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現代ビジネス 11月25日(月)8時5分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131125-00000001-gendaibiz-pol
特定秘密保護法案が、今国会で成立するかどうか、ギリギリのところにきている。野党のうち維新、みんなの党は修正協議に応じて賛成の方向だが、残りの野党は反対の姿勢である。
特定秘密保護法案は、刑事罰をもって保全する秘密の指定、秘密の指定と解除などを骨格としている。秘密を漏洩する側も秘密を入手する側も規制対象だ。
この種の法律は、先進国ではそれぞれ歴史的な背景があり、すでに制定されている。例えば、アメリカの防諜法、イギリスの公務秘密法、ドイツのスパイ防止法をベースにする刑法や保安審査法、フランスの刑法、韓国の刑法、国家保安法、軍事機密保護法等である。
いずれも、国の安全保障と国民の知る権利という2つの法益調整を図る必要があり、それぞれの国の事情により、利益調整が行われている。
*** 野党の特定秘密保護法案への立ち位置は安保への立ち位置と等しい ***
日本では個別法はあっても包括的な法制は存在していない。そうした事情もあり、日本でのスパイ活動さえ規制できない状態で、日本はスパイ天国と言われている。
また、同盟国との間でも、例えば集団的自衛権の話はとてもできなくなる。というわけで、特定機密保護法なしで、集団的自衛権はなしになる。この意味で、両者は密接に関係している。だから、野党の中で、特定機密保護法案に賛成、反対が分かれてくるのだろう。
法案の中身を論じる前に、国会で修正議論が行われるのは望ましいことは指摘しておく。国会議員は、law makerであるので、これが本来の姿である。
次に、法案の中身であるが、筆者は各国の秘密保護法と比較して、日本の法律案がそれほど国際常識に反するとは思わない。
しかし、反対論者は各国の実定法ではなくツワネ原則(PDFです)を持ち出して、あまりに違うという。
ツワネ原則は、実際に制定された法律ではないが、世界70か国以上の500人以上の専門家が参加して作成された理念型のガイドラインである。
「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」といい、2013年6月に南アフリカ共和国の首都・ツワネで示されたためツワネ原則といわれる。
なお、作成主体は、死刑廃止主張で有名な国際アムネスティなど22の民間団体や研究所である。
そこで、ツワネ原則と維新・みんなの党による修正後法案を比較してみた。
ツワネ原則はあくまで原則なので、内容的には大きく変わりない。ただし、処罰対象は違っている。ツワネ原則では、公務員以外でも共謀罪その他の犯罪にならないようにと考えであるが、特定秘密保護法案では、違法行為などの場合や共謀罪なども罰する。ただし、その場合、10年以下の懲役刑だ。
ツワネ原則は、人権を重視した民間団体からの提案なので、安全保障上の要請の観点が少ない。陰謀(Conspiracy)罪は、国際社会ではしばしば議論になる。
例えば、2000年11月の国連総会で採択された「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」では、共謀罪が盛り込まれている(条約は国会承認したが、国内法は未整備)。
この意味で、共謀罪を規定しないツワネ原則は、国際常識とずれている。
なお、アメリカの防諜法では最高刑が死刑になっている。これは、ツワネ原則を作成した民間団体の価値観では、絶対に認められないものだろう。
要するに、特定秘密保護法案で比較すべきは、ツワネ原則ではなく先進同盟国の類似法制だ。お互いに情報交換しようとしても、今の日本の法制では危なっかしい。それを、打開するのがこの法案の目的だからだ。
*** 情報公開に関するルールはあとからの修正が当たり前 ***
官邸にいると、各国からの情報がどうしても必要なのはよくわかる。
2001年の9.11の時も、日本には必要な情報が入らなかった。それで結果オーライだったかといえばそうでもない。他国と情報交換を通じる上での国の安全保障と、国民の知る権利をどう調和させるかがポイントであるが、やはり、民間団体のツワネ原則ではなく、国連条約や先進同盟国の類似法制を参考にすべきだ。
野党がどうしても反対なら、一度成立した法を、次の政権交代の時にまた改正すればいい。ケネディ暗殺時、事件の機密資料は65年間、2039年まで公開しないと決定された。しかし、その後大半の資料が順次開示され、米議会は1992年、残りの資料を2017年までに公開することを決めた。
情報公開は息の長い話なので、あとから修正するというのは日常茶飯事だ。
それでも、マスコミは、報道の自由を主張し機密保護法の制定自体に反対だ。報道の自由が配慮されることは、公明党の意向で追加された第21条(法律の解釈適用)で書かれているにも関わらずだ。
なぜマスコミは反対するのか。おきまりといえばその通りだが、日常的に役所に情報を依存して「ポチ」のように振る舞うマスコミがいうのには、おかしさを隠しきれない。
あるマスコミの人は、特定秘密保護法案の別表に書かれている4分野の表現が曖昧でいくらでも拡大解釈できるといい、例えば、別表一のロの「防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報」という文言の中の、「その他の重要な情報」をあげていた。
その人に対し、「防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他重要な情報」と「その他情報」とした場合との違いを知っているかと聞いたら、知らなかった。
*** ツワネ原則を読んだマスコミはどれだけあるのか ***
これは、法令用語の基礎知識だ。「その他の重要な情報」という場合、その語句の前までの「防衛に関し収集した電波情報、画像情報」は「重要な情報」の例示であり、それらと同等なものが列挙されているという意味だ。
これに対して、「その他重要な情報」と書くと、その語句の前までの「防衛に関し収集した電波情報、画像情報」以外にも「重要な情報」があるという意味になる。
もちろん「その他の情報」という字句がないほうが、より限定的であるが、「その他重要な情報」のように際限がないほど広くない。「その他の情報」はギリギリ限定列挙といえる。その点は、一応工夫しているといえるだろう。
マスコミの本当の懸念は、取材に支障が出ることかもしれない。
というのも、マスコミは公務員からの情報をもらうことばかりで、公開情報を分析して記事を書くことがほとんどないからだ。しばしばツワネ原則を持ち出すが、原文をどれほどのマスコミが読んだのだろうか。
マスコミが公務員から情報を得るのは、酒が入った会食の場であること多い。法案が成立すると、その伝統的な手法が使いにくくなるかもしれない。
というのは、特定秘密を扱う公務員は適正評価をクリアしなければいけないからなのだが、その適正評価の中身が興味深い。
(1)特定有害行為とテロとの関係(家族、同居人の氏名、生年月日、国籍、住所を含む)、(2)犯歴、(3)情報扱い経歴、(4)薬物チェック、(5)精神疾患、(6)飲酒節度、(7)経済状況(第12条)。
(6)の飲酒節度が、酒席で情報漏洩するなという趣旨なら、特定秘密を扱う公務員とマスコミとの酒席は減少するかもしれない。酒席に来るのが特定秘密の扱い者でない公務員ばかりになるなら、マスコミとしても意味がなくなる。
*** ハニートラップはどう防ぐのか ***
この際、公開情報に基づく調査報道がほぼなく、役所からの早耳情報に依存しすぎのマスコミは、調査報道重視に路線変更したらどうか。
それにしても、西山事件でわかるように、マスコミ取材にかぎらずスパイ活動ではハニートラップがありえるが、どの条文で防ぐのだろうか。
おそらく、公務員の同居人に類する者として愛人の有無も適正評価でチェックされるのだろうか。いきつけのバーのママなんかはどうするのか。料亭で遊び回るのは論外で、品行方正の公務員しか特定秘密を扱えなくなるというのは、想像しただけで面白い。
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