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秘密は必ず漏れる 厳罰法 確信犯には通じない/中日新聞6日特報 ほか(薔薇、または陽だまりの猫)
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/5614a282f973bf7418dffcff5ac67ad4
秘密は必ず漏れる 厳罰法 確信犯には通じない
2013/12/06【中日新聞・特報】
本紙「特報」欄が特定秘密保護(保全)法案を初めて取り上げたのは昨年2月だった。原点に戻れば、この法律にはつくる理由がない。過去の情報漏えい事件を振り返れば、この法律で「秘密」は守れないからだ。意見公募、公聴会、世論調査の全てで、成立を危ぶむ民意が示された。情報を共有するという米国のメディアも懸念を表した。現政権の暴走はこの国を壊しかねない。
(出田阿生、林啓太)
「巨大な情報を官僚が握り、周期的に情報の漏えいがあり、その犯人を厳罰に処する。これが米国モデル。日本も同じ道を進むつもりなのか」
明治大のローレンス・レペタ特任教授(情報法)はそう問い掛けた。
政府は秘密保護法の意義を「(日米)両国間の情報共有が質量双方で広がる」(岸田文雄外相)と説明する。だが、その米国は機密情報をうまく保護できているのか。
レペタ教授によると、米国では大統領令で、漏れれば国家の安全への損害が「合理的に想定される」情報を機密とする。重要な順に「最高機密」「極秘」「秘密」の三段階に分かれ、一年間に指定される機密情報は合計一億件に上るという。
その多くが軍事に関わる情報だ。情報の漏えいを厳しく罰する一方、政府に批判的な人物や団体の動きを徹践的に監視している。一九一七年導入のスパイ防止法は「合衆国に危害を及ぼす」情報などを意図的に収集譲渡した場合、最高で禁錮十年と規定。二〇〇一年の米中枢同時テ口を契機にできた愛国者法では、動物愛護団体までをテロリストの疑いで捜査した。
★米と同じ道に
それでも重大な情報流出は絶えない。今年八月には、米陸軍の情報分析官(上等兵〉だったマニング氏が、スパイ防止法違反などの罪状で禁錮三十五年の判決を受けた。同氏はイラク戦争で米軍ヘリが市民を殺害する様子を撮影したビデオ画像や、外交公電などを内部告発サイト「ウィキリークス」に漏らした。
ほぼ同時に、米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン氏が外国の政府に対する極秘の監視活動などに関する情報をメディアに漏らした。
レペタ教授は「機密情報の量は膨大で、情報を扱う資格を持つ人員も約四百万人に膨れ上がっている。秘密を増やせば増やすほど、漏えいする可能性も高まっている」と指摘する。
さらに厳罰化も役に立っていないという。「信念から情報を漏らす人は止められない」(同教授)からだ。実際、マニング氏は「米軍の人命軽視を告発、スノーデン氏も「世界の人々の自由を守る」ことを訴えた。
安倍政権下での秘密法導入について、レペタ教授は「悪用される可能性が強い」と言う。デモとテロを混同した自民党の石破茂幹事長を例に「こういう感覚の政治家らに秘密指定の自由を与えられない」と強調した。
レペタ教授は「秘密を守る基本は、対象情報を極力少なくすること。政府が秘密指定を不法行為の隠れみのに悪用する可能性も減る」と忠告した。
★技術的に困難
そもそも、日本では深刻な情報漏えい事件が起きているのだろうか。
政府は「公務員による主要な情報漏えい事件」は過去十五年間で五件と説明。安倍首相はここから「情報漏えいに関する脅威が高まっている」とし、法案成立は「喫緊の課題」(十月十七日の参院本会議)と訴えた。
だが、この解釈は現実にそぐわない。先の五件とは、海上自衛隊の海佐が情報を漏らしたボガチョンコフ事件(〇〇年)、イージスシステムの情報漏えい(〇七年)、内閣情報調査室職員の情報漏えい(〇八年)、中国潜水艦の動向の情報漏えい(同)、尖閣沖漁船衝突事件の情報漏えい(一〇年)の各事件だ。
しかし、実刑判決はボガチョンコフ事件(懲役十月)だけで、残りは執行猶予と起訴猶予。首相自身が先月七日の衆院本会議で、特定秘密に該当するのは中国潜水艦事件だけと認めている。
