http://www.asyura2.com/13/senkyo157/msg/233.html
Tweet |
(政々流転)仲井真弘多・沖縄県知事 基地の島、自立へ道求め
http://www.asahi.com/articles/TKY201311300432.html
2013年12月1日05時00分 朝日新聞
仲井真弘多・沖縄県知事(74歳) 崩れたシナリオ、迫る決断の時
11月29日午後、沖縄県知事、仲井真弘多(なかいまひろかず)(74)は東京の駐日米大使公邸に向かった。赴任したばかりの大使キャロライン・ケネディに招かれていた。戦後の米国と沖縄のつながりに触れた後、仲井真は「基地負担は過重だ」と訴えた。ケネディは「問題の解決に前進するよう努力したい」と応じた。米側は事前に「安全保障も取り上げたい」と連絡していた。
日米政府は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設で、仲井真から年内に埋め立て承認を得ようと必死だ。「辺野古がダメなら普天間は固定化」と圧力をかけ、沖縄関係の自民党国会議員や党県連を辺野古容認に転ばせた。首相官邸ではこの日、官房長官の菅義偉が「速やかな知事承認を期待する」と言い切った。だが、仲井真は胸中を明かさない。
*
「基地の島」のかじ取り役として、東京と沖縄を頻繁に行き来する。11月だけで少なくとも4回。だが、もともとやりたかったのは、経済成長で沖縄の自立に道筋をつけることだった。
「自給自足や琉球国という意識ではなく、日本経済の中で沖縄の特色をいかに発揮するか」。東京大から旧通産省に進み、1980年に沖縄開発庁の部長として故郷に戻ったとき、対談で「沖縄の自立」についてこう語った。
沖縄の心とは、と問われた3代前の知事、西銘順治が「ヤマトンチュ(本土の人)になりたくて、なりきれない心」と語ったのは有名な話だ。しかし仲井真には、こうした葛藤はない。
県民所得や失業率は全国最下位。基地収入は県民総所得の5%なのに、米軍基地は本島の2割を占める。基地問題は経済問題でもある、が持論だ。沖縄電力を経て県知事になっても、関心は「どうすれば140万県民が食べていけるか」だ。
そのために国と協調し、予算を獲得する。野田政権が沖縄一括交付金を創設した時、仲井真は「3千億円取ってこい」と部下に発破をかけ、大詰めでは当時の官房長官、藤村修に直接かけあった。「全て一括交付金」との要望は取り下げ、総額の半分が一括交付金という落としどころに持ち込んだ。
こうした「合理性」は、基地問題でも仲井真のキーワードだ。
「沖縄県知事の仕事の7割は基地問題に割かれる」と前知事の稲嶺恵一は言う。そこに時間も知恵も人もつぎ込まねばならないことが、仲井真には無駄に見える。自分なら基地問題を終わらせられる――。06年1月、当時の政府案を拒んだ稲嶺を「政府と事をかまえないように」と公然と批判。辺野古移設を容認し、10カ月後の知事選で「3年以内に普天間を閉鎖状態にする」と掲げて初当選した。
*
だが、その任期3年目、シナリオは根底から崩れる。「最低でも県外」を掲げた民主党鳩山政権の誕生だ。
「県外」を求める県民の圧倒的な声に、最後まで抵抗したのが仲井真だった。10年4月の「県外移設を求める県民大会」でも、みながこぶしを突き上げる中、壇上でばつが悪そうに1人、ひらひらと手を振った。
だが大会には超党派で9万人が集まった。基地問題の「現実的な解決」の意味が変わってしまった。このころすでに「僕から埋め立て権限を取り上げたって、みんなが基地に向かって石を投げ始めたらどうなるのか」と周囲に漏らしている。
同年秋の知事選で「県外」を掲げ再選。その旗を降ろすのも時間の問題、と目されていた。しかし、その後も意外なほど発言はトーンを変えない。
11年6月、防衛相の北沢俊美との会談後。「言葉は悪いが、(辺野古移設は)絵空事だ。ただ決めることにどういう意味があるのか」
13年10月、防衛相の小野寺五典らとの会談後。「辺野古が唯一の解決策というのは全く理解できない。県外の方が明らかに早い」
「合理性」ゆえ、環境アセスや埋め立て申請など、法律上の手続きは拒まない。一方で「合理性」ゆえ、実現の見込みのない計画にこだわる日米政府にいらだつ。本土への海兵隊の分散配置も念頭に、九州の自衛隊基地を自ら視察したり、米国の情報を分析する地域安全政策課も立ち上げたりした。それでも政府は「辺野古」と繰り返す。「考えた以上に普天間移設の方向が出ない」。今年2月、そう嘆いた。
*
埋め立て申請の判断は「先送りはしない」と周囲に明言している。そして「七十にして心の欲する所に従って矩(のり)をこえず」と論語の一節を説く。全国で最高齢の知事だ。策をろうさずとも心で判断すれば間違えない――そうけむに巻く。
「大丈夫、仲井真さんは分かっているから」。多くの人が同じせりふを言う。政権高官も、移設反対の市民運動家も。が、「分かっている」と思っていることの中身はバラバラだ。側近は「誰もが自分の見たい像を投影して勝手に期待している」と言う。
判断の分水嶺(ぶんすいれい)は「51対49でも県民が理解してくれるか、だろう」と県幹部は言う。自民党県連が辺野古容認へ転ずる一方、「地元の意思」と仲井真が尊重してきた名護市長は「反対」の意見書を提出した。「合理性」だけで済まない、政治家としての決断を迫られている。=敬称略(山岸一生)
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK157掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。