12. 2013年10月29日 14:42:07
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社民党OfficialTweet ✔ @SDPJapan 〖ニコ生(2013/10/29 15:45開始)〗小泉元首相会談直後の社民党吉田党首会見・単独インタビュー生中継 #社民党 http://nico.ms/lv157570084☮http://www5.sdp.or.jp/ 2010/12/23 岩上安身による小沢一郎衆議院議員単独インタビュー ☆サポート会員限定記事を蔵出し公開! 今回は記者クラブ問題「小沢一郎氏インタビュー」 本日10/29のみ無料公開 一般会員は11/4まで☆ この機会に、ぜひ会員登録を… 会員のご案内 2010年12月23日(木)に行われた、小沢一郎衆議院議員への単独インタビューの模様。 当日は3つのカメラを使い、3チャンネルでUstream中継。 当初予定は60分のところ、話が白熱し10分延長になりました。70分ノーカットでご覧ください。 ◐http://iwj.co.jp/wj/open/archives/692 岩上安身は小沢氏に対し、まず、インターネットメディアに出演する真意、民主党幹事長時代、オープン会見を開いてきた小沢氏の会見を取材した経験から感じたマスコミ報道との落差、そしてクロスオーナーシップ規制について等質問しました。 他には、小沢氏が政治倫理審査会に出席しない理由。三権分立の原則と決してマスコミでは報じられることのなかった政治家としての本音。岡田幹事長、菅総理との会見で何が語られたのか。小沢氏の師・田中角栄元総理が失脚したロッキード事件、等。 外交・安全保障問題では、湾岸戦争(1991年)当時の、日本の国際貢献に対する小沢氏の思い。そして、米国大使から言われた屈辱的な言葉とは。代表選のさなか、「尖閣も奄美も日本の領土」と繰り返し言った真意。尖閣漁船衝突事件の一連の処理で、何が問題であったのか。 <文字おこし>
岩上「岩上安身です。本日は、いつものようにユーストリームを使ってのインタビューなのですが、スペシャルゲストをお招きしております。民主党元代表、小沢一郎さんです。小沢先生よろしくお願いいたします」 小沢「よろしくお願いいたします」 岩上「本日はさらに新しい試みとして、いつもはユーストリームを介してインタビューを生中継でお伝えしているわけですけれども、今回はニコニコ動画さんのほうにも配信しているんですよ」 小沢「そうなんですか」 岩上「2つの回線業者さんを使って、できるだけ多くの方に視聴機会を提供しようということで、たぶん小沢さんということで多くの人が今日はみんな来ていると思いますので、よろしくお願いいたします」 小沢「はい」 岩上「まず最初に、我々のようなインターネットメディア、インターネットを使ってインタビューとか報道を行おうとしている新しいメディアに対して、小沢先生にお出いただこうということを考えていただいたのは大変ありがたいことなのですけれども、それはどういうふうなご決断というか、お考えがあるのか、そのあたり、ちょっとお聞かせいただきたいのですが」 小沢「最近、できるだけ要請があった場合は出るようにしたいと心掛けているのですが、それはやっぱり本当の、真実のありのままの情報をスピーディーに大勢の人に伝達してもらえるということですね、結論を言えば。 以前ちょっと、7、8年か以上前は、例えば僕の場合は選挙なんかでも、インターネットでの僕らの政権の発表やら、あるいは意識の調査やら、そういうのは必ずしも選挙の結果と一致しなかったんですね。だけれども最近は急速にインターネットを使う人が増えて、そして一番の特徴は、その人たちが行動するようになったということですね」 岩上「そうですね」 小沢「以前はインターネットはある程度の範囲の人であり、その人たちは、自分はこうだと思っても、なかなか行動に移さなかった。それが最近は、量も増え、そして自ら行動に移すということでもあるので、僕は、既存のメディアよりも、はるかに多くの方に訴える時はネットのほうがいいと、そう最近思っております」 岩上「ありがとうございます。おっしゃる通りツイッタ−──ツイッターを小沢さんはご存じですか?」 小沢「はい」 岩上「ツイッターなどで、例えば検察とか検察審査会のあり方がおかしい、デモをしようという呼び掛けで、人が集まったりするんですよね」 小沢「そうなんですってね」 岩上「全く見知らぬ同士が1000人ぐらい集まったり、全国各地で行われたり」 小沢「はい。僕のところにも7、8人の方が、それぞれ皆さん知らない人同士らしいのですが、こういうことでやるので、というお話をいただいたことがありました」 岩上「情報開示の請願署名とか、いろいろな形で新しい市民運動が起こりつつあるんですよ」 小沢「そうですね。ようやく日本でも、国民が、直接主権者が行動するというのが、インターネットが普及することによって助長されてきたんじゃないでしょうかね」 岩上「やはり、加工されない情報、無編集、今全部そのままお届けしていますから、恣意的な編集というのが行われないというのが、非常に信頼感のベースにあるのかなという気がしますね」 小沢「そうですね」 岩上「まずは、実は年を明けたらすぐにでも、もしかすると裁判に臨むことになるかもしれないお立場なわけですけれども、検察審査会での2度の議決があり、強制起訴という結論が出ております。このお話を、やはりうかがわないわけにはいかないだろうと思います。 