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日本未来の党の分党について会見する、嘉田由紀子滋賀県知事(左)と小沢一郎氏=平成24年12月28日、滋賀県大津市のピアザ淡海(門井聡撮影)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131124/stt13112422140003-n1.htm
2013.11.24 22:05 産経新聞
昨年12月の衆院選を前に、民主党を離党した小沢一郎氏と滋賀県の嘉田由紀子知事らは「日本未来の党」を結党した。しかし、衆院選に惨敗、その後の内紛で、未来はいまや所属国会議員1人の政治団体でしかない。小沢氏が分裂後に結成した生活の党も所属議員は9人だ。小沢氏は今もなお反自民勢力結集を呼びかけるも、剛腕といわれた影響力はない。同氏の政治手法は政界に何を残したのか。
(沢田大典)
■鼻息荒く、あくまで「反自民」
今月18日、定例の記者会見に臨んだ小沢氏は、鼻息が荒かった。
昨年の衆院選で未来が敗北し、党分裂に至った経緯について「政党の変遷に批判的だということはその通りだ」と述べた。
その上で「原発(再稼働)も消費税増税もTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も政府と同様の方針でいいのか。私たちは主張を貫き通した結果、党名が変わったということを国民も理解してほしい」と述べ、自らに大義があると強調した。
さらに、川崎市など最近の地方首長選で自民、公明、民主の相乗り候補が相次いで敗れていることを挙げ、「安倍晋三政権の基本的な考えや政策に反対する意識は、国民の間で相当根強く大きい。政治家がそれを吸収できる受け皿をつくることが必要だ」と述べ、反自民勢力の結集に改めて意欲をみせた。
民放番組では、再来年春の統一地方選と3年後の衆参ダブル選の可能性をにらみ「年末から動きがあるだろう。もう一度大改革をやりたい」と語った。
■有権者「即席の政党」イメージ
「『今どこにいるんだ』って、よく聞かれるんですよ」
昨年11月に民主党を離党後、東京16区で未来から出馬、落選した初鹿明博前衆院議員はこう語る。現在の所属は「みどりの風」。だがそのみどりも政党要件を失い、朝の駅頭活動で掲げるポスターに所属政党名は入っていない。
昨年11月16日の衆院解散後、民主党でも自民党でもない「第三極」が注目され、旧太陽の党が合併した新しい日本維新の会が誕生。続いて、小沢氏は「国民の生活が第一」を解党、嘉田氏を代表とする未来の結成に参加した。
嘉田氏が掲げた「卒原発」「反消費増税」は小沢氏と共通していた。だが世論には、消費増税をめぐって民主党を分裂に追い込んだ小沢氏が、事務所による政治資金規正法違反事件のマイナスイメージを払拭するために、嘉田氏を代表に担ぎ上げ、自ら実権を握る形で出来上がった即席の政党と映った。
未来は衆院選で121人を擁立し、当選者はわずか9人。公示前勢力の62人から大きく後退した。直後に小沢、嘉田両氏が人事や党運営をめぐり対立。年越しを前に小沢氏らは未来を離れ、生活の党を結成した。
■「決められない」象徴的存在に
「選挙は大義を掲げる文化部だけではダメで、地方組織や人脈があり、足腰が強い小沢さんたち運動部が必要だった。でも、文化風土が合わなかった。小沢さんたちの基盤も盤石ではなかった」
現・未来代表の阿部知子衆院議員は、未来結成の経緯と衆院選敗北についてこう振り返る。
未来に所属していた亀井静香元金融担当相は「政策実現のために血をすすり合ってでも協力していくんだという同志的なものがなかった。だから、(衆院選後に)小沢さんにも嘉田さんにも『別れなさい』と言ったんだ」と証言する。
平成に入ってからの日本の政治には、常に小沢氏の存在があった。非自民8党会派による細川護煕連立政権樹立や、21年の政権交代は代表だ。そこには理念や政策の一致よりも「数の力」で動かすという政治論理がみられた。
しかし、細川政権も民主党政権も、迷走を極めた。小沢氏の側近が次々と離れる現象も出た。
野田佳彦前首相の側近は「決められない政治」について「小沢氏が反主流派になった途端に政権をかき乱したからにほかならない」と断言する。阿部氏も反自民の「受け皿」の必要性を唱えながらも「もう小沢さんと一緒にやることはないと思う」と語る。
生活の党は、7月の参院選で議席ゼロと惨敗した。野党内にうごめく野党再編も、維新の橋下徹共同代表(大阪市長)の視界に小沢氏はいない。
「小沢氏復権の可能性はゼロではない」と期待する現側近たちの言葉が、むなしく響く。
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