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2013/11/05 09:45
山本太郎議員は決して議員辞職などしてはいけません。
今回、天皇に手紙を渡したということをもって極右勢力が声高に議員辞職や参議院からの除名を叫んでいますが、どれも狂気の沙汰です。
宮内庁は今回の山本太郎議員の行動を「天皇の政治利用」には当たらないとコメントしているようです。
毎日新聞2013年11月1日付では宮内庁幹部の言葉として「陛下の意見を求めたりしているわけではないので『政治利用』とまでは言えないかもしれないが、皇室の行事を利用して自らの主張を広めようとする非常識な行為だ」と報じています。
http://mainichi.jp/select/news/20131102k0000m010073000c.html
歴代自民党政府がやってきたことの方が明らかに天皇の政治利用ですから、宮内庁としても山本議員の行動を「政治利用」とは言えなかったのでしょう。
宮内庁からすれば当然の帰結です。
歴史を振り返れば、天皇の政治利用がどのようなものであるかは自明でしょう。単に一議員が「直訴」したなどという次元のものではありません。
極右勢力が日本を軍国主義に引きずり込み、アジアや世界に向けて殺戮のための侵略戦争を始めたこと、その精神的支柱に置いたのがあの天皇であり、これこそが天皇の政治利用の最たるものでした。
美濃部達吉東大教授が、「天皇機関説」を説いたことで迫害を受けるようになったのが1935(昭和10)年。
時は満州事変から日中戦争へと突入しようとしました。昭和7年には5・15事件により政党政治の終焉、軍部が天皇を担ぎ上げて戦争国家体制を作り上げいてく時期です。
軍部は天皇を神格化し、そして国民に対しては天皇のために死ぬことを強要してきたのです。そのためには天皇機関説は邪魔であり、何としても排撃した学説でした。
もともとこの(天皇)機関説はドイツで提唱された学説であり、これを日本の実情に当てはめたものが天皇機関説です。
「国家学説のうちに、国家法人説というものがある。これは、国家を法律上ひとつの法人だと見る。国家が法人だとすると、君主や、議会や、裁判所は、国家という法人の機関だということになる。この説明を日本にあてはめると、日本国家は法律上はひとつの法人であり、その結果として、天皇は、法人たる日本国家の機関だということになる。」(宮沢俊義氏による定義づけ)
ところでドイツでは、第一次世界大戦に敗れるまでは皇帝が支配する帝国でした。
ドイツ国内での民主化を求める声に対抗するために持ち出されたのがこの機関説です。皇帝といえども単なる機関に過ぎないということで、皇帝による独裁政治を合理化しようとしたのです。その意味ではドイツでは非常に反動的な学説だったのです。
ところが日本では全く逆。大日本帝国憲法には、「神聖にして犯すべからず」と規定され、最初から神格化されていたのです。それに対して(天皇)機関説は、その神格性を否定し、天皇を一機関として位置づけようとした学説です。
当時の日本の置かれた状況からすれば非常に進歩的な学説となるわけです。
同じ機関説でありながら、ドイツと日本でこうも評価が異なるとは、日本は明らかに民主主義において後進国だったということです。
日本軍部による天皇の政治利用は極限に達し、国民に天皇の名において死を強制し、世界の人々を殺戮した時代は、日本の敗戦によって終わりました。
その歴史の反省の中から出てきたのが戦後の日本国憲法に規定された「象徴天皇制」です。
時の権力が天皇を政治的に利用し、国民を統治することを否定したのがこの象徴天皇制なのです。
この視点から考えてみても、山本太郎議員のやったことは大した話ではないのです。
それに比べて、極右勢力が戦後行ってきた天皇の政治利用はまさに戦前の軍部と同じではないですか。
「山本太郎議員、参議院を除名? 暗黒時代の先取り」
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-879.html
その象徴が復古調を色濃く出している自民党憲法改正草案です。
「自民党憲法改正草案の恐ろしさ 国歌、国旗への忠誠」
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
極右議員たちは、まさに「恐れ多くも天皇陛下に対し奉り、無礼至極!」と言った天皇の神格化が背景にあります。
ところが日本国民の中には、このような構図が全く理解できないで(わかっていてでしょうか?)、山本太郎議員のやったことが非常識だとか、天皇に失礼だとか無能だとかというレベルで中傷し、だから辞職せよ、などという飛躍も甚だしい主張をする人たちがいるのは非常に恐ろしいことです。
そればかりか山本議員の国籍剥奪などと言い出す血迷った人たちまでいますが、一体、歴史から何を学んできたのでしょう。頭の中は絶対主義的天皇制と軍国主義の復活でいっぱいなのでしょう。
何故、辞職の値するのかという議論が全くすっぽりと抜けてしまい、突き詰めていけば、単に「天皇陛下に対し、無礼を働いたから」という以上のものが全くないのが特徴なのです。
これが右翼議員の応援団なのですが、何故、ここまで短絡的な発想ができるのか不思議でなりません。
ところで、先般、最高裁が婚外子の相続分を差別する民法の規定を違憲とする判決を下しました。
本来、三権分立制度により違憲立法審査権を司法権に与えた日本国憲法の下では、国会は、その判断を尊重し、速やかに立法改正を行う責務があります。
もちろん、立法改正がなされずとも司法の分野では今後、婚外子差別規定が適用されることはありません。だからといって国会が放置してよいということにはなりません。
ところがこの民法改正について、自民党の極右勢力の言動がすごいです。
「自民保守派が猛反発 最高裁が婚外子相続規定に違憲判決 「めかけさんの子」差別的発言も」(北海道新聞2013年11月4日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/502028.html
婚外子差別発言が飛び交っているなど正気の沙汰ではありません。
誰がどのような発言をしているのか、自民党はすべて有権者(国民)の前に情報開示すべきですが、報道の中では、自民党の西田昌司副幹事長の言葉として
「(婚外子をめぐる)最高裁の判決は、国民の一般感情とずれている。最高裁はわれわれの世間の常識と離れた所にある」
「「最高裁は非常識」とし「現行憲法と結びつけると今回の決定になるとすれば、現行憲法が間違っている」と主張。さらに参加者からは「なぜ正妻の子と『めかけさんの子』に違いが出るのか調べて理解してもらわなければならない」「『不貞の子』をどんどん認めていいのか」
なんでしょうね、この飛躍は。
「家制度って何だろう? 婚外子差別違憲判決」
戦前においても家制度は、天皇を頂点とした国民支配のための道具でしたが、この西田昌司氏は従軍慰安婦問題で、米国で強制はないと声高に叫ぶ意見広告に名前を連ねている方です。
「日本軍「慰安婦」 強制を否定/安倍首相が賛同/米紙に意見広告 4閣僚も/国内外の批判は必至/昨年11月」(赤旗2013年1月6日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-06/2013010601_01_1.html
彼ら極右はみな根っこは一緒なのです。
一番、恐ろしいのは自民党自身に自浄能力がないこと。
西田氏のような問題外の発言にも石破自民党幹事長が理解を示す状況なのです。
前掲北海道新聞「自民党の石破茂幹事長は同月25日の記者会見で、民法改正への反発を「最高裁の判断が出ているから何が何でもそういう意見を捨象するということではない」と擁護。」
天皇の政治利用も自民党を上げて行っているという状況であって、自民党の中にこの流れに歯止めを掛けようとする良識派すら存在しなくなっている、これが今の自民党なのです。
そればかりではありません。民主党の一部や維新の会などがさらに右から自民党を煽っている始末です。
このまま天皇の政治利用によって政治が右傾化していったとき、待っているのは大戦末期の日本と同じ、破滅の道です。
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