ただ、先日、主任弁護士になられた弘中先生が記者会見まで行いまして、被告人の利益、あるいは人権というものを、もっとメディアは守ってもらいたい、知る権利ということも非常に重要な国民の権利だけれども、他方で、どんな立場の人であろうと、被告人としてやはり人権があるのだから、そこの折り合いをつけてもらいたいということで、お話しできることとできないことがあるのだろうと思うのです。ですから、これはお話しはできないというのは率直に言っていただいて、ご質問をさせていただきたいと思います」 小沢「はい、どうぞ」 岩上「まず、今ちょっとお名前を出しました弘中先生ですが、弘中先生と言えば村木事件を無罪に導いた大変な辣腕の弁護士でありますけれども、ここへ来て弘中先生を選任された理由というのは、どういうことですか」 小沢「僕の仲間の議員の中で弘中先生と大変懇意にされている方がおられて、やはり法廷でのお互いの主張をぶつけあっての闘いですから、そこはそういうことで経験の多い人、あるいはそういう感覚で裁判に臨む、そういう人として弘中先生が一番適当じゃないかという仲間の推薦がありましたので、僕はよくわからなかったのですが、皆さんがそういうことで薦めていただくならば、ということで」 岩上「そうですか。弘中先生が弁護団に加わられて弁護団の方針が変わるとか、あるいはこういう方針でいきましょうという説明があるとか、その辺は小沢さんに対してはあったのでしょうか」 小沢「僕は基本的に、弁護士の先生方とは、あまり話しておりません」 岩上「そうなんですか」 小沢「ただ、自分自身のことについて弁護側として必要なことがあれば僕はいつでも何でもお答えします、という感じで、特別にいちいち打ち合わせしてということはしておりません」 岩上「そうですか。じゃ、ある意味で弁護方針に変更がある、あるいはないとしても、その辺についてはお任せしているような感じなんですか」 小沢「そうですね。非常に、ある意味においては単純なことですので。僕は何も不正なことはしておりません、と。検察が国家権力で強制捜査を1年余にわたってやった結果が、不正はなかった、不起訴ということになったわけですから、僕としては最初から何も隠し立てすることもないし、不正も何もしていませんからということで、あとは弁護士の先生にお任せする」 岩上「この問題について、まだ説明責任が足りないというようなことの連呼が、今1年余りというふうにおっしゃいましたけれども、ずっと続いていたわけですね。鳩山政権の時代、幹事長だったころ、毎週オープンな記者会見をしておられて、私も行かせていただいておりました。質問もさせていただいておりましたけれども、この時に、非常に異様なものを感じたんですね。小沢さんがずっと説明をする。同じ質問が延々繰り返される。毎週毎週ある。ところが、ある一部分だけ切り取られる。挑発的な質問もあるわけですね。ちょっと感情的になられて、やはりイラッとする場面があったりする。そうすると、そのお顔だけ撮られて延々繰り返しオンエアされるというのを、まざまざと、その現場とテレビの放送というのを両方見てきたわけです。 これは、なぜこんなことが延々続いているのだろうと非常に不思議で、説明と言ったって、もう話をされているんじゃないの? と。全部これを見せればいいのではないかと、ずっと思っていたんです。実際、ああいう場面がずっと繰り返しありましたけれども、どんな思いであの記者会見を続けて、どんな思いで自分は説明しているというのを繰り返されてきたんですか」 小沢「一人の政治家個人、人間として、1億2000万の方にいちいち説明して歩くということは、物理的に不可能ですよね」 岩上「時間が限られていますからね」 小沢「ですから、メディアを通じて出来るだけわかっていただけるようにということで、僕は記者会見も、これはもう20年以上前から、どなたもおいで下さい、と。既存の記者クラブというのは14、5社でつくっていますよね。各省庁、官邸から何から。だけど私は、全部、どなたでもいいですよ、という方針でやりました」 岩上「自民党の幹事長時代からですね」 小沢「そうです。ですから、それが既存の大手メディアから『あの野郎、けしからん』と言われる一つの最初からの理由だったと思いますが、やっぱり一番は、本当に改革するということになると、旧体制で既得権を持っていた人は、それは反発するに決まっているんですね。そこを直さない限りは新しい仕組みは生まれないわけですから。その旧体制の中で一番既得権を持っていたのが、大きな新聞、テレビ等のメディアじゃないでしょうか」 岩上「情報を一手に独占していますね」 小沢「そうそう、すべて情報を独占ですから。情報だけじゃないですよ。いろいろな意味で独占的な既得権を持っていますから」 岩上「それと世論をつくり出してしまう力というのも、マスコミ、記者クラブメディアが一手に握っているわけですね」 小沢「はい。ですからそういう意味で、小沢一郎はもしかしたら本気で旧体制既得権にメスを入れるかもしれない、というふうに思っておられるのかもしれませんね。彼らからすると危険人物かもしれない(笑)」 岩上「民主党が政策の中に掲げていた1つとして、クロスメディアの禁止、あるいはクロスオーナーシップ(*)の禁止という項目がありました。これは今どこへ行っちゃったのやらという話なのですけれども、これはどういうふうに小沢さんはお考えなんですか?」 *クロスオーナーシップ:、新聞社が放送業に資本参加するなど、特定資本が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすこと。本来、マスメディア集中排除原則の観点から、新聞業と放送業などメディア同士は距離を持つべきとされる。