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巻頭レポート 小泉純一郎を「原発ゼロ特命大臣」に! わき上がる待望論
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37681
2013年12月02日(月)週刊現代 :現代ビジネス
あの大震災と大事故を目の当たりにし、日本人は原発に頼らず2年以上を過ごしてきた。頼らずとも済むと分かったのに、なぜ今時計の針を戻そうとするのか。答えは出ている。原発はもはや必要ない。
■自民党が割れそう
大震災と原発事故から2年8ヵ月、小泉純一郎元首相が放った一言により、再び大きな流れ≠ェ変わろうとしている。
「自民党の国会議員約20人が脱原発の勉強会を立ち上げるそうです。参加者は当選1回の新人議員と、前回選挙で返り咲いた2~3回生の議員が中心。返り咲き組の中には、落選中に脱原発を掲げて再選を果たした議員がかなりいます。勉強会には、小泉氏を招いて、脱原発の講演をしてもらうことも検討しているようです」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
発足以来、福島第一原発の破局的事故を忘れたかのように、再稼働など推進策を前面に出してきた安倍晋三政権。この流れの中に、巨大な一石を投じたのは、安倍首相の恩師≠ナもある小泉元首相だった。
小泉氏の「即時原発ゼロ」宣言を受け、動揺の色を隠せないのは現役の自民党議員たちだ。中堅議員の一人がこう語る。
「党内は確実に揺れています。次の選挙に不安がある中堅議員たちの動揺が、もっとも激しいかもしれません。小泉さんの発言を受けて、原発推進派の旗頭である細田博之幹事長代行は、派閥の会合で『あのような(即時原発ゼロという)発言があったが、あれは完全に間違いである。気にしないように』と、わざわざ釘を刺したりして、火消しに必死の様子です。しかし若手の中からは『小泉さんの言う通りじゃないか』という賛同者がどんどん増えている状況です」
自民党内では、「引退した人間なのに、あまりに無責任」「ロートルのたわごと」などと小泉発言を罵倒するベテラン議員らがいる。その一方で、「きわめて真っ当な意見だ」という中堅以下の議員らの声もあり、百家争鳴の状態だ。盤石の態勢に見えていた安倍政権が、「原発ゼロ」のたった一言で、土台から揺さぶられているのである。
前出・鈴木氏はこう語る。
「もし自民党内に脱原発を目指す議員たちの勉強会ができたら、安倍政権とはまったく逆の方向を目指すことになります。これはかなり大きなインパクトになるでしょう。安倍首相にしてみれば、非常に厄介な問題を抱えたことになります。首相は、小泉氏の発言をハラハラしながら見守っているはずです」
■それが国民の意思
小泉氏本人は、自分の発言に対して自民党幹部が侮蔑するかのような批判を繰り返したことに、だいぶご立腹だという。
「俺を舐めるのか、やるなら徹底的にやってやる、郵政民営化の再現だと、いよいよ安倍政権との対決姿勢を固めていると聞いている」(自民党ベテラン議員)
そんな中、激震が収まらない自民党内や、一部の脱原発を目指す野党議員の中からは、驚くべき声も上がり始めた。なんと、引退したはずの小泉氏に政界復帰してもらい、入閣して原発ゼロ担当特命大臣≠ノ就任してもらったらどうか、というのだ。
自民党若手代議士の一人が、こう力説する。
「党内では幹部級の古い世代に原発推進論者が多く、なかなか『原発はダメだ』とは言いだしにくい。でも、そうしたベテランも、小泉さんの発言の威力には誰も敵いません。実際、表だって小泉さんに反論する人はほとんどいなくて、『妄想だ』とか陰口を叩いている人ばかり。こういう勢力を、ぜひ叩き潰してほしい」
別の若手代議士も、本誌の取材にこう答える。
「党内には確かに原発推進論者が多いのですが、彼らが50人集まっても、小泉さんの一言に敵わないことが証明されました。小泉さんや、同じく脱原発を提唱している細川護熙元首相を中心に、原発ゼロに向けた国民会議を立ち上げるべきだという意見も出ています。安倍首相は、小泉さんを三顧の礼をもって迎えるべき。国民の声を無視する政権は、長続きしない」
