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「裁判しない裁判官の仕事とは何か」(EJ第3674号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/380435606.html
2013年11月18日 Electronic Journal
ここまでの考察で、最高裁の事務総局、その他の部署には「裁
判をしない裁判官」が相当数いることがわかってきています。彼
らは「裁判官の法衣をまとった行政官」なのです。彼らは、外か
らは窺い知ることのできない存在です。
その人数はどのくらいいるのでしょうか。このことに強い関心
を持っていたのは、2000年当時、参院法務委員会委員を務め
ていた中村敦夫参院議員と福島瑞穂参院議員なのです。両議員は
裁判官の実態を探るため、最高裁に資料の提出を求め、資料が提
出されています。この資料は「中村=福島資料」と呼ばれていま
す。1999年10月1日現在の数値であり、少し古いですが、
この資料を基にして、「裁判をしない裁判官」の数を算出してみ
ることにします。
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≪裁判官の定数と実数≫ 1999年10月1日現在
定員 現在員 裁判実務に携わっている裁判官数
2949 2871 2726
──西川伸一著「日本司法の逆説
最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」/五月書房刊
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この2726人は裁判をしている裁判官ですから、裁判官の現
在員数の2871人から2726人を引いた145人が「裁判を
しない裁判官」の数になります。
「中村=福島資料」には、「裁判実務に携わっていない裁判官
数」の資料もあります。
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判事 判事補 簡裁判事 合計
72 39 3 114
──西川伸一著の前掲書より
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114人と数が合いませんが、145人との差の31人は、最
高裁判所部門に属する調査官なのです。調査官について、新藤宗
幸氏は次のように説明しています。
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最高裁の判決についてのマスコミ報道では名前がでることはな
いが、最高裁の裁判部門には、「裁判官の命を受けて裁判に関
して必要な調査を掌る」(裁判所法第五七条二項)調査官が配
置されている。調査官の総数には変動がみられるが約30名で
あり、民事三室、行政一室、刑事三室にわかれている。そして
首席調査官のもとに民事・行政・刑事担当の上席調査官が配置
され、調査官を統括している。実際の調査官のしごとは、最高
裁判事の具体的な指示にもとづき関係法令や判例、法解釈につ
いての学説などを調査することにくわえて、最高裁判事の指示
がなくとも、必要とおもえる事項を調査することの二つとされ
ている。 ──新藤宗幸著「司法官僚/裁判所の権力者たち」
岩波新書/1200
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さて、「司法官僚」と呼ばれる「裁判をしない裁判官」は、次
の4つに分かれます。新藤宗幸教授は、司法官僚を次のように定
義しています。
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1.最高裁事務総局に勤務し、事務総局官房ともいうべき秘書
課および総務局・人事局・経理局にいるスタッフ
2.高裁長官、高裁事務局長、地裁・家裁所長。最高裁事務総
局と密接に連携し、司法行政を担当するメンバー
3.最高裁裁判部門に所属する調査官。最高裁判事の審理を補
佐するが、日本ではキャリア裁判官が調査を担当
4.最高裁事務総局各局の「局付」としてピックアップされた
特例判事補。将来の司法官僚の若手候補生である
──新藤宗幸著の前掲書より
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上記の3番目の調査官たちのキャリアパスを見ると、裁判部門
でキャリアを積み上げるだけでなく、事務総局にも所属し、高裁
長官を務めたベテランが多く、裁判官に判決に必要な資料の作成
や学説などの助言を行っています。そのため、調査官が判決の方
向性まで決めることも決してないわけではなく、「調査官裁判」
ともいわれているのです。小沢裁判や3秘書裁判においても調査
官は暗躍したものと思われます。
組織としては、最高裁、高裁、地裁とそれぞれ独立組織の形態
をとりながら、最高裁事務総局を頂点として、高裁、地裁の事務
局にいたる階統制的な司法行政機構が出来上がっているのです。
高裁長官や地裁所長は、最高裁事務総局が上意下達の指令を行う
重要ポジションであり、彼らは所属裁判官に対して絶対的な指揮
命令権を有しているのです。
検察審査会もあくまで独立機関としての装いをしながら、実際
は最高裁事務総局の管理下にあり、何事も上意下達なのです。小
沢審査会での架空議決やなりすまし審査員など、通常の常識では
考えられない異常な運営についても、もし司法官僚機構が「小沢
謀殺」を決断したならば、それは十分起こり得ることなのです。
司法官僚と称する150人足らずの「裁判をしない裁判官」は
約3500人を数える職業裁判官と身分上は一緒なのです。中央
省庁では、良い悪いは別として、国家公務員T種試験によって幹
部候補生(キャリア)を明確にし、そこから幹部を選別するルー
トが一応明確化されていますが、司法官僚の選別はきわめて不透
明そのものです。
それは、国家公務員T種試験よりもはるかに難しい司法試験に
合格することが条件の世界であり、一年間の司法研修所での司法
修習期間におけるかなり恣意的な選別によって、前記の「局付」
に見られるようなかたちで司法官僚が選抜され、特定の裁判官集
団が司法官僚機構を構成しています。これでは司法の閉鎖性を高
めることになるだけです。 ─── [自民党でいいのか/96]
≪画像および関連情報≫
●影の裁判官?──最高裁裁判部門調査官
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日本の最高裁の15人の裁判官は、5人ずつ、三つの「小法
廷」に分かれている。ふつうの訴訟は、この小法廷で審理さ
れる。週に1〜2回、重要な案件をおおむね3〜5件程度、
審議する。主任裁判官(裁判長)は案件ごとに違う。まず主
任が意見を述べ、あとは先任順(最高裁入りした順)に意見
を述べる。何回か審議を重ね、結論は、最終的には多数決で
決める。5人の合議が原則だが、誰かが病気で欠席したりす
れば、3人や4人しかいなくても結論を出せる。米国の最高
裁では、裁判官の間での議論は、回覧される意見の草案への
コメントという形で行われる。合議は議論をする場というよ
りも多数意見が何かを決める場だと、レンキスト前長官(故
人)は著書に記している。米国でも、最終的にはやはり多数
決で決める。日米の最高裁には、裁判官が案件を審理し、判
決を書く上での補佐役がいる。日本は「調査官」といい、三
十数人いる。家裁調査官とはまったく異なっており、地裁な
どで10年以上の経験を持つエリート裁判官から選ばれる。
最高裁に上がってくる案件ごとに担当を決める。担当調査官
は報告書をまとめ、主任の最高裁裁判官に提出する。民事、
行政、刑事の三つの調査官室に分かれ、それぞれにベテラン
の上席調査官、さらに全体を統括する大ベテランの首席調査
官がいる。まさに官僚組織だ。米国の「ロークラーク」はそ
れぞれの最高裁裁判官個人に4人ずつ付き、必要な調査をし
意見書を作る。全米のロースクールをとびきり優秀な成績で
修了した若い法律家から選ばれる。9人の裁判官とロークラ
ークたちは、「九つの独立した法律事務所」にもたとえられ
る。 http://bit.ly/1hNeQVU
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