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2013年11月23日
日本株が世界市場を横目に逆行高を続けている。同時に、円売り圧力も強く、100円境に行ったり来たりになっている。為替相場や株式相場では、将来的展望を、今現在は“思惑”と置き換えて、何に投資するかを決めるわけだが、今回の日本株の逆行高は、為替との抱き合わせで起きている海外資金による影響が色濃い。
株高が、日本企業の先々の業績の好調を先読みした動きなら、このような傾向は喜ばしいことだが、現実に日本企業の好決算の中身を吟味すれば、為替による貢献と有価証券評価益から導き出されたものであるくらい、誰もが承知している。つまりは、円安にさえ誘導しておけば、嫌でも日本企業の決算業績は向上するのだから、基本は為替相場における“円売り”が原動力で、株価を押し上げる戦略と見ることが出来るだろう。企業の実体的業績回復などには、彼ら世界の資金は興味を持っていない。
彼らの思惑とすれば、日本の機関投資家の運用資産を組み替えによる積極的買い越しや小額投資非課税制度(NISA)の本格参入などで、株価が上がるに違いないと、政府や日銀の金融政策の方向性に合わせた投機の動きであり、「言った通り、政策を実行しろよ」と睨みを利かせている投機だとも言える。EUが金利を下げたのは、本当にユーロ圏の経済不況が深刻なことに起因するので、必ずしも金融政策と言い切れない。苦し紛れの金利政策に過ぎない。
アメリカFRBの動きはどうかと言えば、イエレンが穏健派だから、バーナンキ・プットを継続する期待もあったのだが、どうも情勢的には金融緩和の出口を幾分締める方向に動くのではないかと云う観測が根強い。そうなると、休むことを許されていない世界の金融と云うものは、投資する先を探し、利ザヤを稼ぐ行動を要求されているので、思惑が成り立つ投資先を探すことになる。そこで、緩やかな経済回復の兆しがあるアメリカ経済の先行きには、金融を引き締めようる動きが出るのは、確実だ。
では、金融緩和余力が残っている国家はどこだと云う話になり、日本が浮上する。消去法で日本市場に資金が流れ込んでいるのが現状だが、その資金は、日銀の更なる金融緩和と、アベノミクスの成長戦略であると思われる市場開放が本格的になることを催促する形だとも言える。株価が上がったから景気は好くなっている風なプロパガンダではなく、実質的景気浮揚策を打ち出せ、と云う催促相場になっているのだ。正直、世界の資金が、欧米の実体経済や金融市場に関する情報に比べ、日本の実体経済や金融情報には疎い面もあり、彼らの行動が、日本経済の好転を意味していると早合点するのは間違いだ。
彼らは、バーナンキ・プットに代わって、黒田プットとか安倍プットが確実に、世界の金融投機経済を下支えせよ、と命じている買いである点も考えておかなければならない。世界の金は、あきらかに実体経済を誤魔化す為に、垂れ流されていたわけで、行き場は、実体の伴う市場ではなく、投機市場の中で循環しているに過ぎないのだ。証券会社などは、個人資金の市場参入が顕著になってきた等々囃しているが、瑣末な材料に過ぎない。問題は、政府や日銀が、彼らの圧力をどのように感じ、どのような行動をするかに掛かっている。
日銀の黒田総裁は、我が国の消費者物価指数前年比が大幅に上昇している事を知っている筈だし、国内企業物価指数(生産者物価指数)の前年比に追いつき、インフレ経済の軌道には目処がついた、と思っているに違いない。たった数カ月で、デフレからの脱却、逆の意味のインフレターゲットが功を奏すとは、気味が悪いくらいである。しかし、黒田が考えている以上に順調過ぎるインフレ目標の達成は、違和感を、黒田本人が抱えているに相違ない。そもそも、日銀黒田のインフレターゲット政策は、デフレをインフレ化させると云う、世界初の試みであり、未知との遭遇もあり得る懸念を持つ金融政策だった。
しかし、現在起きている円安誘導による利益は大企業に一方的に集約されており、一般消費者に振り向けられるものは少ない。にも拘らず、経団連などは、その上に“法人税減税”がセットされれば、企業の賃上げを容認するなどと言っているが、大企業は異次元金融緩和と円安で、必要以上の恩恵を既に受けているのだから、呆れてものが言えないユダ思考の人々だ。尚且つ、彼らが容認する賃上げも、拘束力は当然ないし、経団連傘下企業に限るわけであり、且つ罰則がつくものでもない。なんだか、政府が労組で、経団連が経営者のような構図だが、褒めてやりたいところだが、この構図自体が不自然で、欺瞞に過ぎないことを証明している。
また、2014年4月には消費税が3%上げられ、8%になるわけだが、この時点までに、消費者物価指数が上昇基調にあるとなると、絶望的な消費者物価を生み出すかもしれない。1997年の2%の消費税値上げでも、消費者物価はかなり上昇したのだから、上昇基調の中で、上昇要因を追加するのだから、何が起きるか想定外の話になって行く。
日銀黒田は、本来であれば金融政策をフリーハンドで行いたいはずだが、過度の円安と株高を世界の資金によって演出したに過ぎないだけに、世界の投機マネーに乗っ取られた形で、金融政策を行わなければならないジレンマを抱えたわけで、謂わば、金融資本の虜になったも同然かもしれない。このような、国民の生活を寺銭にする博打をする政府に、我々は身を委ねてしまったのだ。その政府は、今度は国民の生命財産を寺銭に、戦場と云う博打場まで開こうかと考えているのだから、げに怖ろしき事である。
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