http://www.asyura2.com/13/senkyo156/msg/256.html
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http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/archives/34793554.html
=転載開始=
2013年11月12日15:57
記者会見をまだ見ていないが、取り急ぎ、小泉純一郎の脱原発記者会見についてコメントする。
結論から言えば、この動きの背景にはアメリカの天然ガス業界の思惑がある。そして、小泉純一郎が目指すのは「原発ゼロ」というよりはその呼び水となる「発送電分離」の政策である。日本だけの動きだけを見ていると小泉の動きは唐突に見えるが実はそうでもない。以下でそれを解説する。
まず例によって記事で記者会見の内容を確認しておく。
(貼り付け開始)
原発再稼働に否定的=即時ゼロに―小泉氏
時事通信 11月12日 14時54分配信
小泉純一郎元首相は12日午後、日本記者クラブの会見で、「原発ゼロ」とする時期を問われ、「私は即ゼロがいい」と述べ、原発再稼働に否定的な考えを示した。
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小泉元首相が会見「原発、即ゼロに」 安倍首相に求める
朝日新聞電子版(2013年11月12日)
小泉純一郎元首相は12日、日本記者クラブで会見し、「原発ゼロは首相が決断すればできる」と述べ、安倍晋三首相に即時原発ゼロの方針を打ち出すよう求めた。実現する時期については、電力各社がめざす既存原発の再稼働も認めない立場から「即ゼロの方がいい。企業も国民も準備ができる」と語った。
「核のごみ」と呼ばれる高レベル放射性廃棄物の最終処分場については「これから日本でメドをつけられるというのは楽観的で無責任だ」とし、「原発ゼロの方針を政治が出せば、知恵のある人がいい案を出してくれるというのが私の考えだ」と訴えた。
原発の再稼働についても「再稼働すればまた核のごみが増える。最終処分場は見つからない。すぐにゼロにした方がいい」と指摘。原発ゼロの方針を打ち出せば、代替エネルギーの研究・開発が進むとの考えを強調した。
今の政治情勢についても言及し、「野党は全部原発ゼロに賛成。反対は自民党だけだ」とし、首相在任中に郵政民営化法案に反対された当時よりも「はるかに環境がいい」と述べた。
(貼り付け終わり)
このように記者会見を急遽行った。
小泉純一郎の脱原発発言の震源地は日本の政策ガバナンスに危惧を覚えたアメリカからも来ているかもしれない。そのように私に視える。実は最近の米WSJの記事にこういうものがあった。今月6日の記事である。
Koizumi Tries to Starve Another Beast
The nuclear shutdown the former prime minister supports is prompting long-overdue electric reforms.
By Joseph Sternberg Nov. 6, 2013 12:16 p.m. ET
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303936904579180783509073274
私はこの記事を読んでいた。だから小泉の思惑は「発送電分離」にあり、と山本太郎騒動の最中に直感していた。
実は、この小泉の動きは先月末に来日した米エネルギー省のモニツ長官の動きと連動している。モニツ長官は日本へのシェールガス輸出の商談と、日米原子力協定に違背する性急な原発ゼロはダメだとクギをさすために来たようだ。米国はウェスティングハウスとGEが軽水炉の設計図を世界中に売りまくって、建設を日本の原発ゼネコンである東芝とか日立にやらせている。だから、日本だけが脱原発をすることは許さない。これはこのブログでも何度も確認した米国財界の「合理性」だ。
