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http://gendai.net/articles/view/news/145862
【すこぶる怪しい五輪利権の全貌】
五輪招致を最初に仕掛けたのは誰なのか。出発点はすこぶる怪しい。
04年6月ごろ、大手広告代理店の社員がA4判10ページの提案書を持って、大手ゼネコン各社を訪問していた。提案名は「GAIEN PROJECT『21世紀の杜』」。国立競技場を中心とした神宮外苑の再開発構想だ。
国立競技場の建て直しや神宮球場のドーム化などのプランが並ぶ中、ナント、外苑創建100周年に向けた「五輪招致」まで掲げていた。
1年後に「週刊金曜日」が提案書の中身を報じると、代理店側は「個別取引に関することですので、ご回答は控えさせていただきます」と事実上認めた。今も依頼主は明かしていない。当時は記者として取材にあたった週刊金曜日の平井康嗣編集長が振り返る。
「外苑一帯の土地・施設は『明治神宮』の所有で、そもそもは天皇のために民間の寄付で造営された。おいそれと収益優先の再開発はできません。だから大義に五輪を掲げる必要があったのではないか。当時の明治神宮の総代(崇敬者の代表)は石原都知事でした」
石原が五輪招致を最初にブチ上げたのは05年8月のこと。当初は「国立競技場は古く、(招致の)資格にならない。神宮の周りは大開発になる」と気勢を上げていた。
外苑の再開発を巡っては、すでに03年に財団法人「日本地域開発センター」が「明治神宮外苑再整備構想調査」を実施。この法人の役員名簿には今も三菱地所、竹中工務店、清水建設らの大手ゼネコン幹部が並ぶ。
同時期に「JEM・PFI共同機構」なる団体も外苑の再開発構想をまとめた。各スポーツ施設を移築して一帯に高級マンション群を建てる計画で、実現時の資産価値を1兆円と見積もった。機構の幹事社には鹿島や大成などが名を連ねた。
10年前から国立の老朽化をにらみ、ゼネコン各社が再開発利権を狙って、主導権を争っていた状況がうかがえよう。
JEM代表として幹事社を束ねたのは米田勝安氏だ。宮司の肩書を持ちながら、多くの都市開発で暗躍、永田町の日枝神社を巻き込んだ山王パークタワー建設にも関わった。平井氏は外苑再開発の取材で米田氏に会っていた。
「彼が10年9月に75歳で亡くなるまで、最も親交の深かった政治家は森喜朗元首相です。同じ早大雄弁会出身で、森氏の結婚式では司会を務めた仲。米田氏は自伝の中でも森氏との蜜月ぶりを強調していました」
その森こそ、「東京で2回目の五輪を」と石原をたきつけた張本人だ。05年4月に日本体育協会の会長に就任した直後、都議との会合でこう豪語したという。
「国立競技場の建て替えが、政治家の私が会長になった意味。東京に五輪が来れば全部できる」
都が晴海にメーン会場を新設する計画を立てると、森は「都内に国立競技場は2つもいらない」と文科省幹部に念押ししたと報じられた。結局、晴海に国の予算は付かず、都は計画を断念。国立競技場は五輪のメーン会場として巨大スタジアムに生まれ変わる。
森の悲願達成の裏には親友の影がちらつく。外苑一帯は今年6月、建物の高さ制限が15メートルから75メートルに大幅に緩和された。こうして再開発を後押ししたのは、現在の猪瀬直樹都政だ。
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