http://www.asyura2.com/13/senkyo157/msg/204.html
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待ち望んでいた「TPP秘密交渉の正体」山田正彦著 竹書房が今日やっと入手できました。
その179ページには次のように書かれています。
「2010年7月にはオレゴン州でも自治体がついに倒産。教職員、警察官など公務員を大量解雇して、刑務所を閉鎖してしまった。そうなって、刑期を終えていない囚人が町にあふれだして住民が逃げ出したと言われている。カリフォルニアのストックトンも財政破たんしている。そういえば、カリフォルニア州では収入源として、麻薬を開放してそこから税収を上げる話があった。相当に財政は厳しくなっていたのだ。それらは氷山の一角に過ぎない。2011年1月、共和党のリチャード・リオーダン元ロサンゼルス市長が『このままでは全米の自治体の9割は5年以内に破たんする』と述べている。」
また180ページには次のような記述があります。
「今後、地方はますます高齢化が進み、購買力のない年寄りが多くなって、若者は職を求めて都市部へ移住していくことになるだろう。人口が減って購買力がなくなれば、これらの大型店、系列店もすぐに閉店して次に展開していく。新自由主義の行き過ぎで、地方の市町村の財政は、国からの交付金に頼らざるを得なくなっているのが現状である。このような時にTPPに日本が交渉妥結して署名したら、地方はさらに財政難に陥ることは明らかだ。すでに東京都の石原慎太郎前都知事や橋下徹大阪市長などは『米国のように地方自治体も自己責任で財政を賄え』と叫んでいる。」
日本でもすでにそういった動きは出ています。例えば数日前のニュースでは
>リーマン・ショック後の09年度に景気対策として導入した地方交付税交付金の別枠加算(13年度予算で約1兆円)は廃止を要求。
というように地方交付金削減の提言が財政審議会で出されています。
また、今年の春のことですが、次のようなことも起こっているのです。
>財務相の諮問機関・財政制度審議会の論理を整理すると、<1>2012年度の地方歳出は給与費が4分の1(21兆円)を占め、地方交付税を肥大化させている、<2>国家公務員給与は震災復興財源をつくるために2012年4月から2年間に限って平均7.8%削減中で、結果としてラスパイレス指数(全国平均で106.9)は9年ぶりに100を超え、自治体の8割で給与水準が国を上回った、<3>先の「国家公務員給与削減特例法」では、地方公務員給与にも「地方公共団体で自主的かつ適切に対応」という付則がある、<4>地方公務員給与を国家公務員並みに減らせば、給与関係費を全体で1.2兆円削減できる
以下は参考リンク:
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2804G_Z21C13A1EB1000/
4兆円超の赤字削減を 14年度予算で財制審提言
2013/11/29 13:30
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は29日、2014年度予算編成への提言書を麻生太郎財務相に提出した。政府の中期財政計画にかかげた国の一般会計ベースで4兆円を超える赤字削減を要請。診療報酬の改定がある医療費の抑制を「最大の焦点」とし、医師の技術料にあたる診療報酬本体部分の「マイナス改定」を求めた。
政府の中期財政計画は社会保障や公共事業などにあてる政策経費を税収でどの程度まかなえているかを示す基礎的財政収支が国・地方あわせて20年度に黒字化する目標をかかげる。提言書は14年度予算編成が黒字化への「試金石」と指摘。「これまで以上に厳しい姿勢で、聖域を設けず歳出削減に努めなければならない」と訴えた。
個別課題では、社会保障で診療報酬改定への言及に多くを割いた。診療報酬は治療に使う薬や医療資材の値段である「薬価」と、医師の技術料の「本体部分」に分かれる。本体の引き上げは「正負の符号をはき違えている」とし、高収益を上げる医療機関などの高コストな提供体制を疑問視。逆に本体の引き下げが「理(ことわり)」との考えを示した。
公共事業では今後、急速に進むことが予想される人口減少に備え、社会インフラの維持管理でもコスト削減が必要との見解を表明。「厳しい財政制約に耐えうるよう長期的な視野で、残すべきインフラの選別に向けた検討を早急に開始すべきだ」と提案した。
リーマン・ショック後の09年度に景気対策として導入した地方交付税交付金の別枠加算(13年度予算で約1兆円)は廃止を要求。文部科学省が進める少人数学級には否定的で「教職員増員という量的拡大に投資に見合う効果はない」と断じた。
年約1兆円ペースで増え続けている社会保障費の安定財源の確保に向け、現行法で15年10月に予定する消費税率10%への引き上げの「着実な実施」も要望した。
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http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qapolitics/20130226-OYT8T00516.htm
政府が地方公務員の給与費削減のために地方交付税を削減しましたが、この要請は当然ではないですか?
