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2013年11月 3日
山本太郎参議院議員が園遊会で天皇に手紙を手渡したことが問題になっている。
さまざまな意見が噴出し、自民党の世耕弘成官房副長官は、「議員の資格はない」と述べて、議員辞職を求める考えを示した。
こうしたなかで、冷静な捉え方を示したのが中日新聞=東京新聞である。
『こちら特報部』はこの問題を取り上げ、
「自民は「政治利用」常習」
の見出しで問題を伝えた。
9月18日に、京都大学原子炉実験所の小出裕章先生の研究室を訪問させていただいた。
小出氏の研究室の壁面に、田中正造氏に関する資料がいくつも掲示されていたことが印象的だった。
山本太郎氏の手紙の件を知って、すぐに、小出氏の研究室のことを思い出した。
「こちら特報部」には、小出裕章氏のコメントも掲載されていた。
「被ばくしている子どもをあらゆる手段で助けなければという思いだ。やむにやまれぬ気持ちは理解できる。田中正造の直訴に近い。被ばく支援をきちんとやっていない自民こそが批判させるべきだ。自民は彼を抑え込もうとしているが、ひるまないでほしい」
これが小出氏のコメントである。
やはり、田中正造氏の行動を紹介されていた。
「天皇の政治利用」常習の自民党に所属する議員が、山本氏に議員辞職を求めるのは行き過ぎである。
問題があったとすれば、日本国憲法の下における天皇の位置付けを考えれば、山本議員が天皇に実情を説明する意味が希薄であることだ。
大日本帝国憲法下の天皇と日本国憲法下の天皇はまったく位置付けが異なる。
現代日本における天皇の政治における位置づけを理解するには、日本国憲法第四条を踏まえる必要がある。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
「天皇は国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」のであるから、天皇に直訴してものごとを解決できるわけではない。
ただし、福島原発事故の放射能汚染の実態に関する情報が広く流布されていない。
放射能に汚染された農林水産物を摂取する危険性について、国が実施している措置が十分なものでないとの意見が広範に存在する。
水産物の出荷制限についても、安易な制限解除の動きさえ表面化している。
マスメディアが重要な情報をまったく伝えようとしないから、山本議員としては、国民にとって重大な情報が広く共有される道を模索した結果として、天皇に手紙を手渡しすることを考えたのではないか。
議員辞職だのと、大騒ぎするような話ではないと考えられる。
安倍政権は日本国憲法の改定を目指しており、すでに憲法改正草案を用意しているが、自民党が提示する憲法改正草案では、天皇に関する規定も大きく変更されている。
第一条は次のように改定される。
現行憲法
第一章 天皇
第1条
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
自民党改正草案
第一章 天皇
第1条(天皇)
天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
憲法尊重・擁護義務については次のように改定される。
現行憲法
第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
自民党改正草案
第102条(憲法尊重擁護義務)
1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
現行憲法第99条が改正草案第102条に改定されることは、日本国憲法の意味を根底から転覆するものである。
現行99条では、天皇および国会議員、裁判官、その他の公務員に憲法尊重擁護義務を課している。
これに対して、自民党草案第102条は、国民に憲法尊重義務を課し、国家議員、国務大臣、裁判官その他公務員に憲法擁護義務を課しているが、天皇又は摂政が規定から除外されている。
安倍政権は、日本を大日本帝国憲法下の日本に逆戻りさせることを考えていると見られる。
この基本姿勢が存在するなかで、安倍政権による天皇の政治利用が際立っているのである。
主権回復の日記念式典に天皇、皇后を招いた。
IOC総会に高円宮妃の出席を求めた。
園遊会や叙勲・褒章制度そのものが、天皇の政治利用であるとの主張も説得力を持つ。
もとより、明治という時代そのものが、天皇の権威を利用した権力争奪であった側面があり、私たちは、現代日本の民主主義制度のあり方を、根本から見直すべき局面に至っていると考えるべきだ。
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