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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000007-mai-pol
毎日新聞 11月26日(火)2時31分配信
自民党の麻生太郎政権下で内閣官房が検討した秘密保護法制の報告書(2009年4月)の内容が判明した。秘密の漏えいに最長懲役10年の厳罰を科すことなどを明示。民主党政権下で検討していた秘密保護法制が、今回の特定秘密保護法案のベースとされてきたが、骨格は4年前にはできていたことになる。関係者は報告書と現在の法案との関係について「(麻生政権以前の)第1次安倍政権から考え方が受け継がれている」と話している。
◇「懲役10年」やテロ防止目的
報告書は「秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方」。内閣官房、外務省、警察庁、防衛省などでつくる検討チームが内部検討用にまとめた。
報告書によると、国の安全、外交などを秘密の範囲とする▽漏えいに最長懲役10年の厳罰を科す▽秘密を扱う公務員らに適性評価をする−−などが主な柱。現在、審議中の法案の主要部分は網羅されている。また、秘密となる有事情報として、原子力発電所などがテロに遭った際の避難すべき地域や避難先、移動手段▽日本周辺での武力攻撃の際に利用を予定する空港や港−−を列挙。現在の法案では「テロ被害の発生拡大の防止」などと、抽象的な表現になっている。だが、国民が知る必要がある情報だ。「国民に知らせないこと」の妥当性について、国会での新たな論点が浮上する可能性がある。
第1次安倍政権は07年、米国から提供される軍事情報の秘密保全を義務づけた軍事情報包括保護協定を米国と締結。次の福田康夫政権で町村信孝官房長官(当時)が中心となって政府に「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」を設置、報告書を作成した。内閣官房副長官補として検討チームに加わった柳沢協二・国際地政学研究所理事長(防衛庁出身)は「第1次安倍政権の考えが町村さんに受け継がれ、今の法案にもつながっている」と話している。
報告書は11年に市民団体が情報公開請求したが、内容の大半を黒塗りにして開示。福島瑞穂参院議員(社民)が今月、資料請求したところ内閣官房が開示した。【青島顕、日下部聡】
【「秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方について」で示された秘密の主な例】
<内閣官房関係>
▽安全保障に関して収集した情報や収集方法
▽周辺事態における邦人退避計画や利用を予定する空港・港湾
▽(テロなどへの)事態対処計画における要避難地域、避難先地域、移動手段など
<防衛省関係>
▽自衛隊法の防衛秘密に相当する情報
<外務省関係>
▽外交交渉の内容
▽国際情勢に関する情報とその収集手段や利用方法
▽暗号や通信方法
<警察庁関係>
▽重大テロなどへの対処計画
▽テロ防止のための警備情報
▽テロ関連の情報収集方法
▽特殊部隊の装備資機材
<公安調査庁関係>
▽(破壊活動防止法に定められた)破壊的団体に関する調査結果や情報収集方法
◇
<秘密保護法制報告>取材例、細かく規定 「あきれた内容」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000008-mai-soci
毎日新聞 11月26日(火)2時31分配信
「酔いに乗じて秘密を聞き出す」と罰せられる? 初めて内容が判明した麻生太郎政権の内閣官房が検討していた2009年の秘密保護法制の報告書は、処罰対象になる取材方法を細かく例示していた。現在の特定秘密保護法案は処罰対象を「著しく不当な方法」とだけ記し、具体例は示していないが「秘密保護」に関する官僚側の「本音」が垣間見える。識者からは「あきれた検討内容だ」と批判の声が上がった。【青島顕、日下部聡】
「買収」「多量に飲酒をさせて酔いに乗じて秘密を聞き出す」「引き出しに保管された秘密の盗み見」−−。報告書は「社会通念に照らし、妥当とは認められない方法」として七つの行為を例示した。共同通信記者時代に外務省の機密費を取材した小黒純・同志社大教授(ジャーナリズム研究)は「取材方法について、官僚から言われる筋合いはないし、法律で縛るのはおかしい。お酒を飲む程度にもいろいろあり、グレーゾーンを広げるだけだ。こんなことをまじめに検討していたなんて」とあきれる。
現在審議中の法案にある「著しく不当な方法」について、政府は「取材対象者の人格を著しくじゅうりんするもの」と説明。森雅子・法案担当相は7日の衆院本会議で「単に酒席において情報を得る行為は(不当な方法に)当たりません」と答弁したが、どの程度までよいか不明確なままだ。
また、報告書には秘密の有効期間も国会への報告も記載はない。秘密にすべき情報を第三者にチェックされることなく、事実上、官僚で独占できる構成になっていた。
指定された秘密の解除について、報告書は「要件に該当しなくなったときは、指定権者が速やかに解除しなければならない」とだけ記述。指定の期間や役割を終えた秘密文書の保存については一切触れていない。秘密に指定した文書が「要件に該当する」と官僚が判断する限り、永久に明らかにならない可能性が大きい内容だった。
現在の法案が含めていない地方自治体や独立行政法人の職員も、法の対象にすることが「適当」だと報告書は指摘。独法では「人工衛星の研究開発、大量破壊兵器に転用可能なロケットにかかる機微技術の研究」があることを根拠にしている。地方公務員や独法の職員も身辺調査を含む適性評価対象になると想定されていたことになる。
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