国民の多くは「官僚天国」のような状態には厳しい目を向けています。ただ、今回の問題は複雑な背景と制度の課題があり、そう単純ではありません。
政府と全国知事会など地方6団体の代表による「国と地方の協議の場」が1月15日、政権交代後初めて首相官邸で開かれ、2013年度の地方公務員給与について、麻生副総理・財務相(手前右端)が国家公務員と同様に7・8%削減することを地方側に要請した(首相官邸で)
まず、麻生財務相(副総理)の問題提起を聞きましょう。
財務相は新政権になって最初に開かれた1月15日の「国と地方の協議の場」でこう述べました。
「7.8%のカットを国家公務員はすでに履行している」
「新年度予算は、自民党としては中期的に財政健全化をうたい、日本経済再生の原点に考えている。中身を重点化しなければならない。地方財政の課題は何と言っても給与の削減。7.8%のカットを国家公務員はすでに履行している。(国家公務員の水準を100とした場合の)地方公務員のラスパイレス指数は106ぐらいになっている。なかなか理解を得られるところではない。新年度予算からお願いする」
財務相はこう前置きし、地方交付税交付金の削減にふれました。
「今回の補正予算で、1.4兆円を地域の元気臨時交付金として計上し、(公共事業の地方負担を肩代わりするなど)最大限の配慮をした。1.4兆円が来るのだから、その半分、6000億円ぐらいを削っていただくことになる」
自治体の8割で給与水準が国を上回る
財務相の諮問機関・財政制度審議会の論理を整理すると、<1>2012年度の地方歳出は給与費が4分の1(21兆円)を占め、地方交付税を肥大化させている、<2>国家公務員給与は震災復興財源をつくるために2012年4月から2年間に限って平均7.8%削減中で、結果としてラスパイレス指数(全国平均で106.9)は9年ぶりに100を超え、自治体の8割で給与水準が国を上回った、<3>先の「国家公務員給与削減特例法」では、地方公務員給与にも「地方公共団体で自主的かつ適切に対応」という付則がある、<4>地方公務員給与を国家公務員並みに減らせば、給与関係費を全体で1.2兆円削減できる――というわけです。
地方6団体は異議を唱えましたが結局、結果は次のようになりました。地方自治体に配る地方交付税総額は17.1兆円で、今年度より2.2%減(3900億円減)で、配分額が前年度を下回るのは6年ぶりになります。ただし、地方税収を1.1%増と見込むなどして、使途を限定しない一般財源の総額は前年度より0.3%増えるかたちを整えました。
地方公務員は13年度限定、国家公務員は2年間限定で削減
焦点だった地方公務員の給与削減については、当面2013年度に限り、7月から実施の臨時特例として、給与費を8504億円減額することになりました。国家公務員が震災復興財源に充てるために2年間限定で削減していることに歩調をあわせるよう、地方交付税を削減することによって地方自治体を誘導するというわけです。
ただし、この削減と引き換えに、<1>これまでの自治体の人件費削減努力を反映させた「地域元気づくり事業費」(3000億円)、<2>緊急防災・減災事業費(4550億円)、<3>国が実施する「全国防災事業」の地方負担分(973億円)――を新設して、合計8523億円を地方財政計画の歳出に計上しました。
中央政府にはない地方公務員給与の決定権
2つの見方が成り立つでしょう。1つは、「官僚天国」には厳しい目を向けている国民感情からみて妥当だという考え方です。地方公務員の給与は国公準拠という原則があり、その国家公務員が大震災の復興財源捻出のために給与カットをしているのだから、地方は国に従う必要があるということになります。
もう1つの見方は、国が地方自治体に給与費の削減を要請することはありうるにしても、地方交付税の削減を通じて事実上強制することは筋が通らないという考え方です。地方交付税は自治体の一般財源を保障するものであって補助金ではありません。そもそも、地方公務員給与の決定権は中央政府にないのです。地方自治体職員の給与は、国公準拠という原則を踏まえながら、住民の声を聞き、議会が自主的に条例で定めるものです。そうすると、公務員給与の削減の是非も、その程度も、削減した場合の財源の使途も、自治体が自分の頭で考えて、住民との合意で決めるのが地方自治だということになります。まして、多くの自治体はこの10年間、相当数の定数削減をしてきた経過があります。
なぜ国が自治体を選別・評価して決めるのか
国に反発する主張にたてば、今回の地方財政計画で国が地域の減災・防災事業を財源保障することは重要だとしても、問題は地域元気づくり事業にあるということになります。「地域の元気」をつくる財源の配分額を、補助金でもなく自治体の自由な財源を保障するはずの地方交付税を使って、なぜ国が自治体を選別・評価して決めるのかということに発展するわけです。
結局、この問題は、国から強制されるのではなく、自治体自身が自ら考えて律しなければならないということにあると考えるべきでしょう。必要なのは、住民との対話、住民に納得・信頼されるプロセスです。
人事委員会の機能の強化を考える必要
自治体の活動は、住民の暮らしを支える対人公共サービスの供給に本質があり、その公共サービスの質と量は職員の能力に左右され、地域政策に地方自治の根幹である住民参加を促すためにも職員の質と規模が必要です。自治体の活動は職員の知的活動が支えているのであり、給与が低ければ低いほど、定数が少なければ少ないほどいいわけではありません。そうだとすれば、住民に対して、給与・手当・退職金情報の完全公開と、地域企業の給与水準の綿密な調査をもとに、独自の給与・人事政策をつくることこそ必要なのです。本来、地方自治体にはそのための機関として「人事委員会」があります。都道府県から一般市町村まで改めて人事委員会の機能の強化を考える必要があります。
各自治体はこれから初夏にかけてこの問題を解決しなければなりません。この問題は、財政の現状、職員の生活保障、公共サービスの質と量、住民からの信頼という「変数」で決まる連立方程式を解く作業だと言えるでしょう。必要なのは住民の側からのチェックでもあります。
(編集委員・青山彰久)
(2013年2月26日 読売新聞)
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