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虎視眈々と自民党総裁の椅子をうかがう石破幹事長
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131031/plt1310311210002-n1.htm
2013.10.31
自民党総裁選の地方票を増やす改革案が波紋を広げている。同案が、地方人気が高い石破茂幹事長の意向を受けているため、2015年の次期総裁選で「ポスト安倍」を狙う“秘策”との見方が浮上したのだ。特定の候補や政党に有利な選挙区の区割りは「ゲリマンダー」と呼ばれるが、「ゲル」の愛称で親しまれる石破氏の「ゲルマンダー」は成功するのか。
石破執行部は党総裁公選規定を改正し、現行300の地方票を党所属の国会議員数(現在408)と同数程度に増やす計画。これまで地方票は、都道府県連にあらかじめ3票ずつ割り振り、残り159票を党員・党友数に応じて配分していたが、改革案では事前に割り振る票を1にして残りを比例配分する。
石破氏は昨年9月の総裁選の地方票ではトップだったが、過半数に届かず、決選投票で国会議員票が集まらず、安倍晋三首相に敗北した。仮に、昨年の地方票を408として、実際の獲得票をもとに比例配分すると、1回目の投票で石破氏は224、安倍氏は118を獲得することになる。
安倍首相が留守の党本部で党務を預かる幹事長とはいえ、石破氏は「ポスト安倍」の最右翼。今回の改革案について、政治評論家の浅川忠博氏は「石破氏個人を有利にするための改革といわれても仕方がない」といい、こう続ける。
「長期政権をうかがう安倍首相を牽制するとともに、『地方重視』という姿勢を示して、地方人気を盤石にする狙いではないか」
確かに、前回総裁選で200人だった党所属の国会議員は408人まで倍増したが、地方票は計300のままで、地方軽視との批判が出ていた。石破執行部は今後、党政治制度改革実行本部で規定を見直し、来年1月の党大会で決定する方針。
安倍首相を支持する議員や、石破氏と距離があるベテラン議員を中心に党内の反発は必至だが、浅川氏は「改革案が『地方重視』という錦の御旗を掲げているだけに、反対すれば地方から批判を浴びる可能性がある。(ゲルマンダーは)実に巧妙だ」とうなる。
石破氏は「脱派閥」を掲げながらも、自身の基盤固めに余念がない。今月1日には、自身が主宰する派閥横断の勉強会「さわらび会」での講演に所属議員96人を集めた。次期総裁選に向けた環境整備は着々と進んでいるといえそうだが…。
■ゲル ネット上で多用される自民党の石破茂幹事長の愛称。防衛庁長官時代は「ゲル長官」などと呼ばれた。パソコン上で「いしばしげるちょうかん」と打ち込むと、「石橋ゲル長官」と誤変換されたことが始まりとされる。
■ゲリマンダー 選挙区の区割りを特定の政党や候補者に有利になるよう操作すること。1812年に米マサチューセッツ州のエルブリッジ・ゲリー知事が、自身が所属する民主共和党に有利な区割りを行った。この選挙区地図が空想上の怪物・サラマンダーに似ていることから、ゲリー氏の名前をもじって「ゲリマンダー」と名付けられた。日本では1955年に当時の鳩山一郎首相が自民党に有利な区割りを画策し、「ハトマンダー」と批判を浴びて関連法案は廃案となった。
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