■推進派を落選させよう
もしも小泉原発ゼロ特命大臣≠ェ誕生したら、政界のみならず、日本社会の様相は一変するだろう。
まず、小泉大臣は原発ゼロを目指す政府諮問会議を設置。民間の識者を次々と採用し、「知恵を出してもらう」(小泉氏)。さらに、強硬な原発推進論者たちを「抵抗勢力」と断定し、今後の日本がどちらに向かうべきなのか、口角泡を飛ばして世に問うに違いない。
直近の大手新聞社の世論調査で明らかなように、日本国民の大半は原発頼みの社会に懐疑的であり、脱原発へ向けた大きなムーブメントが沸き起こる。原発推進を唱えていたら選挙に落ちるとなれば、守旧派の自民党議員たちも世論に従わざるを得ない。
「これまで毎年兆円単位で原発に投入されてきた国費が、再生可能エネルギー開発や、原発の廃炉技術の研究などに回されるようになる。電力会社や関連のプラント企業も、否応なく、新時代に対応せざるを得なくなり、近い将来、原発ゼロ社会が実現する」(脱原発派の自民党中堅代議士)
小泉氏は原発ゼロに向けた事業を「夢のある仕事だ」と語った。政治とは本来、国家と国民が目指す夢や理想の方向を指し示すものだ。「エネルギーが足りないから仕方ない」などと現実に妥協ばかりをしていたら、国の成長や発展は止まり、革新や改革は行われなくなり、国民の意識も経済もどんどん縮んでいく。
少子高齢化に格差社会、日本企業の凋落、大増税と、ともすれば悲観論ばかりが出てくるこの日本に、「原発ゼロ」という新しい道を指し示す。それこそが、現在の日本に求められる政治ではないのだろうか。
元日弁連会長の宇都宮健児氏も小泉氏の復活を歓迎する一人だ。
「私自身は小泉さんの政界復帰があっていいと思います。脱原発を実現するために小泉さんが政界復帰をすると言えば、一緒にやろうという人たちがかなり集まってくるでしょう。
小泉発言を無責任だと言う人々がいるようですが、そう言う人たちこそ、被災者の支援や事故の収束に対し、真摯に向き合っていないのではないか。高レベル放射性廃棄物の処理問題などは無視して、目先のコストや利益のことしか考えていません。経済界も同罪で、本当に長期的な展望に立って日本のことを考えているのか、疑問があります」
また、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏も、こう語る。
「かつての郵政関連の利権どころではない、原発の利権組織や独占企業体を解体できれば、大きなイノベーションが始まるきっかけとなります。原発廃止に伴い、新しいエネルギー分野に挑戦しようという人々が続々と現れ、イノベーションの嵐のようなことが起きる」
もともと安倍政権は、「民主党がダメ過ぎた」という消去法による選択の結果、成立している。アベノミクスという経済政策の効果に対し、国民が様子見をしていることから、表面上の安定を見せているだけだ。
期待に反し、安倍首相は新しい成長戦略を生み出せないでいる。すでに株価は頭打ち、ほとんどの国民の収入はまったく増えず、逆に増税など出血を強いる政策が目立ち始め、徐々に支持率も落ち始めた。
その上で、事故の収束も反省もなく、再び原発中心の政策に舵を切ってそれに頼ろうとするなど、安倍首相自身が自らの無能を認めているようなものだ。
福島第一の事故処理は、少なく見積もってもあと数十年~100年を必要とする。放射性廃棄物(核のゴミ)の処分となれば、地中に埋めて、10万年あるいはそれ以上の時間をかけるしかない。
そうした事実に目を瞑り、原発ムラという既得権益集団に媚びて、目先の利益や支持率の維持にこだわってどうするというのか。小泉氏は、その現実をあらためて突きつけた。
だが安倍首相は、恩師の叱咤に無反応のままで、「決断」ができないようだ。
自民党の「福島原発事故究明に関する小委員会」の委員長を務める村上誠一郎議員は失望を隠さない。
「安倍首相は、原発の再稼働どころか、あわよくば新規建設まで狙っているようです。だがその前に、原発事故の徹底した原因究明や、汚染水の漏洩などの対策、事故処理のほうが先でしょう。原因もよく分かっていないのに、海外に原発を売るなどもってのほかです。震災から2年以上が過ぎ、国会議員の多くが、あの時の教訓を忘れてしまっているのではないか」
