http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/871.html
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政府は、NHK経営委員会委員5人(うち再任1人)の国会同意人事案を衆参両院に提示した。新任の4人はいずれも安倍晋三首相と個人的に近い人物である。恣意[しい]的とも思える“安倍カラー”の濃い人事は、公共放送であるNHKの中立性、独立性を損ないかねないものだ。
新任人事案で挙げられたのは作家の百田尚樹氏、埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏、日本たばこ産業(JT)顧問の本田勝彦氏、海陽中等教育学校長の中島尚正氏。百田氏と長谷川氏はともに、昨年9月の自民党総裁選で安倍氏への支援を表明。本田氏は首相の元家庭教師。中島氏が勤めている学校は、首相のブレーンであるJR東海会長の葛西敬之氏が設立に携わった。
NHKの経営委員は放送法で「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」と定められている。菅義偉官房長官は今回の人事案について「首相自らが信頼し、評価する方にお願いするのは当然だ」と首相の意向であることを認めた上で、公正さには問題ないとの見解を示したが、果たしてそうだろうか。
安倍首相は以前にも、NHKの放送内容への介入ともとられる言動で論議を呼んだことがある。NHKが2001年に放送した従軍慰安婦に関するテレビ番組では、当時官房副長官だった安倍氏がNHK幹部に「公正中立な報道を」と要請した直後に番組内容が大幅に改編されたことが05年に発覚。第1次安倍政権時代の06年には、当時総務相の菅氏がNHKラジオ国際放送に「首相の理解も得た」として「北朝鮮による拉致問題に留意し重点的に放送する」よう異例の命令を出し、「報道の自由を妨げる」との批判が上がった。
だからこそ今回は「不偏不党、真実及び自律を保障することによって放送による表現の自由を確保する」とうたう放送法を尊重し、「不偏不党」を疑われない慎重な人事案が求められていたのではないか。特に来年1月には松本正之NHK会長の任期満了を控えているだけに、会長任命権を持つ経営委員人事が政治介入の臆測を呼んでも仕方あるまい。
NHKに限らず、安倍政権では国会同意人事や政府と関連する要職をめぐり、安倍首相の意向が強く反映された人事が続いている。
最近では8月に内部からの昇格が慣例だった内閣法制局長官に、異例の外務省出身者を起用。集団的自衛権行使容認への憲法解釈見直しの布石とされた。また、3月の日銀総裁人事、6月の日本郵政社長交代も安倍首相の意向が働いたものだった。このほか、各種政策審議会でも首相と理念や政策を同じくするメンバーの起用が目立つ。
これらの組織は、本来なら政治からは一定の距離を置き中立性、独立性が保障されるべきものだ。その中立性、独立性があってこそ、信頼性が担保されるのである。
報道機関であるNHKの場合はなおさらだ。NHKは視聴者からの受信料収入で運営する公共放送で国営放送ではない。視聴者代表であり国民の広範な意見を反映すべき経営委員に、安倍首相の“お友達”を多く配した人事は露骨に過ぎないだろうか。首相には自制を求めたい。
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20131106001.shtml
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