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2013年11月20日
特定秘密保護法の今次臨時国会での成立が目論まれている。
すでに、多くの人々がこの法律の問題点、危険性を指摘しているが、安倍政権が衆参両院で多数議席を占有し、野党勢力の大半が安倍政権の補完勢力になってしまっていることが、日本の主権者国民にとって危機的な状況を生み出している。
この法律は、政府があらゆる事項を秘密に指定し、これを国民から隠し、真実を知らせようとする行為、真実を知ろうとする行為を厳罰に処すことを定めるものである。
日本国憲法は国民主権を基本原則として定めているが、この法律は主権者である国民が行政に関する情報を知ることができなくなることを定め、かつ、その情報を知ろうとすること、その情報を知らせることを厳罰に処するという、国民主権の大原則を全面的に否定するものになっている。
この点を踏まえれば、民意の付託を受けた政党、政治家は、体を張って、法律の成立を阻止することに全力を注ぐべきである。
ところが、現実には、安倍政権が法律成立を推進し、かつ、大半の野党が、この暴走する与党勢力に加担する姿勢を強めている。
日本政治は文字通り、危機に直面しているのである。
これが「アベノリスク」の象徴的事象のひとつであることは言うまでもない。
日本国憲法は前文に次のように記述している。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
(中略)
主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」
主権者は国民であり、国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する。
国政の権威は国民に由来し、権力は国民の代表者がこれを行使するのである。
だからこそ、国民の代表者によって構成される国会が国権の最高機関とされているのである。
特定秘密保護法は、国民の上位に行政府を位置付け、主権者である国民に情報を公開せず、真実を知ること、真実を知らせることを厳罰に処するというもので、日本国憲法の定めに反するものである。
このような法律が成立するようでは、日本の民主主義、国民主権は意味を持たない。
細目についても、極めて不当な内容が盛り込まれている。
第一に、「特定秘密」の対象になる情報範囲が広く、曖昧で、どんな情報でもどれかに該当してしまうおそれがあることだ。
「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の区分があるが、この解釈によって、あらゆることが「特定秘密」に指定されて、国民の目から隠されてしまうおそれが高い。
普天間基地に関する情報や、自衛隊の海外派遣などの軍事・防衛問題は、「防衛」に含まれ、原子力発電所の安全性や、放射線被ばくの実態・健康への影響などの情報が「テロリズムの防止」に含まれ、あらゆる重要情報が隠されてしまう可能性高いのだ。
第二に、国民の知る権利が著しく侵害されることだ。
法律の条文には、知る権利に配慮すること、取材活動を認める文言が盛り込まれる見込みだが、「配慮」に強制力はない。
また、取材について、「著しく不当な方法」によらなければ取材が可能だとするが、「著しく不当な方法」などという表現がどのような意味を持つのかは一目瞭然だ。
「著しく不当」というのは、主観的な判断で、その判断によって内容は天地の開きが出る。
つまり、何も決めていないことと同じなのだ。
国会が、このような、どうにでも解釈、運用可能な条文を認めることは、法の支配、罪刑法定主義という、議会制民主主義の根幹を自ら否定するものである。
第三に、何を特定秘密にするのかについての監視機能が整備されないことだ。
首相の運用責任を明確化することで秘密指定の妥当性に目を光らせるというが、特定秘密になり得る情報の多さを考えると、「首相の監視」が言葉の上だけのものになることは避けられない。
まさに、天下の悪法の成立が強行される可能性が高まっているわけだ。
国会において、主権者国民を代表する政治勢力が一定の規模を確保していれば、安倍政権の暴走にくさびを打つことが可能だが、安倍政権与党とその補完勢力が議会議席の大半を占有している現状では、権力の暴走に歯止めをかけることが非常に難しくなっている。
みんな、維新は、予想通り、安倍政権の補完勢力としての正体をあらわにしつつある。
民主党もかなりの部分が安倍政権補完勢力であり、主権者勢力の良心の声が表に見えてこない。
次の国政選挙まで、政治権力の暴走が猛威を振るう危険性がいよいよ高まりつつある。
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