神戸大大学院の森井昌克教授(情報通信工学)は、技術面からも「秘密保護法ができても、情報漏えいがなくなるということはない」と話す。
警視庁外事三課作成とみられる国際テロ捜査資料のネット流出事件は迷宮入りになった。一因は発信元を匿名化するソフト「Tor(トーア)」が使われたためだ。昨年発生したパソコン遠隔操作事件でも使われたが、これは「小学生でも十分使える」(森井教授)ソフトだという。技術的に漏えいを防止するのは困難なのが現実だ。
★狙いは市民側
中央大の兵藤宗吉教授(認知心理学)は「確信犯」にこの法律が通じないとみる。「情報を出すことを使命と思っている人には、新法ができても影響はない」
尖閣沖漁船衝突事件の映像を流した元海上保安官は「(政府は)出すべき情報(映像)を勝手に秘密にした」と語った。この一言は、政府が漏えいを恐れるような秘密を漏らすのは、出す強い意思を持った人であるという事実を示している。
兵藤教授は「従って、この法律の目的は公務員の秘密漏えい対策ではなく、情報を知ろうとする市民を心理的に抑圧することだろう」と説く。
福島原発事故以降、無名の市民たちが行動を起こし、ネット上で情報が盛んに交換されている。「秘密法で、安倍政権はこうした人たちの動きを止めたいに違いない」
安倍政権がこの法律をその強化に役立てたいという「日米同盟」の相方である米国からも、疑問の声が上がっている。
ニューヨーク・タイムズ(電子版)は先月二十八日、「秘密保護法によって、日本は戦後の平和主義から離脱するのか」と題する記事を掲載。
今月二日付の通信社ブルームパーグの電子版ページも「秘密保護法案はジャーナリストをテロリストに変える」と題したコラムを掲載。「国家機密に詳しい人から情報を探ろうとするだけで、罪に問われそうだ。もし私が官僚とビールを飲んでいてまずい質問をしたら、逮捕されるのだろうか」と皮肉っている。
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【大阪『朝日』'13/12/3(火)】
======================2面解説
◆法整えても情報得られず−−罰則強化は「関係ない」
政府関係者の多くは、特定秘密保護法ンお制定を急ぐ理由として、
「アメリカから極秘の情報が得られないから」と説く。だが、法を整備すれば、必要な情報を得られるという考え方は、甘すぎるのではないか。シリア危機を巡る日米の情報のやり取りからは、そんな懸念が浮かぶ。
米国は今年8月下旬から9月上旬にかけて、アサド政権による化学兵器使用を巡る極秘情報を、日本に提供した。当時、米国が選択肢の1つとしていたシリアへの武力行使への支持が欲しかったからだ。
一方で、日本の支持とは関係がない、ロシアとの極秘交渉の動きは一切、日本には伝わってこなかった。
日本が必要とする情報はどうすれば得られるのか。
韓国の国家安全保障会議(NSC)事務次長を務め、アメリカとの情報のやり取りに詳しいイ・ジョンソク氏は「日本がどこまで米国に有用な情報を提供できるかに懸かっている」と指摘する。
一方で、特定秘密保護法で罰則が強化されることは、必要な情報の提供とは「関係がない」と言い切る。
「5535」と呼ばれるコードナンバーがある。〜(略)〜〈エシュロン〉で「日本の外交情報」に付与する分類番号のことだ。
山本武彦:早稲田大学政経学術院教授らによれば、エシュロンには 掴んだ情報の内容、日時、〜等が登録されているとされる。参加国は 在外公館や軍施設などのアンテナを使い、電話や電波、電子情報を収集するという。
関係政府がエシュロンの存在を公式に認めたことはないが、日本の情報関係者はエシュロンの存在を否定しない。〜(略)〜
とはいえ、その全容はまだ掴めていない。〜〜 そもそもエシュロンのような情報収集を行う覚悟や予算が、今の日本にあるとは思えない。
そんな状態に置かれる日本が、「秘密保護法とかがないと、米国から情報をもらえない」と訴える。情報収集の世界の非常な現実を踏まえない、上滑りな主張に聞こえる。有権者はとうてい納得しないだろう。