【ウィキペディア】http://bit.ly/g7MqLN 小沢「集中排除のやつですか?」 岩上「集中排除ですね。新聞とテレビの」 小沢「あれは事実上、もう、ただのお題目になっちゃっていますね。これは徹底しなくちゃいけないと思います。それと同時に、例えばテレビ電波の免許も、それから新聞の再販も、みんなこれ独占権なんですよね。ですからそういう意味で、そこもやはりある程度競争の原理を、あの小泉流の野放しの競争という意味じゃないですが、あまりにも既得権で守られていますから、そこはもう少しオープンにして競争原理を入れなくちゃいけないんじゃないかと、僕は思っています。ですから、よけいにらまれる(笑)」 岩上「なるほど。新規参入が全くないですね、異業種の。あれはまるっきりカルテルではないかと思いますけれども」 小沢「そうそう」 岩上「ちょっと話が変わりまして、この間、政倫審に出席せよというお話がありました。それに対して文書でもって、岡田幹事長に対して、出席しませんというふうにご回答されたわけですね。この政倫審とは何か、そしてなぜ出席を拒んだのか。このあたりのお考えを、ちょっとお聞かせいただけますか」 小沢「政治倫理審査会というのは、僕が衆議院の議院運営委員長の時に、ロッキード事件(*)に関連してですが、つくったんですね。捜査を受け、司法の場でということに該当していなくても、いろいろと疑惑を持たれた時に政治家が国会の場で説明するという政治的な趣旨なんです。 政治倫理規程には行為規範に著しく違反した場合というふうになっていますが、政治家としての行為規範に著しく違反した場合、自分で出席して説明もできるし、倫理審査会で出席を求めることもできるということなのですが、私の場合は、それこそ去年の3月からずっと強制捜査も続きまして、そして私自身も、捜査当局からは2度にわたって不起訴になりましたけれども、検察審査会でその事実関係をもう1度公判廷で、みんなの前で明らかにしなさいという結論が出たものですから、その意味では司法の場に移ってきているわけですね。 ですから、三権分立という近代国家、法治国家、民主主義国家の基本からすると、すでに司法の場で検討され、論議されようとしている問題を、また立法府でもやるということは、これはちょっと三権分立という大精神からすると、それにもとることではないかな、というふうに思っているのが基本的な考え方です。 ただ、僕は政治家ですから、しかしその基本論理は棚に上げても、もし僕が出ることによって国会の論議がスムースに行くとか、あるいは国民が納得して選挙もみんな支持してくれるとか、そういうことであるならば僕は喜んで、建前は別として出ますよということは、ずっと言い続けているんです」 *ロッキード事件:田中角栄が全日空にロッキード社製の航空機を購入させるよう口利きをし、その謝礼として5億円を受け取ったとされる受託収賄罪事件。検察の強引な捜査が問題視されている。【ウィキペディア】http://bit.ly/fRHVM4 岩上「これは、岡田さんとお会いになった時も、おっしゃられたんですか?」 小沢「言っています。菅さんにも言っています。あとは、会見でも皆さんに言っています。だから、僕が出席しないのが障害になって野党が審理拒否するとか、選挙がベタ負けするとか、そういうことになれば、僕は論理の世界とは別に政治家としての責任を感じにゃいかんですから、そういうことであるなら僕は出ますよ、と。 ただ現実には、私自身の問題よりも、もっと違う大きな問題で、国会運営でいろいろ野党が言っておられるんじゃないか。あるいは国民も、小沢一郎云々のことよりも、経済だ、社会保障だ、いろいろなそういう問題についてもうちょっとしっかりせいということではないでしょうか、ということで僕は言っているんです」 岩上「岡田さんとの話し合いの中で実際に今のようなお話をされたということですけれども、岡田さんは何とおっしゃられたんですか。これはお話しできないですか?」 小沢「1対1の話ですから、個別具体的に話をするのはよろしくないと思いますが、基本的に、今言った趣旨のことを僕は言いました。ただ彼自身は、国会運営でもあらかじめ野党と話し合うべきではないと、僕との話ではなくて、いろいろとほかの場で言っているようです」 岩上「いわゆる国会対策のというやつですね」 小沢「そうしますと、じゃどうやって国会運営をするのか、ということになっちゃうんですが、とにかくその答えといいますか、野党がどういうふうに出てくるかどうかという問題ではなくて、おまえさん自身の問題だという考え方のようでしたね」 岩上「なるほど。国対というものを認めないという話になりますと、変な話ですけれども、今までこういうことは取引の材料にされてきて、例えば誰か疑惑を持たれている政治家を政倫審でも証人喚問でも出す、あなた方の言い分を聞くから、そのかわりこの法案を通してくれ、あるいはこの予算を通してくれ、国会を正常化しよう、などということが交渉で行われてきたのが、今までの長い歴史であったという話ですね。 そうした例えば根回しみたいなことをしているのかという問いに、それはしていないというふうにお答えになったということでしょうか。岡田さんは」 小沢「たぶん。明確にそういう具体的な問答があったわけではないですけども、そういうことはよろしくないという考えを、どこかで表明をしばしばしているようです。ですから、そういう観点からのお話はなかった。そうすると僕としては原則の論理に戻る以外にないので、みんなのためになるということなら僕は出るけれども、そうでない限りは、もう司法の場に行っちゃっているんだから、そこできちんと国民の皆さんに、ここはオープンですから、お話しできればそれでいいんじゃないかなというふうに」 岩上「17日に岡田さんとお話しになられて、今度、20日でしたか、菅総理とお話しになられた。