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2013年10月29日
二つの不祥事が表面化し、その責任処理の相違に注目が集まる。
ひとつは、株式会社阪急阪神ホテルズの食材偽装問題である。
高級食材を使用していることをメニューに明記しておきながら、実際には、その食材を使用していなかった事実が発覚した。
同社の「偽装」は2006年3月〜2013年9月まで行われていたと公表された。
この期間には、日本全体を騒動に陥れた、さまざまな食品偽装問題が発覚した期間が含まれている。
湯木佐知子氏のささやき腹話術会見が話題になった、船場吉兆のさまざまな偽装が大きな話題となった。
北海道のミートホープ社食肉偽装事件。
飛騨牛で有名な岐阜県での丸明による食肉偽装事件など枚挙に暇がない。
ミートホープ社事件では、社長に対して実刑判決が確定した。
類似した事案でも、逮捕されない事案がある一方、実刑判決まで示される事案がある。
内容の相違もあるが、天下りを軸にした警察・検察との癒着が、問題処理に著しい格差が生じる主因である。
日本の警察・検察行政は、いまだに前近代に取り残されているのである。
もうひとつの企業不祥事は、みずほ銀行による反社勢力への融資問題である。
みずほ銀行が反社会的勢力へ提携ローンを通じて融資を行っていた問題の所在を確認しながら、経営トップが長期間この問題を放置してきたことが発覚した。
しかも、金融庁に対して、虚偽の報告をしていた事実が判明したのである。
歴代の頭取が報告を受け問題を認識していたこと、そして、現頭取の佐藤康博氏も問題が報告された取締役会に出席していたことが明らかにされた。
組織ぐるみの反社取引の温存と事実の隠蔽という深刻な現実が明らかにされた。
阪急阪神ホテルズの出崎弘社長は10月28日に緊急記者会見を開き、社長職および阪急電鉄取締役を辞任することを発表した。
これに対して、みずほ銀行の佐藤康博頭取は、銀行会長の塚本隆史氏の辞任と自身の半年間の報酬カットを表明した。
塚本隆史氏はみずほ銀行会長を辞任するが、みずほファイナンシャルグループ会長職には留まる見通しである。
みずほ銀行の危機意識の欠如は驚くばかりのものである。
そもそも暴対法自身が、違憲立法の疑いの濃いものであり、反社勢力との取引問題については、根本からの再検討が必要である。
しかし、現実の法体制としてルールが確立されているのであるから、社会的責任の大きい銀行が、適正なコンプライアンス体制を執るべきことは言うまでもない。
みずほ銀行は反社への融資であることを把握した後も、問題を2年間にわたって放置してきた。
みずほ銀行は反社への融資を金融庁の調査で指摘された時点で直ちに適正な対応を取る必要があったが、金融庁が業務改善命令を出した後も記者会見も開かず、問題を放置し続けた。
これが社会で問題にされたのを受けて初めて記者会見を開いたが、当初の会見には頭取も出席せず、しかも、虚偽の内容を公表した。
その後、発表内容が虚偽であったことが公表され、今回の内部処分案公表につながったのである。
佐藤康博頭取の年収は1億円を超えており、この年収について、半年間報酬ゼロの措置が取られても、基本的には痛くも痒くもないだろう。
みずほ銀行では問題の存在が把握されてからの2年間に、繰り返し取締役会等で問題の報告がなされてきた。
佐藤康博頭取も会議に出席して資料を閲覧し、説明を聞く立場にあった。
その佐藤氏が、「当時は重要性を認識できなかった」、「気づかなかった」と弁明しても、これは子供の言い訳にしかならない。
佐藤頭取は問題の拡大に対応して、第三者委員会を設置して、この第三者委員会が大甘処理を容認する見解を示したが、第三者委員会とは名ばかりのもので、お手盛り裁定と言わざるを得ない。
弁護士で企業のコンプライアンス問題に詳しい郷原信郎氏はみずほの第三者委員会について、次のように指摘する。
「第三者委員会が、本来の役割を果たすためには、組織から独立した客観的な立場で活動が行う地位が保障され、十分な権限が与えられなければならない。
しかし、今回の第三者委員会の設置についてのみずほ銀行の対応を見ると、果たして、独立した客観的な立場で十分な調査・検討が行えるのか疑問である。
設置についての公表文では、「今般、当行は、再発防止・信頼回復のため、本件に関する事実確認、原因の究明、改善対応策の妥当性評価ならびに提言を得るべく、当行と利害関係を有しない外部の識者・専門家から構成される第三者委員会・・・を本日付けで設置した」とされているが、ここには、最も重要な「調査」という言葉が入っていない。事実「確認」という言葉からは、第三者委員会が独自に調査を行うのではなく、みずほ銀行が行う行内調査について外部専門家が検討し、その調査の手法、経過、結果が「妥当である」との「お墨付き」を与えることを目的とする委員会であるようにも思える。
今回の問題に関して調査すべき事項には、歴代の頭取が、暴力団関係者への融資の事実の報告を受けたのに、なぜ放置したのか、また、取締役会への報告を受けたのにそれを記憶していないと述べている現頭取の供述の信用性など、みずほ銀行のトップを含む経営陣の責任問題につながる事項が多く含まれている。通常、このような問題について行内調査で真相解明することは到底困難であるし、第三者委員も、独自に調査することなく、そのような行内調査の結果について、適正であるか否かを判断することは困難であろう。
日本を代表するメガバンクの経営の根幹に関わる問題なのであるから、第三者委員会の独自の調査体制を構築し、必要に応じて内部者を調査に活用することはあってもよいが、外部者中心の調査を行うべきであろう。
そして、もう一つ不可解なことは、設置後、第三者委員会側の記者会見は行われず、何のコメントも出されていないことだ。社会的にもこれだけ大きな注目を集める組織不祥事について、重大な使命を担う第三者委員会が設置された場合には、第三者委員会の側で記者会見を行い、調査の方針、調査体制、調査期間等について説明するのが通例だ。
組織自体の信頼が失われている時に、組織の内部者に代わって、第三者委員会が事実解明・原因究明の役割を担うのであれば、その第三者委員会の側から、社会に対して、それらの使命を果たすことについてしっかり責任を負う旨のメッセ―ジを発するべきだ。それが行われれば、マスコミも、世の中も、第三者委員会による事実解明に期待することになり、当該組織に対する批判・非難も、ひとまず一応沈静化する。第三者委員会が、単に、公表文という紙の上だけの存在にとどまったのでは、その設置の効果は限られたものにしかならない。」
みずほの膿はまだ出し尽くされていない。
恐らく、これから、内部告発によって、さらに別の問題が明らかにされていくことになるだろう。
佐藤康博氏のお手盛り大甘処分がこのまま通用するほど、世の中は甘いものではないと思われる。
問題が発覚した場合、可能な限り早期に、可能な限り厳しい処理を断行することが、不祥事のダメージを最小化する方策だが、みずほの対応は、すべてが逆に進んでいるとの印象が強い。
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