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「『テレビでしゃべっている人は公人で個人攻撃が許される』と言われたが、納得できない」と話すみのもんたさん=東京都港区で2013年10月30日、内藤絵美撮影
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131101-00000052-mai-soci
毎日新聞 11月1日(金)12時44分配信
「ズバッ!」と斬る側が、ある日突然「ズバッ!」と斬られる側に回る。その時、心をよぎるのはどんな思いなのか。日本テレビ元社員の次男(31)が窃盗未遂の疑いなどで逮捕された事件を受けて、タレント、みのもんたさん(69)がTBSの冠報道番組「朝ズバッ!」「サタデーずばッと」を降板した。にもかかわらずやまないバッシングの中の心境を聞いた。【瀬尾忠義、吉井理記】
スタジオの女性観客に「お嬢さん」と呼び掛けるスタイル、「原発事故の責任者出てこい」などの直言でお茶の間の心をつかんできた。「1週間で最も多くテレビの生番組に登場する司会者」としてギネスの世界記録に認定されるほどの人気だった。
「手出しこそしないけれど『あいつはくさい』と言い立てられるいじめと共通していませんか? 僕はね、活字の世界に憧れ、畏敬(いけい)の念を抱いている。だけど僕に関する報道には活字の力が悪用されているようだ。テレビは厳しい声と寛容な意見の双方を取り上げてくれているが、活字には僕の存在まで否定され、裏切られたようです。特に週刊文春、週刊新潮はひどい」
「みのたたき」と口にした。
向かい合ったのは、テレビ朝日に近いビルに入る水道メーター製造販売「ニッコク」本社(東京都港区)。社長はみのさん。目は腫れぼったく、肌のつやもない。それでもテレビでおなじみの口調で語り続ける。「次男の逮捕を知った時、最初は『裁判になったら判決を粛々と受け止めたい。次男には立ち直ってもらうしかない』とありきたりのコメントのような気持ちでした。でも『30で子どもがいる男に親がどこまで責任を取るべきなのか』と発言したことで、気が付いたら事件よりも『あんたはテレビで厳しいことを言っているが、自分には甘い』と僕への批判が増えていた。2週目になったら酒の飲み方がどうの、家がどうの、セクハラがどうの。3週目になったら会社の経営がどうの、せがれの家がどうの。親の責任は議論されない」
最近の週刊誌には「みのもんたの品格」「さらば、みのもんた」「みのもんたは成仏したか」の見出しが躍る。「女性誌には家族の写真がどんと。娘とか、長男とか、死んだ女房とか……関係ないよね」
みのさんが次男の逮捕後、初めて発言したのは9月13日。神奈川県鎌倉市の自宅前で記者に囲まれた時だった。「親の責任論」を持ち出したことで批判の矛先はみのさんに向かい、急拡大した。主な批判は▽番組放送中にアナウンサーにセクハラした▽TBSホールディングスの株を買い増し、個人筆頭株主として影響力を発揮して番組降板を免れようとしている▽次男は日本テレビにコネで入社した−−。ズバッと聞いた。
セクハラ問題には「背中をパーンとたたいただけです。さすったり触ったりしてはいない。スタジオの中ですよ。セクハラではありません」と反論。TBS株については「2005年の楽天によるTBS買収騒動の時、安定株主対策として株を買ってくださいと局から通達が回り、数万株を購入しました。200万株なんかじゃない。それだって金銭的に大変でした。とてもじゃないが個人筆頭株主になる株数は所有していません」
一方、次男のコネ入社については「日テレのある役員が僕が司会を務めた番組の成功をとても喜んでくれていた。その役員に次男が入社試験を受けたと話したことがあります。せがれには申し訳ないけどね。だから縁故採用と言われても仕方がありません」と率直に語った。
10月26日に都内のホテルオークラ東京で開いた記者会見では「(次男を)不完全な形で世に送り出してしまったのか。だとしたら父親としての責任があると思い至った」と述べ、道義的な責任を取る形で報道番組の降板を表明した。