菅総理は大変感情的になっていたというようなお話もありますが、菅総理はどんなお話しがあったんでしょうか。話せないこともあるでしょうが」 小沢「同じことでしたね。とにかく出席してくれ、と。だから、今言ったのと、大まかに言うと同じことですね。司法の場で僕はもうすでに手続きに入っている。そこで国民の前でオープンにやるのだから、それで司法の場でケリをつければいいんじゃないか。立法府が同時並行的に同じようなことをやるというのは、ちょっと三権分立の精神から言うと筋違いじゃないか、と。 それで、さっきも繰り返したように、しかしそれはそれとして、僕がいろいろな意味で役に立つということであるのならば、もちろんいいですけれども、と。しかしどうも現段階では、僕が出たからといって、国会審議がスムースにいくという状況でもないようですし」 岩上「無駄死にじゃないですか」 小沢「そうすると、何のためにやるのかという話になっちゃう」 岩上「小沢さんは公判を控えている身だからコメントしづらいことかもしれませんけれども、先ほどチラッと触れられました西松事件の話ですとか、あるいは検察審査会、こういったものが今現在どんなふうになっているのかというのを、国民があまり知らないと思うんですね。 例えば去年の3月、西松事件が起きました。そして秘書だった大久保さんが逮捕されたのですけれども、今年の5月21日でしたか、訴因が変更される。つまり、西松事件というのは成立しなくなって、どうもこれでは有罪にできないということで、中身が変わっていってしまったんですね。 そういうようなことは、一般のメディアは大きく報じていない状況にある。では一体、あの逮捕・起訴・立件というのは一体何だったのか、中身がすりかわっていくような話というのはどういうことなんだと、非常に議論があるわけですね。 さらに、先ほどお話しに出た検察審査会。これは2度目の議決の内容が全く公開されていませんでしたね。非常に疑問が多いのですけれども、実は民主党の議員の方々が情報公開請求をしたんですね。情報公開請求をして、最初はこんな黒塗りで、全く中身がわからないような状態だった。次の段階で党の法務部会のほうから請求をして、そうしたらこういう形で、名前はわからないのですけれども検察官がこういう形で証人として出たとか、というようなことが開示された。 これはでも、議決1回目なんですね。2度目の議決にいろいろ問題がある。というのは、それまでに加わっていなかった話が突然加えられたんですね。これは変ではないか。どうもルール的にはおかしいのではないかという疑問があります。でも、その情報はまだ開示されていません。しかも、2度目の検察審査会に出席した審査員になった一般の市民の人たちの平均年齢が3回も変わるという、不思議なことも起きています。 この検察のあり方、検察の捜査のあり方、立件の仕方、ちょっと強引ではないか。さらには検察審査会というのは、なせこんなに謎のベールに包まれていて、情報も開示せず、しかも手続きにいろいろ不透明なところがあるのか。こういう点に関して、当事者だからお話しできないと思いますけれども、お話しできる範囲で、お考えをちょっとお聞かせいただきたいのですが」 小沢「おっしゃる通り当事者ですから、今の制度そのものについてどうだこうだと言う立場ではないと思います。ただ、党の法務部会でも、2回目の議決についても資料をちゃんと提出しろという議決をしたようですけれども、いずれにしても、私も、またスタッフとしての秘書の連中も、計算間違いやら何やらのそういう事務的な間違いはあったと思いますけれども……」 岩上「スタッフの計算間違いというのは、例の政治資金収支報告書ですね」 小沢「収支報告書の問題で、いろいろ秘書が調べを受けたわけですね。だから、収支報告書についての計算の間違いとか、あるいは報告の間違いとかいうのはあったと思いますけれども、いわゆる裏献金をもらったとか、あるいは寄付をごまかして隠そうとしたとか、そういうことは一切していない。私自身ももらっていないし、秘書の連中もそういうことはしていないというふうに思っていますので、その意味ではしっかりと法廷で明らかにしていけばいいんじゃないかと思っています。 ただ、検察制度云々という問題だけではなくて、政治資金そのものについても、あるいは一般行政でも、あるいは会社でも、日本は非常にクローズドな社会なんですね」 岩上「情報の開示、公開ということに関しては、クローズドですね」 小沢「政治資金でも、ここからもらっちゃいかん、これに使っちゃいかんといって規制ばっかりすると、何か起きると規制ばっかり増えるんですよ。それは結局、官僚の権限を強大化するだけで、何も国民のためにならない。だから僕は、すべてオープンにする。簡単に言えば、政治資金で言えば1円から収支を明らかにする。これはなかなか面倒くさいんですよ。手間はかかりますけれども、それで、あの人は誰からもらったんだな、そして何に使ったのかなということが全部主権者がわかれば、これはけしからんと思えば次の選挙でその人に入れなきゃいいんだし、そういう情報を公開するということが日本社会ではあまりにもクローズドですから、もう少し、アメリカほどにならなくてもいいと思っていますけれども、ヨーロッパ並みには少しオープンな社会にしないといけないんじゃないか。それは今後の大きな課題だと思います」 岩上「メディアは小沢さんに対して、説明責任、説明を求めるという声がずっと繰り返されてきたわけですね。