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「バランス」ではなく「原理」である
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/11/11)」★ :本音言いまっせー
安倍政権の「一丁目一番地」となった「日本版NSC設置法案」と「特定秘密保護法案」は、念入りに厚化粧を施しながら成立に向けて突き進むように見える。「一丁目一番地」であるから何があっても成立させるつもりなのだろう。「野党の要求に柔軟に対応する」と言っているので「修正」の化粧を施して成立を図るものと見られる。
しかし問題は「修正」で済む話ではない。法案の「原理」を変えてもらわないと賛成する訳にはいかない。この法案が「官僚に独占されている縦割りの情報を、国民の代表である政治家が一元的に管理する体制を作り、また独自の情報収集能力を高め、その情報を国益のため、つまり国民の利益のため他国には秘密にするが、時期が来れば情報は納税者国民に還元される」という原理に立つならば、フーテンは「日本版NSC設置法案」にも「特定秘密保護法案」にも賛成である。
そうした「原理」が実現すれば、日本政治は情報独占によって政治をコントロールしてきた官僚支配から脱し、また戦後のアメリカ支配からの自立も図ることが出来る。そうなって初めて日本はフーテンが言う「官主主義」から「民主主義」の方向に歩み出すことが出来る。
しかしこれまでの議論を聞いていると法案は全く逆の方向、つまり官僚支配が強まり、同時にアメリカのコントロール下に自ら進んで入り込むような内容となっている。これを見ていると安倍政権が目指すのは「官僚の、官僚による、官僚のための政治」である事に気付かされる。
以前から指摘してきたが、この法案はアメリカの要求に応えるためのものである。アメリカは日本に軍事戦略の一翼を担わせるためそれが必要と考えている。しかし同時に日本の政治が官僚支配から脱し、自分たちと同じ政治主導が確立し、日本の政治が機動的に動く事を期待する気持ちもある。
ところがアメリカから見ると日本の議論は自分たちの原理とは逆の方向に進んでいる。ただそれは日本人が決める事なので、アメリカは自らの利益が得られれば文句を言う筋合いではない。しかし本音では呆れている。そんな様子がこの法案を見るアメリカ人の反応から感じとれる。
ウィキリークスやCIA元職員スノーデン氏によるアメリカの秘密情報漏えい、また日本の警視庁の国際テロ情報流出事件などから分かるように、秘密情報はマル秘のスタンプが押された紙ではなく電子データとして存在する。それを漏えいしないように守るのが秘密情報の保護である。警視庁の漏えい事件は犯人を特定できずに時効となり立件されなかった。そちらの対応を磨かずにただ罰則を強化する事が秘密情報の保護なのかと疑問になる。
アメリカを襲った9・11は、捜査当局がテロリストらの飛行操縦訓練を知りながらその情報を他の機関と共有できず、テロを未然に防ぐことが出来なかった。その反省から秘密情報にアクセスできる人間の範囲を拡大した結果、ウィキリークスに秘密情報が流出する皮肉な結果となった。
特定秘密保護法案で特定秘密を指定するのは行政機関の長つまり大臣である。では大臣はどのようにして特定秘密を指定するのだろうか。おそらく官僚が紙に書いた情報を大臣に上げ、それによって大臣は特定秘密を指定する。大臣が電子データに直接アクセスし、秘密情報の全容を把握した上で特定秘密を指定する事にはならない。大臣に秘密情報へのアクセスを許せば役所の秘密は守れないと官僚は考える。大臣は官僚の言うがままなのである。
これでは政治主導など実現されない。そして秘密情報の指定には省益が優先される。その結果、政治主導と言いながら日本版NSCは官僚に牛耳られる組織となる。そして特定秘密保護法案はアメリカ情報を「物乞い」するためにだけ機能する事になる。自らの情報収集力を高めずに他国との「情報共有」に頼る国ほど情けないものはない。その情けない国を目指して安倍政権はまっしぐらである。
「修正」の落としどころは「バランス」である。民主党は「特定秘密の保護を徹底するなら国民の知る権利の確保も徹底されなければバランスが取れない」と言う。「情報公開法改正案」を国会に提出して特定秘密の指定を司法にチェックさせようとしている。しかし行政からの独立が疑われる日本の司法が本当にチェック機能を果たせるのか、フーテンは疑問である。
これに対して自民党は「そもそも日本版NSC法案や特定秘密保護法案を準備していたのは民主党の菅政権だ」として、民主党に反対できるはずはないという姿勢を見せている。そして森担当大臣はしきりに「国民の知る権利とのバランス」という言葉を連発している。しかし問題は「バランス」ではない。この法案が依って立つ「原理」を変えないと世界から笑われるとフーテンは考える。
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