事件発覚後、もっと早く謝罪会見を開くべきだったという批判がある。「本当は事件の判決が出るまで黙っていようかと思いました。そうしたら『生意気だ』と。このままではテレビ局に迷惑をかけてしまうと思い、会見を開いた。自分でホテルの会場を取り、お金を払い、自分一人でやった。でも会見後『無反省』『保身のため』と言われる。どうすればよかったのか」
歯切れ良さを売りとしてきたみのさんだが、親の責任の果たし方について苦悩する。
「自分の職を放棄することが親の責任の果たし方なのかと今でも疑問です。芸能界で活躍する親を持つ子どもが不祥事を起こした時、僕は報道はしましたが、親に『役者をやめろ、女優をやめろ』と言ったことはありません。独立した子どもはやはり別人格だと思っています。お前は影響力のある立場だからと言われますが、じゃ影響力のある職業、政治家とか官僚とか法律をつくる立場の方は、自分の職業を棒に振らないといけないのか。それが責任の取り方なのか。みなさんに親の責任について議論してもらい、それを参考にして自分の答えを探したい」
◇批判しないと乗り遅れるという時流、怖いよね
「戦時中、若者に赤紙が届くと万歳をして戦地に送った。死ぬかもしれないのに家族だけじゃなくて町全体で『よかった』と。この動きに逆らうと非国民と言われました」
話は途中から戦時中に及んだ。「『みのは消えろ』と週刊誌に書いている人は、普段はいい人なんでしょう。だけど今回『書けば売れる』と言われた時は『この野郎』と思ったね。世間は僕を批判しないと時流に乗り遅れるのではないかと思ってしまうのだろう。怖いよね。この状況が続いたら国民全員が鉢巻きをして戦った時代のようになってしまうのではないかな」
「頭一つ飛び出ている人をたたき、留飲を下げている。昔は故田中角栄元首相。今はみの=悪と決め付けられている」。思わず「第二、第三のみのもんたが出てくる?」と聞いてみた。「次にたたかれる人が出てくるでしょうね。そういう流れができあがってしまっている」。即答した。
しかし、である。みのさん自身が、政治家や官僚らに厳しいコメントを浴びせ、たたく風潮の下地を作ってきたのではないか。「言いたいことを言ってきたことが結果的に他人をたたくことを許す風潮を生み出したかもしれない。だけどそれにじくじたる思いはありません」と言い切る。
なぜならと続ける。「僕の役目は江戸時代の瓦版売りのお兄さんのようなもの。配るだけでなく『ニュースの裏にはこんなことがありそうだ』と伝える。番組では社会の出来事におかしいと感じたことは批判します。でも解説はコメンテーターに任せる。僕のコメントが正しいか間違いかの判断は視聴者に委ねてきた。本音でコメントするスタイルはこれからも変えません」
みのさんの出演は現在、バラエティー番組「秘密のケンミンSHOW」(読売テレビ)と文化放送のラジオ番組「ウィークエンドをつかまえろ」の二つ。「しゃべる商売をやっているからしゃべる場を与えられたらやる。やめてくれと言われるまで続けます。おかしいと思ったことは発信しないと」。東日本大震災後、福島第1原発の近くに立ったことから、旧ソ連・チェルノブイリ、米スリーマイル島を取材し、原発事故が及ぼした惨禍を知らせたいという。
70分に及んだ10月26日の会見の最後、「息子さんにひと言」と問われ「ばか野郎!」と大声で叫んだ。あれも演出だと、意地の悪い声がする。「演出もシナリオもない。思わず口にした。警察署や息子のマンションで大声を出すわけにはいかなかったから」
退出際、部屋の隅の木箱を見ていたら、みのさんがふたを開けてみせてくれた。文化放送のスタジオに取り付けてあったドアノブ(ハンドル)だ。06年、文化放送が東京・四谷から浜松町に移転する際、スタッフからもらったという。「ここを握ってスタジオに出入りしたんだよね」
みのさんが、報道番組のスタジオの扉を再び開ける日は来るのだろうか。
【事件の概要】
8月13日午前1時10分ごろ、東京都港区のコンビニエンスストアで、他人のキャッシュカードで現金を引き出そうとしたとして、9月11日、みのさんの次男(31)が窃盗未遂容疑で警視庁捜査3課に逮捕された。さらに、路上で寝ていた男性のかばんを盗んだとして10月1日に窃盗容疑で再逮捕。「出来心だったが、かばんにお金があれば盗もうと思った」と供述したという。東京地検は3日、次男を処分保留で釈放。29日、起訴猶予とした。
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