http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/586.html
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在のNHK経営委員(NHK経営委員会のサイトより)
http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/member/index.html
NHKは「政治的公平」を貫き「皆様のNHK」のままでいられるか---会長人事介入に意欲をみせる安倍政権
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37381
2013年10月29日(火)町田 徹 :現代ビジネス
8月に本コラムで指摘しておいたNHKの会長人事が新聞や雑誌で本格的に取り沙汰され始めた。
会長の決定権を持つ経営委員会(委員長以下12人で構成)の委員を5人入れ替えるにあたって、安倍晋三政権が"お友達"を送り込もうとしており、来年1月に一期目の任期を終える松本正之会長の後任人事にも影響するのが必至だというのだ。
NHKは放送法で「政治的に公平であること」を義務付けられている公共放送だ。視聴者からの信頼を維持できるか、正念場を迎えている。
■"お友達"とされるのは新任の4人の候補
今回、新聞報道が活発化するきっかけになったのは、安倍政権が25日に国会に提示したNHKの経営委員人事。候補者5人のうち、新任の4人として、長谷川三千子・埼玉大名誉教授、中島尚正・海陽学園海陽中等教育学校長、百田尚樹氏(小説家)、本田勝彦・日本たばこ産業顧問を推した。
これに対して、各紙は新聞やネットで、以下のような批判が相次いだ。
「保守論客や安倍晋三首相に近い人材が並び、NHK改革に向けた政権のカラーが打ち出された格好。経営委はNHKの最高意思決定機関で、会長任命など強い権限を持つだけに、松本正之会長の来年1月の任期満了に向けた会長選考に大きな影響を与えそうだ」(MSN産経ニュース)
「安倍首相に近い人物が多く、来年1月24日に任期満了を迎える松本正之会長(元JR東海副会長)の交代を見据えた布石とみられている」(よみうりオンライン)
「新任の4人はいずれも安倍晋三首相と近く、NHKと政治の距離の問題が改めて浮き彫りになった」(毎日JP)
「いずれも安倍晋三首相に近い有識者で、安倍カラーが鮮明になった」(日経ネット)
「NHK経営委員会委員の国会同意人事案に、安倍晋三首相に近い人物や保守派論客が並んだ」(時事ドットコム)
■現会長の松本氏には続投を望む声が少なくない
ただ、会長人事のそもそもの発端は、8月の本コラムで指摘した通り、安倍晋三首相と太いパイプを持つ鉄道会社幹部の言動だ。
この鉄道会社幹部が、3年前、民主党政権下で、高齢を理由に続投を固辞した福地茂雄NHK前会長の後任選びが混迷した際に、現会長の松本氏を推薦してJR東海副会長から転進させた経緯がある。
松本会長は、前任者からの懸案になっていた受信料の引き下げや、NHKプロパーの嫌がる人事・給与体系見直しを実現した功績があり、NHKの内外から続投を望む声が少なくなかった。
ところが、件の鉄道会社幹部が、今回は松本会長を推さず、諸星衛氏を新会長に推挙したため流れが変わったのだ。
民主党時代に任命された人事を刷新したいという政府・与党の思惑と一致した面もある。
ちなみに、諸星氏はNHKの政治部記者の出身。番組制作費の流用などが相次ぎ、辞任に追い込まれた3代目の会長の海老沢勝二氏の側近としても知られている。
また、首相就任以前から自民党の有力政治家だった安倍晋三氏らの意向を受けて、従軍慰安婦問題を扱うNHK番組の改変を指揮した人物との指摘もあった。
■諸星氏には過去にもNHK復帰の噂があった
筆者が以前に取材した印象から言えば、本人はいたって真面目な人物だ。過去にもNHKへの復帰が取り沙汰されたことがある。
しかし、当時は、海老沢氏に殉じて退職した経緯などから、NHK会長には相応しくないと判断された経緯がある。
インターネット時代のNHKの経営のかじ取りを任せるには、松本氏のような大手の上場企業の社長経験者の方が相応しいという声が関係者の中に多いのは事実だ。
しかし、そうしたポストとNHK会長では、報酬に大きな開きがあるうえ、NHK会長職は国会の質疑に呼ばれて吊るし上げのような扱いを受けることも珍しくない。
強引に、松本会長を更迭しようすれば、諸星氏ぐらいしか候補者が残らないとの見方も少なくない。
いずれにせよ、自民、公明の連立与党は、衆参両院で圧倒的な多数を保持しており、今回、安倍政権が承認を求めている経営委員の入れ替え人事が実現する公算は非常に高い。
そうなると、12人の経営委員のうち10人は安倍政権になってから承認された人物になる。単純計算ならば、会長の選出に必要な9人の賛成票の確保が可能になるのだ。
原案通り、諸星氏に拘泥するかどうかは別にして、安倍政権によるNHKの会長人事への介入は現実の問題になりかねない。
国民の中には、NHKが税金で運営される国営放送だとの誤解は根強い。NHKは政府寄りのマスメディアだとの見方が多いのも事実だろう。
■いまだ多いNHKイコール国営放送という誤解
しかし、実態は、放送法第4条第1項第2号で、「政治的公平」を義務付けられた公共放送であって、政権の広報メディアでは決してない。
予算・決算や事業計画などで広範に、政府・国会の認可を得なければ運営もできない中途半端な組織だが、それでも政治的公平を根拠に、視聴者に受信料の支払いを義務付けているメディアなのである。
吉田茂や田中角栄といった大物総理の時代には、意中の人物をNHK会長に送り込んだ前例もあるが、ここ数十年は、そうした異常事態は回避されてきた。
しかし、今回、安倍政権があえて、NHK人事への介入に踏み切れば、NHKの政治的公平性に関する世論の信頼が決定的に傷付くのが確実だ。「皆様のNHK」が風前の灯になっている。
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