小沢さんはそれに応えて情報を開示してきたと思っていらっしゃる。メディアの言い分とは、それは違うのかもしれませんが。それに対してメディア自身も、そして当の検察審査会とか検察側も情報公開をしてもらわないと困りすまよね。最近、最高検がやっと取材対応というのが始まったのですけれども、今まではオープンな記者会見というのもなかったんですね。今でも、録音してはいけないとか、写真を撮ってはいけないとか、非常に規制があるんです。ですから、そういう検察や検察審査会も、我々国民からすれば政治家も検察もみんな権力ですから、全部公明正大にオープンに情報を開示してもらいたい。会見なんかフルオープンで行ってもらいたいと思っているんですけれどもね」 小沢「一番の権力は、新聞、テレビの大きなメディアですよ。それがすべて正確に伝えさえすれば、かなりの部分、僕はオープンになると思うんです。例えば、最近特にですが、僕について書いていることについては、ほとんど事実と相違します。それで最近の記者は、ある事実を耳にしたら、昔はちゃんと裏をとるというか、本人なり何なりに訊きに行って、『この事実は本当ですか、どうですか』という取材を、けっこう丁寧にしていたんですね。ところが、今はほとんどしなくなって、ただパッとみんなで同じように、そのまんま鵜呑みにして、あるいは自分らの都合のいいようにパッと報道しちゃいますから、僕は政治や行政や一般の会社でも、大きなメディアがもっと正確に真実を報道してくれたら、今の仕組みの中でも、かなりオープンになると思いますよ」 *小沢氏の語ったこのくだり、実はインタビュー中は深く注意を払わずに聞き流していた。裏をとらず、本人に確認もせずに、報じてしまう、などというのは、あまりにも非常識な話なので、そうそうあることではないと思っていたのだ。ところが、まさにこの直後に、あろうことが、大新聞が基本的な事実を確認することもなく、虚報を流しているという事例に出くわすことになる。文末参照。 岩上「目に見えるようにする、誰にも明らかにする、これは別の言葉で言うと『可視化する』ということだと思うんです。可視化と言えば、検察あるいは警察の取調べ過程の可視化というのが、ずっとテーマとして挙がっていました。民主党が09年の総選挙で大勝した時のマニフェストの中には入っていたはずの項目ですね」 小沢「そうですね」 岩上「ところが、この可視化をめぐって非常に強い抵抗があったためか、これは今どうなっているんだろうというような状況です。ちっとも進んでいない。この可視化の問題について、小沢さんはどのようにお考えですか」 小沢「ですからそれも、もう少し社会をオープンなものにしようということの1つでしょうね。特に検察だけじゃなくて、行政というのはおっしゃる通り権力ですから、それの濫用はなるべく少なくするようにというのが民主主義の基本ですから、公権力があまり政治や、あるいはプライベートな生活に踏み込まないようにということの一環だと僕は思っていますが。 しかし、今言ったように、大きなメディアがもう少しきちんと勇気をもって真実を語れば、日本の社会はもっともっと、かなり透明なものになると思いますよ。自分自身が既得権を持っていますから、それをやりきれないんですね。きっと」 岩上「そうですね。既存メディアに可能性があると思っていたら、私も苦労してインターネットのような新しい領域で50歳を過ぎてから始めようなんて思っていないので(笑)、今までの仕組みはむずかしいけれども、新しいメディアを使えば、ひょっとしたらジャーナリズムの新しい可能性があるのではないかと、私などは思っているんです。 ちょっと話が変わりますけれども、1点、どうしても前からお聞きしたかったことがあります。検察によって大物の政治家が逮捕される。これは、巨悪を正義の検察が倒すというストーリーで語られてきました。特に戦後最大の事件というのはロッキード事件に尽きると思うのですけれども、小沢さんの政治の師である田中角栄元首相が逮捕され、首相の座を追われた。 あの時は私は子どもだったのですけれども、本当にすごいことが起きるのだな、本当に検察というのは正義の味方であり、それについて語られるジャーナリズムというのは本当にペン1本で巨大な権力を倒す正義なんだ、ヒーローなんだと思い込んじゃったんですね。あの時代、まだ子どもでした。 ところが、どんどん長ずるにつれ、いろいろ、そうではないのではないかと、ジャーナリズムの世界に入ってもずっと疑問に思うようになっていった。どうでしょう、今度小沢さんご自身がこのような公判を控えるという身におなりになられて、振り返ってみて、あの田中角栄さんのロッキード事件とは、どういうものであったのか。見直さなければならないことが何かあるんでしょうか」 小沢「そうですね。悪いことをすれば、どんな権力者であれ誰であれ、ルールに従って罰せられる。それは当然のことなんですね。ただ、政治というのは日本の国の存否、それから日本の国民の命や暮らしを守るという大きな役割がありますから、ただ単に、ロッキード事件でも、お金の問題だけに矮小化しちゃって、スケープゴートに誰かを立てて、それでその場を通り過ぎようというのは非常にいけないし、どうも日本の社会ではそういう傾向がある。 例えばロッキード事件であれ何であれ、ではどうしたらいいのかというところに、大きなメディアが議論を持っていこうとしない。こいつが悪いんだ、悪いんだ、こいつさえいなくなれば、あとはみんないいんだという話になっちゃう。それは結局、旧体制における既得権を守るということが根底にあるから、そうなっちゃうんです。 