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朝鮮半島有事に際して、個々の事前協議なしで特定地域での戦闘行動について包括的に日本国内の基地を戦闘行動に利用できるという合意が“事前協議”の概念に合致しているものであるかのような話の記事である。
昨今の集団的自衛権論議でも、前提条件抜きで、ミサイルが日本を超えて米国本土に向かったらとか、近くにいる米軍艦船が攻撃を受けたらなどといったケースを持ち出して、“同盟国”の日本が手を拱いたままでいいのかと煽る政治家もいるが、憲法問題はおくとしても、米国本土にミサイルが向かうような事態が起きたワケを語らずにそんな話をしても意味がない。
朝鮮半島有事といっても、北朝鮮が韓国に攻撃を仕掛けるケースもあれば、米国が北朝鮮政権転覆をめざして先制攻撃を行うケースもあり得る。
米国が、戦闘行動のために在日米軍基地を使用したいと望んでも、それを認めるかどうかは具体的な状況を勘案したものでなければならない。
「危機が顕在化する前に協議を開き、包括的な合意を取り付けた可能性が高い」とし、それも“事前協議”の一つと見る考えは、事前協議制度を有名無実化してしまうものである。
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「半島有事で基地使用」合意 日米、60年に事前協議 密約報告と異なる資料
【ワシントン=中山真】日米両政府が1960年の日米安全保障条約改定時に、朝鮮半島有事の際に日本国内の米軍基地の使用を認める取り決めをしていたことが分かった。新たに設けた事前協議制度を初めて活用し、日米が合意したとみられる外交文書が見つかった。2010年に鳩山政権で公表された日米の密約問題に関する有識者の報告書とは異なる事実を示す資料となる。
新たな外交文書は、外務省が当時設置した密約に関する有識者委員会のメンバーの一人だった坂元一哉大阪大教授が事実を再検証して確認した。日米による事前協議の開催を示唆する複数の資料が見つかり、近く分析をまとめた論文を公表する。
日米両政府は安保改定時に、在日米軍基地の戦闘行動のための使用は事前に協議するとの方針で合意した。在日米軍が日本政府の意に反して軍事行動を行えば戦争に巻き込まれかねないとの懸念が背景にあったが、朝鮮半島有事という重大事案でも協議をするかどうかが焦点となった。
坂元氏によると、当時のマッカーサー駐日大使が「事前協議の枠組みを壊さないで解決する」と発言した記録などを確認。危機が顕在化する前に協議を開き、包括的な合意を取り付けた可能性が高いと結論づけた。
事前協議の枠組みにこだわる日本側のメンツを立てつつ、米軍基地使用の自由度を確保する狙いがあったとみられる。
外務省の有識者委が10年3月に公表した報告書は「朝鮮半島有事の際は事前協議を免除する密約があった」と結論づけた。ただ今回の資料と分析が正確だとしても、事前協議の開催や合意の内容は公表されていない。広い意味での密約だったとの見方もできる。
[日経新聞11月1日朝刊P.1]
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日米安保、事前協議のあり方課題
日米安保条約の改定時にできた事前協議制度は、実績がないとみられてきた。今回、朝鮮半島有事を念頭にした協議の開催をうかがわせる資料が判明した。防衛協力の強化が求められるなか、制度の位置づけが改めて問われる。
安保条約は在日米軍基地の使用を認める一方、岸・ハーター交換公文で制限を課した。それが米軍の(1)配置の重要な変更(2)装備の重要な変更(3)戦闘作戦行動のための基地使用――に関する事前協議だった。
2010年に外務省の有識者委員会は、朝鮮半島有事の対応を説明した「朝鮮議事録」という非公開文書を確認し、事前協議の例外とする密約とみなした。しかし坂元一哉氏は「事前協議の回避を約束した文書ではなく、秘密裏に行った事前協議の記録という説明が可能だ」と指摘する。
日米は事前協議の「事前」の意味を広くとらえ、危機が深刻になる前に包括的な基地使用を了解していたことになる。坂元氏は「事前協議をより柔軟で実効性のあるものにできれば、例えば極東有事の対応でも有事前に協議を行うことが可能になり、即応能力の向上につながる」と語る。
日米同盟はアジア・太平洋地域の安定のため重要性を増している。協議の枠組みをできる限り明確にし、透明性を高める対応が求められそうだ。
(ワシントン=中山真)
[日経新聞12月1日朝刊P.2]
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