ただ、原発も含め、アメリカは国家輸出戦略の観点から、総合的に対日エネルギー政策を見直すようだ。そもそもモニツ長官は小型原子炉の研究では第一人者の核物理学者。過去にフォーリン・アフェアーズにもその趣旨の寄稿を行っている。また同時にモニツ長官は米国での民間原子炉の核廃棄物問題を議論する「ブルーリボン委員会」の主要メンバーだ。米国としては原子力は生かしたいが、危険性のある設計の旧型原子炉がうじゃうじゃある日本の現場に危機感を抱いているのは確かだ。4号機のプール燃料回収までアメリカの厳しい監視が続くだろう。
そもそも福島第1原発事故のメルトダウン事故は、米国の新規制「B5b」に日本が対応することを怠ったから起きてしまったことはすでに識者らは知るところになっている。要するに全電源喪失さえしなければ、メルトダウンが起きたとしても放射性物質は格納容器の外に放出されることはなかったのだ。その意味で日本の原子力ムラがアメリカの原子力ムラと同じ安全規制を導入しなかったことをアメリカはものすごく問題にしているはずだ。
その意味で日本にある50基以上の原発のうちの型式の旧い幾つかを廃炉にするように日本に非公式に要請したのかもしれない。このような先進国では当たり前のエネルギー政策の見直しもアメリカの属国根性が染み付いている日本の外務省原子力ムラを頂点にする原子力ムラは対策できない。つまり、日本の原子力ムラがあまりに非合理的なために、アメリカが日本の汚染水や廃炉も含めて、直接管理に乗り出したのである。汚染水問題発覚以降、米国と日本の原子力当局は日米原子力協定の規定に基づいて議論を重ねてきたのだろう。
更に、今朝の「日経新聞」で以下のような記事があったことも重要かもしれない。この小泉の動きはあくまで狂言回しに過ぎず、実際はアメリカの意向も踏まえた、経産省サイドのエネルギー政策の見直しの意向が絡んでいると考えられる。日経の記事は以下の通り。
(引用開始)
ガス改革、規模で4類型
経産省、LNG基地の共用促す
11/12付 日本経済新聞
経済産業省はガス制度改革の論点をまとめ、12日に初めて開くガスシステム改革小委員会に提示する。小売りの自由化の範囲拡大などで競争環境を整えることが柱となる。液化天然ガス(LNG)を受け入れる基地の第三者利用を促す制度も整備し、調達・輸送の効率を上げる。中小企業に配慮するため、全国に209ある事業者を規模別に4つに分類して議論する方針だ。
ガスは中小事業者が多く地域ごとの特色も強いため、規模と形態で分類して慎重に議論する。都市ガスの販売比率で7割を占める東京・大阪・東邦の大手3社をひとくくりとする。このほかLNG基地を持つ6社、導管による卸で調達する119事業者、導管以外で輸送する小規模の81事業者に分ける。
小売り自由化の範囲は年間使用量が10万立方メートル未満の一般家庭や商店にも広げる。都市ガス事業者に加えて、LPガスを導管で供給する「簡易ガス事業」も見直しの対象とする。ガス産業全体での競争環境を整える狙いだ。災害時のバックアップ対策も議論する。
経産省は初回の小委員会にガス事業の現状と将来見通しをまとめた文書も提示する。二酸化炭素(CO2)排出が少なく電力需要のピーク緩和につながることなど6つの理由を挙げて「都市ガス利用の需要は厚みを増す可能性が十分にある」と指摘する。電力と並ぶ成長分野の一つとして規制緩和を進める方針を示す。
(引用終わり)
このような形でTPPも視野に入れたかたちでアメリカはガス輸出戦略を打ち出す。アメリカは自国のシェールガスだけではなくウクライナなどでもシェール開発を推進している。シェールガスは環境汚染の心配はあるが、それはウラン鉱石とて同じこと。リスク管理をしながらシェール開発を進めていくだろう。
だから、この一連のアメリカの動きを描いているのはダニエル・ヤーギンたちだろう。その大戦略のもとに日本は左右される。脱原発をやるにもやはりアメリカの思惑をうまく利用しなければならないということだ。
だから、即座に原発ゼロになることはないだろうが、天然ガスの比率は上がっていくだろう。これに対して原子力ムラの反発もものすごいことと予測される。日本には石炭火力発電所や地熱などのまだ見ぬ自然エネルギーもある。結果的にLNGタンカーが接舷しやすい都市部は天然ガス発電比率が上がるだろう。これで地方への電力供給の依存も減る。日本海側ではLNGタンカーを寄稿させる天然ガス基地などの投資も見込める。これで原発依存から脱却していくのだ。