自分自身も既得権を手放すこともあるかもしれない、しかし新しいこういう活動ができるんだ、だからこういう仕組みを変えて本当にみんなのためになる世の中をつくろうという発想になれば、僕はそんなに怖がる必要はないと思うのですけれども、どうしてもやっぱり誰かひとり、その時々不都合な事件が起きると、誰かをスケープゴートにしちゃう。それであとは口をぬぐっちゃう。その繰り返しで、本当に日本の場合は、特に政治の世界は悲劇だと思いますね。 ですから、もっともっと本当のところに迫っていくというのを、インターネットの話に戻りますが、そういう中で事実を伝え、真実を語り、そしてあとは主権者たる国民の皆さんが判断する、そういうことをぜひやってもらいたいと思いますね」 岩上「情報の主権者ということですよね」 小沢「はい」 岩上「ロッキード事件では、取調べで暴力的な取調べ、違法な取調べが行われたのではないかというのを、つい最近、新聞なんかも一部報じたりしています。『今ごろ?』という気はしますけれども、やっとそのあたりを振り返る気になったのか」 小沢「あの時はね、もう1つは、最高裁判所が裁判官会議で、アメリカの…誰だっけ…」 岩上「コーチャン(*)」 小沢「コーチャンか。コーチャンを免責したんですね。それは、日本のシステムにはないことをやっちゃったんです。これは私は司法に非常に大きな汚点を残したと思いまして、田中先生の事件云々、お金がどうのこうのということよりも、僕は民主主義国家日本としては、大変大きな問題点だったなと、あの事件を振り返って思いますね」 *コーチャン:アメリカの航空機製造会社、 ロッキード社の副会長だったアーチボルド・カール・コーチャン。1976年に起こったロッキード事件における一連の報道においても中心人物として度々名前が挙がっていた。【ウィキペディア】 http://bit.ly/fRHVM4 【Wikipedia】http://bit.ly/hk5RmQ 岩上「なるほど。法治国家としての瑕疵といいますか、傷、汚点ですね」 小沢「あれがいいというのだったら、全部免責して、勝手なことを喋らせろという話になっちゃいますから」 岩上「無責任な証言、中には偽物の証言もあり得る」 小沢「あり得ることになる。それを裁判官会議でやるなんていうことは、どこにも制度としてないわけでしょう。だけれども、そんなことが行われたということを、あの時、ものすごく疑問に思いましたね」 岩上「背景にアメリカの圧力があったというような観点からの考察はいかがでしょう」 小沢「それは政治的な、国際政治の舞台ですから、知る由もありませんけれども」 岩上「でも、日中国交回復(*)ということを思い切ってやり遂げたあとだった」 小沢「それと、チュメニの油田(*)もあったんです。ロシアのね。というふうに、あの時はいろいろ言われたんですよ」 *日中国交回復:日本と中国が国交を結ぶことになった出来事。1972年に田中角栄と周恩来が「日中共同声明」に調印することで成立した。アメリカも中国との国交樹立を望んでいたが、日本が先んじたことでアメリカを出し抜く形となった。日中国交正常化とも言われる。【ウィキペディア】 http://bit.ly/cSbeGd *チュメニ油田:西シベリアに広がる旧ソビエト(現ロシア)最大の産油地帯。田 中角栄は石油危機の経験から日本の石油供給ルートの多角化を行おうとした。そ の一つがチュメニ油田の開発である。【amazon】→「田中角栄 封じられた資源戦略」山岡淳一郎著 http://amzn.to/eo3WDa 岩上「キッシンジャー(*)はだいぶ怒った、という話もありますよ」 *キッシンジャー:ニクソン政権およびフォード政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官。【ウィキペディア】→ヘンリー・キッシンジャー http://bit.ly/bwhEhg 小沢「そうそう(笑)」 岩上「そういう外国からの圧力、とりわけアメリカからの圧力というのは、あり得ることでしょうか」 小沢「僕はね、直接的なそういうことをアメリカがやるとは思いませんけれども、いろいろな利害に関係している人がいますから。アメリカだって、日本だって。自分の利害に関係する人がいろいろなことを言うということはあるでしょうけれども、アメリカ政府が日本の時の内閣を、あるいは政治のトップリーダーを潰そうというようなことで意図的にやるというのは、ないと思いますけれどもね」 岩上「そうですか。本当でしょうか(笑)」 小沢「わかりません(笑)」 岩上「この質問をきっかけに、ちょっと質問を変えて、まさに国際政治、あるいは日本の外交、安全保障について、日米関係、日中関係などについてお聞きしたいのです。 というのは、今ちょっと田中さんのお話になりましたが、今回鳩山内閣が潰れていったプロセスを見ますと、沖縄の基地問題、普天間の返還、辺野古への移設という問題が大きな命取りになったと言うことができるでしょう。国内で既存のメディアは圧倒的に鳩山内閣の稚拙な運営の問題なのだという形で集中砲火を浴びせるような形でしたが、実際にそれが激しくなったのは、去年ロバート・ゲーツ国防長官が来日して、辺野古でいくんだ、日米合意通りでいけと非常に強い口調で言って以降、ものすごく日本の新聞、マスコミの論調が変わったんです」 小沢「そうでしたかね」 岩上「私は外務大臣を会見──岡田さんが外務大臣でしたけれども──に毎週のように行かせていただいていて、記者たちが、非常に厳しい難じ方、質問というよりも難じるような空気だったのを身をもって見聞きしていましたから、非常に緊迫した空気だなというのを感じておりました。