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春名幹男先生は、言わずと知れた、あの“ポダム”が出てくる『秘密のファイル』(新潮文庫)の著者だ。
防空識別圏は、中国でなく、日本側が先に拡大していた。尖閣諸島の直近、与那国島周辺でだ。
今回の中国方、防空識別区新設は、日本人の極少一部分からすれば、挑発外交の“画期的な成果”であった。
中国指導部が一大決定したことが、日本側の中国敵視軍拡論者の待ち望むところであったとは奇怪な話だ。
沖縄県八重山諸島の与那国島西方防空識別圏の一方的拡大、八重山でつくる会教科書のごり押し、尖閣漁船衝突で中国人船長逮捕実行、、、など数年来の延長線上にあっる。
角栄以来の棚上げ外交の破壊という彼らの到達目標を達成したかのような一段階に押し上げた今、あとは「盧溝橋」着火を・・・「待って」いるのか?
民間航空機の届け出を中止させて日本政府は、何をしようとしているのか。下請け大本営の日本版NSCで、なぜ中国・北朝鮮が仮想敵にされているのか。無限拡大可能な条文の秘密保護法が、なぜ今、急がされるのか。
安倍総理の口でもする外交について以下のような指摘をされている。
===以下引用開始===========
執筆者 春名幹男先生
「日米間の齟齬を「言葉のあや」でごまかすな」
=================
「米政府が、民間航空会社にフライトプランを提出するよう要請したことはないと外交ルートを通じて確認している」
安倍晋三首相は1日、視察先の岩手県釜石市で記者団にそう説明した。
中国による「防空識別圏(ADIZ)」の設定、必ず関係国間の情報戦ないしは心理戦の様相を呈するとみていたので、実際に米政府が何と指示したのか、検証してみた。
「ノータム」に沿った運航を「期待」した米政府
米国務省のホームページに、11月29日付で「中国が宣言したADIZ。米航空会社のためのガイダンス」というタイトルで国務省スポークスマンへの質問に対する回答という形で次のような文章が掲載されていた。
*質問: 中国が最近宣言したADIZを運航する米航空会社に対して特別に何かガイダンスを出しているのか?
*回答: 海洋および空域の上空通過の自由および国際法に沿った利用は太平洋における繁栄と安定、安全保障にとって不可欠である。われわれはなお、中国が「東シナ海航空識別圏」を宣言したことを深く憂慮している。
米国政府は一般的に、国際的に運航している米航空会社が諸外国が発行するNOTAMs(Notices to Airmen、いわゆるノータム、航空情報)に沿って運航するよう期待している。ノータムに沿った米航空会社の運航をわれわれが期待していることは、新たに宣言されたADIZへの運航に対する中国の要求を米国政府が受け入れたことを示すものではない。
確かに安倍首相が言うように、米政府は米航空会社に「要請」などしていない。しかし、「一般的」なガイダンスとして、中国が出した憂慮すべきノータムでも守ることを「期待」しているのだ。従って、大手米航空会社は政府から飛行計画の中国への提出を求められたと判断してそのように行動したのである。米メディアはすべてそのように伝えている。
日本の総理が米政府が言いもしない言葉を挙げて事実確認した、と公式に言明することの是非を日本のメディアは問うべきだが、残念ながらそんな報道は見当たらない。
米国はクリスマスに次ぐ長期休暇の感謝祭連休で、日本も安倍首相は出張中だった。日本版国家安全保障会議(NSC)も「未開店」であり、一部官僚の発想であえてこうした回答がまとめられたとみていい。
「安倍政権を勇気づけるな」と警告していた米紙
11月23日に中国が発表した東シナ海防空識別圏。「中国のお手つき」という第一印象を持った人が多かったのではないか。現実に「中国のオウンゴール」とする専門家の意見も米メディアでは伝えられていた。
これで日米韓が結束を取り戻せる、とみた人もいるだろう。
しかし、現実はそれほど甘くなかった。
ニューヨーク・タイムズ紙は社説で、安倍政権を「ハイパーナショナリスト(超国家主義)政権」とし、中国の防空識別圏設定については「中国との緊張を高めるバカげたリスクを冒す安倍政権を勇気づけることなく、日本の国益を守る方法をオバマ政権は見つけるべきだ」と指摘していたのである。
同紙はクオリティペーパーではあるが、米政府の広報紙ではない。ただ、米国務省などを取材先として情報を集めて、社説をまとめることはよくある。オバマ政権の見解をそのまま取り入れることはなくても、ある程度反映しているとみてもいいだろう。
現実には、オバマ米政権は当初から安倍政権の出方を警戒しながら、対応を進めていたのは事実だと思われる。
こんな時こそ、日本政府は米政府と緊密に協議すべきだった。
民間航空機が中国に対して飛行計画を出すべきかどうかをめぐって、日米間の齟齬を露呈してしまったのは拙い。中国メディアはこの点を突き始めたようだ。米政府が乗客の安全を第1として、鷹揚に対応したのに対して、安倍政権が言葉のあやでごまかすことは避けるべきだ。
(春名幹男)
キーワード:
インテリジェンスの部屋
執筆者:春名幹男
1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、 『秘密のファイル』(新潮文庫) 、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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===以上引用終了====
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