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2013/10/29 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「プラスに評価される政策は、みんな私がやったことだ」――。“裸の王様”安倍首相は、最近、周囲にそう豪語したそうだ。
報道番組でも「民主党政権で豊かになったんですか? みんなマイナスじゃありませんか。安倍政権になって有効求人倍率は上がり、経済もマイナスからプラスだ」と、勝ち誇っている。
しかし、安倍首相が威張るほど、日本経済は良くなっているのか。労働者の「基本給」は、安倍政権がスタートしてから毎月ダウンし、完全失業率も4・1%とまったく改善していない。むしろ、正社員は減っている。雇用は悪化しているのだ。
さすがに国民も、アベノミクスに対して半信半疑になっているらしい。首相の経済政策で景気回復が「期待できる」42%、「期待できない」47%と、「期待できない」が初めて上回った。
国民の大きな不安は、この先、日本経済はどうなるのか、自分の暮らしは良くなるのか、先行きが見えないことだ。なにしろ、日本社会は年々、雇用が悪化し、格差が拡大し、少子老齢化が進み、財政赤字が増えつづけている。誰が考えたって、日本の将来は明るくない。能天気に「評価される政策は、みんな私がやった」とハシャいでいるのは、安倍首相くらいのものだ。
◇IT革命が日本の雇用を破壊する
この先、日本社会はどうなるのか――。ベストセラーとなっている楡周平氏の新刊「『いいね!』が社会を破壊する」(新潮新書)が、示唆に富んだ指摘をしている。経済小説の第一人者だけに、視点が鋭く、詳細なデータに基づいた、その分析はショッキングだ。
楡氏が指摘しているのは、ITによるイノベーションが、雇用を徹底的に破壊してしまうだろう、ということである。
〈少し前の時代まで、イノベーションは多くの雇用を産み、社会を豊かにするものを意味しましたが、今は全く違います〉〈現代において、この波がもたらすのは破壊。その後に創出されるのは、主に雇用の崩壊と、余りにも僅かな人間による富の独占。それ以外にないのです〉
たしかに、ITによるイノベーションの破壊力は凄まじい。象徴的なのは、通販サイト「アマゾン」だという。アマゾンの売り上げは、95年からの10年間で、51万ドルから26億ドルへと5000倍!も増えた。その一方、街の書店は4496から1703へと、半分以下に激減したという。なにしろ、アマゾンなら、クリックひとつですべて済む。しかも、再販制度のないアメリカは、大量に安く仕入れられるアマゾンが提示する価格は圧倒的に安い。街の書店が太刀打ちできるはずがないのだ。
ITによるイノベーションの大きな問題は、雇用を破壊するだけで、新しい雇用を生まないことだという。たとえば、日本の証券業界である。ピークの91年に17万人いた証券マンは、現在9万人と半減してしまった。いまや個人売買の8割がネット取引のため、取引に人が介入する余地がないのだという。IT革命が、どんどん仕事を奪っている。激安ラーメンとギョーザで有名な全国展開する某外食チェーンの工場には、従業員は9人しかいないそうだ。機械化、IT化によって、材料の入荷から出荷作業まで、数万食の食材をたった9人で作れるという。これでは雇用が増えるはずがない。
◇若い世代が将来像を描けない国の行く末
楡氏によると、スマホの出現が、「産業」と「雇用」を決定的に破壊する恐れがあるという。スマホには、カメラ、ビデオ、計算機、レコーダー、時計、地図……と、多くの“機能”が集約されている。
スマホが登場するまでは、カメラや時計、地図は、それぞれカメラ、時計、地図として存在していた。製造、流通、販売……と関わる労働者も多かった。しかし、カメラや地図が“物”ではなく“機能”となれば、「産業」として成り立たなくなる恐れがある、というのである。
いずれ日本では、儲かるのは「楽天」や「ソフトバンク」といったネット屋だけになるのではないか。すでに彼らは、着々と準備を進めている。
楡氏は、ネット革命について〈人間社会を幸せにするどころか、逆にあらゆる分野で悲劇的な結末をもたらすのではないか〉と、悲観している。
それでなくても日本は、猛スピードで少子老齢化が進み、体力が弱まっている。2030年には、65歳以上の割合は32%を占め、100歳以上の高齢者は、現在の4万人から25万人に6倍以上に膨れ上がるという。100歳を超えたら、介護、医療といった社会保障費は莫大になるだろう。すでに国家の借金は1000兆円に達しているのに、支えられるのか。
楡氏は、日本社会についてこう記している。
〈「最近の若い世代はお金を使わない。ひたすら節約に努め、酒も飲まず、遊ぶこともあまりしない。いったい何のために働いているんだ」という言葉を耳にすることがありますが、そりゃあ当たり前でしょう〉〈いつ自分が、どうなるか分からないと思っていか分からないと思っているからです〉〈その時に、少しでも生活の足しになるように、今から備えているのです〉〈若い世代が、自分の確たる将来像を思い描けない。若くして守りに入り、消費を控える。それがどんな事態に繋がるかと言えば、答えは明らかです。経済、社会、いや国家の崩壊です〉
◇守るべきものを壊すエセ保守政治家
日本はあらゆるものが壊れはじめている。崩壊に向かって突き進んでいる感じだ。なのに、安倍首相は対策を打とうともせず、「プラスに評価される政策は、みんな私がやった」と威張っているのだから、どうしようもない。無責任にもほどがある。
「日本を取り戻す」などと浮かれているが、いったい、なにをどうやって取り戻すつもりなのか。どうやら「戦略特区」が、成長戦略の柱らしいが、特区など導入したら、ただでさえ壊れはじめている日本社会の崩壊を加速させるだけである。
特区では、日本では承認されていないクスリも使えるようにし、日本の医師免許を持たない外国人医師の医療行為も認める方針だ。容積率も大幅に緩和するという。しかし、そうなったら、もはや特区は日本とは呼べないだろう。
エコノミストの高橋乗宣氏が、本紙コラムで〈特区では、長年の経験や知恵で積み重ねてきた日本ならではの基準は、意味をなさなくなる。どうして「日本を取り戻す」路線にかなうのか〉と批判していたが、ホント、その通りだ。
このまま安倍首相に好き勝手にやらせていたら、日本は取り返しがつかなくなる。政治評論家の森田実氏がこう言う。
「最近、松尾芭蕉が俳句の神髄として提起した〈不易流行〉について語る知識人が目につきます。不易流行とは、変えるべきものと、変えてはいけないものがあるということです。日本社会が変えずに守るべきものは、豊かな自然であり、コメ作りであり、企業社会では社員を大事にする風土でしょう。ところが安倍首相は、農業を破壊するTPP参加を推進し、社員を簡単に解雇できる社会に変えようとしている。国民を絶望させ、日本の崩壊に拍車をかけようとしているのだからどうかしています。本当に彼は“保守政治家”なのか。これでは若者は希望を持てず、少子化だってとまりませんよ」
日本に残された時間は、あまりない。一刻も早く、無能な首相を引きずり降ろさないとダメだ。
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