あの鳩山政権が瓦解していくプロセスの中で、もちろん国内要因というのは大きいと思いますが、ここにアメリカの意志、アメリカの圧力というものはどの程度加わっていたのでしょうか。この点について」 小沢「この問題ついては、鳩山政権を潰そうとか何とかということじゃなくて、アメリカは普天間の代わりに新しい基地が欲しいんだ、それをちゃんと言う通りせい、ということなんでしょうね。基本は。鳩山さんは、沖縄の皆さんの心情を考え、これ以上基地はつくらせたくない、どうしても県外、あるいは国外ということで、一生懸命努力されたと思います。ただ、外務省はじめ日本の各省、防衛省、これはほぼアメリカの言うがままですから。それを乗り越えるのは大変だったでしょうね」 岩上「そこがショックなんですよね。日本の行政権力、国家権力そのものである省庁が実はアメリカの言うがままって、一体どういうことなのか。一般の国民としては本当にショックなんですけれども、現実なんですね」 小沢「それはまあ、長年の占領下の中で、そして戦後の復興のためにも、現実、アメリカは鷹揚に日本の復興を助けてきましたよ。だから、その点は僕は感謝しなきゃいかんと思うんです。ロシアに占領されていたらどうなっていたんだ、という話ですよね。だからそれはそれでいいんですが、その中で、何となく官僚もアメリカに依存するようになった。 そしてもう1つは、アメリカが怖い、依存するということと同時に、アメリカの言う通りしていたほうが楽だ、と。これなんですよ。僕は国民もいけないと思う。自分の主張をするよりも、何でもまあいいや、と。金を出せというなら最後は金を出せばいいんだと、こういう感覚が僕は、日本が、そして日本国民が舐められているというか、信用されない最大の問題点だと思う。やっぱり、自分自身の意思というものをきちんと持って、本当のパートナーにならないと。 日米同盟なんて日本でも一生懸命叫んでいる一部の人がいますけれども、僕は最初から言っているんです。『日米同盟なんて同盟関係じゃないよ』と。同盟というのは対等な国と国との関係であって、日米同盟なんていうのは存在しない。アメリカの鼻息をうかがって、言う通りだというふうに思っています。一方アメリカからしてみると、一見そのほうがいいと思っている節もあるんですよ。 だけれども、今イラクもアフガンも戦っていますが、本当に彼らが深刻になった時は、そんな頼りない同盟国なんていうのは困るんですよ。彼らだって本当は。もっと頼り甲斐のある、しっかりした同盟国でいてほしいというのが、本当のところ突き詰めると、僕はアメリカの本音じゃないかと思う。ただ、日本はどうせできっこないから、言うことを聞いて必要な時は金を出せばいいやと、こういうことになっちゃっているという、情けない現実ですね。 岩上「93年に非自民政権が生まれました。これは言ってみれば小沢さんがつくったと言っても過言ではない政権だったわけですけれども、この時に『樋口レポート』という、いわゆる多角的な安全保障ということを提言するようなレポートがつくられた。要するにアメリカ一辺倒の安全保障のあり方を見直そうという契機があったわけですね。ところがそのあと、次の政権でそれはどこに行ったのかという話になってしまう。 そして今回、また非自民政権の鳩山政権が生まれました。この時にも、対等の同盟関係、対米関係ということをうたったのですが、アッという間に潰れていってしまう。アメリカと対等な関係、アメリカと上下関係ではなく、身を引き離して相対的に自立してアメリカとイコールのパートナーシップを築こうという動きが何か生まれると、それは、アメリカの圧力なのか、あるいは日本国内における対米依存一辺倒で既得利権を持って楽していこうという官僚や財界やその他の勢力の方々の思惑なのか、潰される…」 小沢「それ(後者)のほうが強いですね、僕が思うには。アメリカのわがままとアメリカの勝手もありますけれども、それに何も言えない。例えば今度の普天間でも、アメリカ自身は前線に大兵力を置く必要はないという戦略に転換したわけですよ。だから沖縄だって、海兵隊はほとんど事実上は引き揚げているわけです。グアムに。その意味で、アメリカは前線から兵を退く。それじゃ沖縄の防衛は、極東の防衛は、日本はどういう役割を果たすんだということを言えないわけですね。日本は。考えがないから。だから結局、言うとおりせいという話になっちゃう。自己主張をするためには、自分で一定の責任を負わなきゃならない。言う以上は。それがないから、結局日本人なんていうのはそういうものだ、あれらなんか何か押し付けて金を出させていればいい、という結果になっちゃうというのが現状です。 日中も同じですよ。日韓もたぶん同じでしょうね。彼らは腹の中では(日本を)相手にしていないですよ。だから、そういう意味で非常に今後国際情勢が流動化するという時、ずっと平和が続いてうまくいっていればいいですけれども、中国であれ朝鮮半島であれ何であれ、非常に僕はマグマがたまりつつあると思っているんです」 岩上「今、きな臭い状況になっていますね」 小沢「なってきていると思うんですよ。中近東だって同じです。そういう国際社会が流動化する時に自分というものをきちんと持っていないと、全く波の間に間に翻弄されて、ついには沈没ということになりかねない。 僕は『アメリカと対等の同盟国』と言っているのだけれども、それはなにも軍事力を対等にしろという意味じゃないんですよ。日本は日本の役割。例えば人間同士でも、どんなに権力者でも一市民でも、あるいはどんなお金持ちでも貧乏人でも、人間としては対等ですからね。その意味で国と国も、自立した国である以上は対等でなきゃならない。