと批判していた
「まったく違う。この法案で、秘密の取り扱いの透明性は増し、長期間伏せられることはなくなる。なぜなら、首相をはじめ、複数の異なる立場の人間が秘密の管理に関与するからだ。特定秘密の指定や解除の妥当性をチェックする委員会を内閣官房に、公文書の管理をチェックする独立性の高い第三者機関を内閣府に設ける。秘密の指定基準のあり方に有識者が意見を述べる『情報保全諮問会議』も置くが、首相は毎年、国会と同会議に報告しなければならない。今までは、こうしたルールすらなかった」
──「知る権利が奪われる」という批判もある
「これも違う。特定秘密は原則30年で解除される。内閣の承認を得て秘密指定が継続されても、暗号や情報源など7項目の例外を除いて60年は超えられない。独立公文書管理監は、秘密を含めた歴史的公文書を国立公文書館にスムーズに移管させ、廃棄させないようにする。これまで約4万件の防衛秘密が廃棄されたが、その4分の3にあたる約3万件が、たった3年3カ月の民主党政権時に廃棄されたことは特筆すべきだ」
──民主党政権といえば、2010年の尖閣沖中国漁船衝突事件の映像を当初、隠そうとした
「あの映像は日本の国益のために、国際社会に広く公開すべきだった。ところが、民主党政権は衝突映像を流した海上保安官(当時)を退官に追い込んだ。海上保安官は『どのようなルールで秘密を決めるか。誰が決めたかが問題』と指摘していたが、その通りだ。民主党政権は致命的に間違った判断をした。今回の法案で、こういうことは起こらなくなる」
──「42万件もの特別管理秘密を首相1人ではチェックできない」という意見もあった
「特定秘密の9割は衛星写真。(写っているものが秘密の対象でないとしても)解像度を他国に知られてはならないため秘密になっている。1枚1枚チェックするものではない。それから、暗号は古いものから新しいものまで秘密になる。あと、戦車や艦船などの鋼板の厚さや、装備した武器の命中精度など無数の秘密がある。これらを除くと、首相がチェックすべき秘密はかなり少なくなる」
──「戦争の時代を思い出して怖くなる」という声も聞く
「こうした声は1960年の日米安保改定時もあった。92年のPKO法案や、2007年の防衛庁の省への移行時もそうだった。だが、『そういう変化が起こったんですか?』と聞いてみたい。菅直人元首相はPKO(国連平和維持活動)国会で、演壇にしがみついてまで反対し、最後は衛視に排除されたが、自分が首相の時にはPKO派遣を容認している」
──芸能人や文化人、学識経験者も反対声明を出している
「日本維新の会の石原慎太郎共同代表に聞いた話だが、60年安保の時、当時のペンクラブの会長が突然、『じゃあ、安保改定反対ということで声明を出しましょうか』と言い出したという。石原氏が『あんた条文を読んだの?』と聞くと、『そんなことはどうでもいい』と言ったらしい。この法案が成立し、正しく運用されれば、杞憂(きゆう)だったことが分かる」
──反対論が盛り上がった一因に、自民党の石破茂幹事長の「テロ行為」発言がある
「石破氏は『不適切で誤解を与える』と謝罪し、発言を撤回・削除している。われわれは、こうした誤解を与えないようにしなければならない。政府に意見を伝える正当なデモは、当然の権利だ」
──法案の所管である森雅子内閣府特命担当相が、メディアにたたかれていた
「森大臣はよく乗り切ってくれた。野党に厳しく追及されても、弁護士・法律家らしい、緻密な議論をしていた。議事録を読んでもらえばよく分かる。頑張ってくれた」
──先日来日したバイデン米副大統領とは、同法案について話したのか
「この法案についてバイデン氏とは話していない。ただ、どの国とは言えないが、情報機関のトップが『日本にNSCができ、秘密保全の法律ができて、情報の提供はよりスムーズになる』とハッキリ言っていた。法律に加えて、信頼関係があって、国民を守るための情報交換・情報収集はうまくいく」
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