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●秘密保護法は公文書管理にも逆行する と、管理する係
(公務員)の側から攻める赤旗。
ほんと公務員には強いわ。政府が公務員を縛りたがるわけね。
【日刊『赤旗』'13/12/3(火)】 インタビュー
=========================文化面
<日本アーカイブズ学会副会長:安藤正人さんに聞く>
■秘密保護法(案)は 公文書管理に逆行する■
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行政文書は国が何をしているかを国民に知らせる道具だから、
適切な作成・保存・活用は、民主社会の実現に欠かせない。
それを妨げる秘密保護法(案)は有害だ―― この立場から、
日本アーカイブズ学会は同法案の廃棄を求めています。
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私たちの学会はアーカイブズ(記録・情報)の生成、保存、活用に
ついての理論と技法を研究し、実践するための学会です。
≪★海自航海日誌や薬害ファイルが≫
行政文書の管理がいかに重要か。身近な例をあげましょう。
年金記録のずさんな管理が国民に大きな被害を与えました。
イラク戦争への燃料転用疑惑が向けられた海上自衛隊の補給艦「とわだ」の航海日誌が、保存期間中にもかかわらず破棄されていました。
薬害エイズ事件では、厚生省のロッカーから隠されたファイルが出てきました。
こんなことではだめだと、2011年に『公文書管理法』ができました。
文書管理とは、行政が、自分が何をしたかを示す文書をきちんと作って管理することです。管理とは、外に出してはいけないものも いいものも管理する。出してはいけないものは個人情報で
す。
私たちは「秘密」とは呼ばず「非公開」と呼びます。
非公開と決めた情報には基準を作り、期限を設けて国民にそれを知らせ、期限が来たら開示する。その仕組みを作るのが管理です。
ところが秘密保護法案は とにかく秘密。国民に見せない。これは管理ではありません。何を秘密にしたかも公表しなくていいわけだから、公文書管理法で義務づけられている[行政文書ファイル管理簿]にも記載されません。情報公開法に基づいて開示要求して、「それはありません」とはねつけられても反論できません。
冒頭に挙げた3つの事例も、文書が秘密指定されていれば 永遠に知ることができないところでした。
安倍首相は先月、〈国立公文書館〉を視察して、秘密指定を解除された文書について、「保存期間が経過したものは他の行政文書と同様、歴史的文書として適切に扱われる」と語ったようです。
しかし国立公文書館に移管されると言っても、何が秘密かが分からなければ「全部移管した」と言われてもチェックする方法がありません。
≪★管理法に則せば漏れるはずない≫
公文書管理法に則してきちんと管理すれば 秘密は漏れるはずはないのです。秘密漏洩と言いますが、あれはむしろ管理の瑕疵です。
漏れることを想定して 漏らした人を罰するのではなく、公文書管理をきちんとやる体制を作ればいいのです。
私たちは、公文書管理法の趣旨にのっとって国立公文書館の機能拡充を求めています。
同館の職員は47人です。アメリカ2671人、イギリス599人、フランス579人、ドイツ789人、韓国338人 と比べていかに貧弱か。
諸外国では 職員をレコードマネジャーとかアーキビストと呼んで専門職です。わが国でも専門職として養成することが大事です。
公文書管理法は第1条「目的」で、公文書は「国民共有の知的資源として主権者国民が利用しうるものだ」と位置づけています。だから国が適切に管理して 行政が適正かつ効率的に運営されるようにし、「国の諸活動を 現在および将
来の国民に説明する責務がまっとうされることを目的とする」と定めています。
秘密保護宇案は これに逆行しています。
(あんどう・まさひと:学習院大学教授/アーカイブズ学)
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