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http://mainichi.jp/opinion/news/20131030k0000e070221000c.html
毎日新聞 2013年10月30日 13時49分
内閣官房の官僚から「特定秘密保護法案について意見をうかがいたい」と言われたのは9月初旬だった。長時間、話をしたが、私が言いたかったのは詰まるところ以下の点だ。
安全保障上の観点から一定期間、機密が必要なことは私も認める。しかし、20年、30年たったらいずれ情報は公開するという原則を確立するのが出発点ではないか−−と。
米国などに比べ、日本はこの点がまるでお粗末だ。機密情報にせよ、秘密交渉にせよ、いつかは公表されると分かっていれば、当事者は自分の行動が後の評価に堪えるかどうか、自制が働く。ところが、その原則がないから、平気で都合の悪い書類は破棄し、重要会議の議事録も残さない。まずそんな体質を転換する。それこそが、国民の「知る権利」を守ることだと私は思う。
その後、与党との協議で多少は検討されたのだろう。法案には30年を超えて秘密指定を続ける時には内閣の承認が必要との条件が加わった。だが、私の言う「30年経過したら原則公開」とは似ても似つかぬ話であるのは、もうお分かりだろう。これでは逆に内閣が承認すれば未来永劫(えいごう)、秘密は解除されないとのお墨付きを与えたようなものだ。
毎日新聞社説(26日付)でも紹介したように福島県議会は福島第1原発事故の際、放射性物質の拡散予測情報の公開が遅れた点を例に挙げて原発事故情報がテロ防止の名目で特定秘密に指定されることに懸念を示し、法案への慎重対応を求める意見書を出した。当然の指摘だ。
今回の法案は米国からの要請でもあったという。米国は確かに情報公開の先進国で、一定期間後の機密解除など見習うべき点は多々ある。
ただし、その米国は今、メルケル独首相の携帯電話盗聴問題で揺れる。政治権力は元来、そういうことをしたがるものだと私たちは再認識する必要がある。そして、そんな深刻な事態が明らかになっても、私たちの国は「(安倍晋三首相の携帯電話は)まったく問題ない」と菅義偉官房長官が一言語っただけで済ませようとしていることも。
特定秘密保護法案の国会審議が間もなく始まる。どう考えても、今ある法律で十分だ。何としても廃案にすべきである。みなさん(世論)の後押しがほしい。(論説委員)
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