だから、旧型の軽水炉はまとめて廃炉にして、日本には15基くらいの比較的に新しい原発を残せば良い。ガスという化石資源の供給にもしものことも考えられるので現在の50基は多すぎるにしてもきちんと厳しく審査した新しい15基は残してもいい。現在の原子力ムラが問題なのは「全ての原発を死守する」という考えに凝り固まった専門家が多いように見受けられることにある。
たしかに、シェールガス輸出でアメリカが儲かる。同時にアメリカは安倍政権の「原発ゼロ反対」にも肩入れしている。アメリカの企業はやめられたら困る。だからゼロにはならない、というわけだ。要するにこれはアメリカのエスタブリッシュメントお得意の「弁証法」による秩序形成である。
だから小泉の背後にはアメリカの思惑がある。故に、日本もガスをアメリカだけに依存しないで、カナダや豪州、ロシアから調達できるように善隣外交をすすめる必要がある。
ただし、小泉純一郎発言がエネルギー政策を軸にした政界再編にまで行き着くかはまだ今の段階では可能性「3割」といったところか。しかもその再編についても必ずしも中道リベラルにとっては良いものではない可能性のほうが高い。この点についてはいまは述べない。
ただ、国内政局的には小泉の動きは自民党内でも「震度3強」くらいの衝撃をいま与えているだろうとだけ言っておく。自民党には、安倍晋三のような統一教会系の親米ムーニスト保守と、石破茂のような経世会系がおり、さらにイラン外交が活発で頼もしい岸田外相のリベラル保守系もいる。ここにはイラン人脈をもつアジア派の福田康夫も含む。わたしは宏池会や福田康夫などの穏健アジア派を支持している。安倍晋三のようなムーニストの系譜は早く消えてなくなった方がいい。統一教会系系の清和会議員と原発推進の経緯については過去にこのブログで書いた。
アメリカは安倍晋三について「確かに親米派だが、野田佳彦や菅直人のように『アメリカの言うことだけを忠実に実行する家来』であるとは言えない。何かロシア外交などでアメリカに反逆しているのではないか」と密かに警戒しているフシも見受けられる。それがケリー国務長官とヘーゲル国防長官の千鳥が淵参拝に象徴されている行動だ。過去の国際勝共連合=統一教会=ムーニストの系譜にある亡霊を感じ取っているようだ。
そのことは日経で報道されたダニエル・ラッセル国務次官補の発言からも伺える。
(引用開始)
アジア外交の迷走に米政権幹部もいら立ちを募らせる。
「中国とロシアはテーブルの下で握手している。中国をけん制しようったって、そんな可能性はゼロなんだ」。米アジア外交の責任者である国務次官補(東アジア・太平洋担当)に内定していたダニエル・ラッセル(59)は今春、日本の政府高官に激しい口調でまくしたてた。
静かな物腰で知られるラッセルがやり玉に上げたのは、首相の安倍晋三(59)による4月末のロシア訪問。「対立するロシアへの接近を面白く思わず、中国の台頭を制御できないいらだちがありありだった」と日本政府高官は振り返る。
日本経済新聞(2013年10月24日)
(引用終わり)
もっと言えば、安倍ではなく日本といえばアメリカ人にとっては小泉純一郎なのだ。今もってアメリカのエリートにしてみれば「日本といえば小泉というロックスター」という連想が働くのだ。これは英米紙がいかにも小泉構造改革時代を懐かしそうに論じていることからもよく分かる。
さらに小泉に比較的近い系統では、河野太郎のような都会派リベラルグローバリストがいる。河野は民主党親米派の自称リアリスト派の長島昭久ともなぜか親しい。みんなの党や前原誠司や長島など民主党の中にはアメリカと内通している勢力もいるのがやっかいだ。なお、小沢一郎の生活の党はかなりレフトに行ってしまったのでここでセンターレフトくらいに軌道修正しなければならないだろう。みんなの党とどれだけ共通点を見いだせるかが重要だ。
要するに、小泉と安倍はアメリカにとってはどちらも手駒である。小泉は統一教会系ムーニストの安倍らとエネルギー問題で、意図的に見解の食い違いを見せている。小泉のバックには竹中平蔵のようなグローバリストだけではなく、城南信金の吉原毅(写真下)など自然エネルギー系の金融機関もおり、吉岡が公共選択論の立場で脱原発を政策的に主張した加藤寛(カトカン)と親しかった。
=転載終了=
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