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小泉元総理「原発ゼロ」の真意
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/11/13)」★ :本音言いまっせー
日本記者クラブで行われた小泉元総理の会見を聞きに行った。会見と言っても本人は講演のつもりだったようで、質問は時間が余れば少しだけという事だった。そのため質問者は4人に限られた。
普通の人間は自分の思いを素直に語るが政治家はそうではない。発言の裏に必ず何らかの意図や目的が隠されている。政治家の話を聞く時には国民はそれを鵜呑みにせず、読み解く技術を持つ事が必要である。
小泉元総理が「脱原発」を言っていると聞いた時、かつて「自民党をぶっ壊す」と叫んで国民の心をつかみ、結果的に崩れかかっていた自民党を再生させた当時の小泉氏を思い出した。直感的に「うまい所を突いてくるなあ」とフーテンは思った。
自民党の政治家も支持者も「アベノミクス」によって目先の株価が上がり、輸出企業の収益が上がったことに目を奪われ、国内の雰囲気が明るくなったことから「アベノミクス」の成功に協力しなければならないと思っている。従って今の日本政治は目先の事には右往左往するが、大状況を俯瞰で眺める作業を誰もしていない。
そこに小泉元総理の「脱原発」発言が登場した。これは目先ではなく先を見た発言である。それを今言いだしたのはなぜか。真意がどこにあるかを見極めなければならない。
「脱原発」を叫ぶ勢力と同調する事で野党の存在感を薄め、自民党優位の体制を存続させるためなのか、あるいは「アベノミクス」に突き進む安倍総理の足を引きずろうとしているのか、見方は様々に別れる。そこでフーテンは会見に出席し、小泉元総理の雰囲気から真意を感じとろうとした。
講演は相変わらず歯切れが良く説得力もあった。小泉氏はまず自分を批判した読売新聞の社説を批判するところから始めた。読売新聞の小泉氏に対する批判は次の三点である。
1.対案も出さずに脱原発を言うのは政治家として無責任。
2.脱原発をすれば電気料金は上がり、CO2も増える。
3.核廃棄の技術は確立しているので、処分場の目途をつける事こそ政治の責任ではないかという批判である。
これに対して小泉氏は、
1.政治の仕事は「対案」を出す事ではなく「方針」を出す事である。
政治家が「方針」を出せば、官僚や学者が必死に知恵を出すようになる。
2.日本の技術は日々進歩している。CO2を出さない車やビルが次々に作られている。
日本の技術力を信頼すべきである。
3.日本国内に処分場を作れと言う方が無責任。出来る筈がないと反論した。
そして自らが郵政民営化をやろうとした時の政治状況と比較して、「安倍総理は誠に運の良い総理だ。原発ゼロを言えば野党はすべて賛成。反対するのは自民党だけだが、総理が言えば自民党も賛成に変わる。大事なのは国民世論だが、国民もみな賛成して圧倒的に支持される。こんなチャンスは滅多にない」と久々に「小泉節」を炸裂させた。
これを聞いてフーテンは、小泉氏は「アベノミクス」に賛成でないのではないかという印象を持った。あるいは「アベノミクス」は失敗する可能性が高いと見ている。それが今「脱原発」を安倍総理に迫る背景にあるのではないか。
「アベノミクス」を成功に導く戦略は、デフレの影響下で冷え込んだ日本の製造業を活性化させるため、企業に設備投資を促し、従業員の賃金を上昇させて経済の好循環を作り出す事である。そのためには企業に低廉で安定したエネルギーを供給する必要がある。つまり原発の再稼働が前提になる。原発再稼働は「アベノミクス」にとって必要欠くべからざるものなのである。
しかし現在の国民感情を考えれば原発再稼働は簡単でない。政治的には大変に困難な作業である。そして来年4月の消費増税によって国民の意識は変わってくる。安倍政権は必死に賃上げを企業に強要するだろうが、その事によって賃金が上がる家庭と上がらない家庭が生まれ、みんなでデフレを享受していた「みんなが不幸の時代」から、目に見える格差が作られる「自分だけ不幸の時代」が始まる。「アベノミクス」は国民の期待感で成り立つ経済政策だから、期待が崩れ出すとあっという間に失敗する。
安倍総理が「アベノミクス」を「これしかない」と退路を斬る形で突き進めば、自民党政権は再び政権から転落する可能性が出てくる。それよりも「原発ゼロ」に舵を切る方が政権を長期に安定させることになる。それが政局大好きである小泉氏の考えではないか。壮大なる実験である自然エネルギーの先進国になる道を選べば、「アベノミクス」に失敗したとしても言い訳はでき、誰も失敗を責める事にならない。早くそちらにシフトしろというのが小泉氏の真意ではないかとフーテンは話を聞きながら思った。
小泉氏に「アベノミクス」についての考えを聞いてみたかったが、質問者が限られていたため、その機会はなかった。また聞いたとしても政治家が真意をしゃべるとは思わないので、別に残念な訳でもない。ただ小泉氏は本気で安倍総理に「原発ゼロ」への転換を迫っており、それを安倍総理のためだと思っている事が会見場にいるフーテンには伝わってきた。
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「原発ゼロ、総理の決断次第」〈小泉元首相の会見全文〉
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