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2013-11-01 07:13:23
「政権は、いまの国会での成立をめざしている。だが、与党が数の力を頼みに、問題だらけの法案を成立させることに強く反対する」と、朝日新聞が10月26日の社説で極めて明瞭に法案反対を打ち出しました。
一方、読売新聞は10月24日の社説で特定秘密保護法案に対して、「国会はどう機密を共有するか」という見出しで、大筋では賛成の立場を示しました。
読売の基本的な立場は、「日本の平和と安全を守るためには、米国など同盟国とテロや軍事関連の情報共有を進めることが欠かせない」というものです。懸念された「報道または取材の自由」についても、修正案で「充分に配慮する」という文言が明記されたから、「確かな前進といえる」と評価。
ただ、特定秘密を権力側が独占する懸念には、「公権力が集めた情報は官僚の独占物ではない」とし、「立法府も機密を共有し、保護する制度を自主的に検討すべきではないか」と、一見注文を付けた形で体裁を繕っています。読売は、法案にきちんと盛り込んでおかなければ意味がほとんどないことを承知のうえで、こんなおためごかしの論法を用い、世論を操作しようとしているわけです。
読売も指摘しているように、情報は官僚の独占物ではありません。しかし、読売は、公権力が集めた情報は、「国民のもの」という事実を明確にすることは慎重に避けています。公権力が集めた情報は、本来、国民のもののはずです。だから、「情報公開法」の制定や「公文書管理法」の改正こそ喫緊の課題ではないでしょうか。しかし、読売の社説には、「情報は国民のもの」という文言や、「情報公開法こそ必要」という観点はまったく抜け落ちています。
その点、朝日は、「政府がもつ情報は、本来は国民のものだ。充分とは言えない公開制度を改めることが先決だ」と明確にしました。そのうえで、「そこに目をつぶったまま、秘密保護法制だけを進めることは許されない」と、きっぱりと言い切っています。
朝日社説の文中では、「今回の法案で示された秘密保護のやり方は、漏えいを防ぐという目的を大きく踏みはずし、民主主義の根幹を揺るがすおそれがある」と、法案の危険性に警鐘を乱打しています。
読売が高く評価した、「知る権利」に対する修正案に対しても、「単なる努力規定で、実効性はない」とばっさり。「『不当な取材方法』とは何かもはっきりしない」と、法案のずさんさを指摘しています。
「要するに、情報を握る役所がいくらでも特定秘密を指定でき、何を指定したか国民に知らせないまま、半永久的に秘密を保持することができるのだ」
「社会全体に及ぼす威嚇効果は極めて大きい。ふつうの情報の開示でも、公務員が委縮してしまうおそれが強い」と、官僚が保有することになる強大な権力に警戒を訴えています。
特定秘密保護法が成立すれば、戦前、戦時中の「治安維持法」時代に戻ることが明瞭に予想できるにもかかわらず、読売新聞はそれをむしろ肯定しようとしているのです。読売の中興の祖、正力松太郎氏が戦前は警視庁の幹部で治安維持法を縦横に使い、その後大政翼賛会の総務も務め、A級戦犯として捕えられた人物であってみると、その遺伝子は今も受け継がれているということでしょうか。
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