■政権を代えよう
安倍首相は、原発を再び動かすことが日本経済再生の切り札と考えている。だが、原発ムラが復活し、その関係者が一時的に潤うことが、果たして真の経済再生につながるのか。新技術も生まれず、新規産業も創出されず、単に既存の電力関連組織が温存され、過去に戻るだけ……。そのうち、次の大地震や災害で再び原発事故が起きれば、今度こそこの国は破滅なのだ。
もし、今後も安倍首相がそれを理解できなければ、いま様子見をしている国民が、一斉にそっぽを向く日がまもなくやって来るだろう。
政治ジャーナリストの山田惠資氏がこう語る。
「小泉氏は脱原発について、自民党内の勢力図は『五分五分だ』と話していましたが、これは現実的な見方だと思います。実際に自民党にも脱原発派は多いのですが、今の安倍首相に逆らえないから黙っているだけ。もしも安倍氏の求心力が落ちてくれば、脱原発が大きな政治テーマとして浮上してくるでしょう」
前述したように、安倍首相の生命線はアベノミクス。しかし、ここに来てその効果に限界が見え始め、増税など負担ばかりが増えてきた現実に、多くの国民が疑問を持ち始めた。放っておけば、政権維持がまもなく困難になるのは確実だ。
「それを計算した上で、小泉氏は仕掛けているように見えます」(前出・山田氏)
小泉氏の「即時原発ゼロ」発言が飛び出した直後、その次男である、小泉進次郎内閣府政務官は、「父はああいう人なので」などと前置きしながらも、こう語っている。
「石破茂幹事長は、自民党と同じ方向だと言っている」
「課題は多いが、今回のことをチャンスと捉えて、さまざまな議論を進めればいいのではないか」
冒頭で紹介した自民党の若手・中堅議員らも、進次郎氏の今後の動向に注目しているようだ。安倍首相がこのまま突っ走り、民意を見失えば、政界に新たな激震が走るのは間違いない。
前出・鈴木氏もこう話す。
「小泉氏には取材や講演依頼が殺到しており、やはり人気は非常に高い。テレビでも小泉発言を報じると視聴率が上がる。みずから国民に情報を発信する得意の手法は今も有効で、小泉氏はムーブメントを起こせる。
これに野党が相乗りしてくれば、来年4月、予算案が国会を通ったころに、脱原発で政変になる可能性もあります。4月には消費税が上がり、増税ショックが安倍政権を襲う可能性が高い。そこで株価が下がれば安倍人気が急落し、脱原発ムーブメントに火がつくかもしれません」
■やっぱり原発はいらない
現役時代から、良くも悪くも「風」を見るのに長けていたのが小泉氏だった。原発推進のみならず、公共事業に巨額のバラマキなど、守旧主義的な政策を連発する安倍首相に対し、「進む方向が間違っている」とメッセージを送る小泉氏の見立ては正しい。首相がそれを理解できなければ、脱原発を求める国民の声が反映された、新たな「枠組み」が求められる日が来る。
「小泉さんの狙いとしては、安倍首相が姿勢を変えないようであれば、小泉進次郎氏や河野太郎氏らを核とした脱原発の対抗軸を作り、ポスト安倍の受け皿とすることも視野に入っていると思います。もちろん、安倍首相が脱原発を決断すれば話は早いわけですが、それができなければ、自民党の中で権力に穴をこじ開けていくような道筋をつけていくことも大事ということです」(前出・飯田氏)
そして、そんな政界をただ眺めていれば、日本の未来が守られるというわけではないだろう。社会学者で慶応大学教授の小熊英二氏は、次のように語る。
「脱原発の流れを止めないために効果があるのは、それぞれの皆さんが、自分の職場などで、小泉発言をどう思うか、話し合ってみることでしょう。実はみなさん自身が、企業や経済界の一部であり、自治体やマスコミや政界の一部であるわけですからね。大臣がこうすべきとか、マスコミがどうだとか、他人の批判をするより、自分たちで知恵を出しあって動いてみる。小泉発言を一過性にしないためには、それが一番と思います」
原発は日本にいらない。小泉氏のためでもなく安倍首相のためでもなく、自分と家族の未来のために、もう一度国民も決断をしなければならない。
「週刊現代」2013年12月7日号より
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