そしてその国力や、いろいろな条件に応じて、その役割を果たしていくということの意味で、対等でなければ僕はいけないと思います。本当に今後のことを考えると、危ういですね。 岩上「90年代初頭、湾岸戦争がありました。その時、小沢さんは自民党の幹事長として、国際貢献をしなくてはいけないんだということで、大変な国内のまとめ役をおやりになったわけですね。まさに、今お金を払うというお話がありましたけれども、多額の戦費を調達するということの手腕を発揮されたわけですけれども、小沢さんの書かれたものを読むと、忸怩たるものがあるということはうかがっております」 小沢「そうです」 岩上「と同時に、戦場は非常に似ているイラクですが、ブッシュ・ジュニアが起こした2001年の同時多発テロ以降のアフガニスタンへの侵攻、そしてイラク戦争というものに、果たして同時多発テロ以降のアフガン侵攻、それからイラク戦争に、あの湾岸戦争時にあったような国際社会が急迫不正な侵略者の侵略を食い止めるという大義名分は本当にあったのか。ここがすごくむずかしいと思うんです」 小沢「僕は本当にないと思います。その大義はね。イラクがクウェートを『あれはもとは俺の領土だった』なんて言ったって、国を建造しているんだから、それを軍事力で占領するというのはけしからんというのは大義名分ある話で、だから国連も承認したわけですね。国連が承認した行動なんだから、日本は可能な限り援助しろ、支援するべきだというのが僕の議論で、それで僕はいろいろなことを考えて、難民を運ぶ輸送機をエジプトからなにから了解をとってやったり、いろいろしました。 前線の兵力は、日本は役立ちませんからね。実戦を知らないですから。そんなことを彼らは期待していないです。彼らは輸送船を、油ではなくて医薬品とか食料とか水とか、そういう兵站を担当してくれ、と。それから後方の野戦病院、こういうものも担当してもらえないか、と。それから飛行機での軍事物資の輸送をやってくれないかということ、いろいろなことを言ってきたんです。僕は、それをやるべきだということで徹底して言ったのですが、ついに最終的に内閣として決断できなくて、何もできなくなったんですよ。その時に、アメリカ人からほんとに屈辱的な話をされましたよ」 岩上「どういうふうな?」 小沢「大使から、あの時に日本のタンカー、油の輸送船が──彼らは正確に知っていましたが──二十何隻ペルシャ湾にいる、と。『自分たちの商売のためなら行くのか。国際協力だと危ないからとか何とか言って断るのか。どういうことだ、日本人は』ということを言われましたね」 岩上「誰から言われたんですか?」 小沢「時の大使から言われましたよ。おかしいって。ちゃんと正確なタンカーの数を言ったですよ。今ペルシャ湾にいる日本のタンカー、と。 そういうことも言われましたし、戦争が終わってから掃海艇が行ったんですね。機雷を除去する。その連中が帰って来て、隊長以下幹部を僕は慰労したんです。その時にその隊長が言っていたのは、『本当に戦争が終わってからで申し訳なかった』とアメリカのカウンターパートに言った、と。『戦争には支援できなかったけれども、ひとり100 ドル日本人は戦費を出した』。そうしたら相手方が、おもむろに懐から財布を出して、『俺はおまえに100 ドルやる。今度はおまえが俺の代わりに戦ってくれ』と言われた、ほんとに恥ずかしかった、と。その部隊長から聞いたんですから、僕は。一緒に慰労会で酒を飲みながら。そんな程度なんですよ。 だから僕は、そういう意味で、なにも実戦部隊をどんどん派遣しろなんて言っているんじゃないですよ。日本人として、日本国として可能な限りの国際貢献をすべきじゃないかというのが僕の意見で、その時は、いわゆる俗に言う後方支援、昔の軍用語で言えば『兵站』だけれども、後方支援も、その時の内閣法制局は、戦争と密接不可分の行為だから、これは憲法違反だと言ったんですよ。密接不可分な行為であることは、その通りなんです。戦争というのは、兵站戦が続かないから負けるんですから。太平洋戦争も、アメリカの銃弾で死んだ人よりも、兵站が続かなくて餓死したり病気したりした人のほうが多いんですから。 要は、戦争というのは兵站なんです。その時は、その意味で法制局は正しかったけれども、前線よりはイラク相手ならば後方支援のところまで攻撃は及ばないし、それはやれるじゃないかという議論だったのですが、そういう法制局でもってだめになったんです。ところが今度、小泉政権にこの間なりました。後方支援は戦場でないから憲法違反じゃありません、と(笑)。これくらいいいかげんな連中なんですよ。だから僕は、内閣法制局なんか廃止しろと言っているんです」 岩上「なるほど。憲法解釈をしている内閣法制局自体が、ものすごくいいかげんだ、と」 小沢「内閣法制局が憲法解釈をする話じゃないんですよ、本当は。政治家がやる話なんです。あの法制局というのは太政官以来の、要するにお上の権威のためにあるんです」 岩上「これも官僚制度ですよね」 小沢「そうです。国会に法制局があるんですから、立法府は国会ですから、法制局は国会にあればいいんです。政府は自分たちの政策をやりやすい、都合のいい法律をつくって出すんですから。これはよろしくないとか、これは憲法に反するとかいう判断をするのは国会なんですから、国会に法制局がちゃんとあるんだから、国会の法制局を充実すればいいんです。内閣に法制局は要らんのですよ」 岩上「なるほど」 小沢「そういうこともありました」 岩上「これも、もしかすると官僚を怒らせている1つの理由なのかもしませんね(笑)」 小沢「委員会に出てはだめだ、とかね(笑)」 岩上「なるほど」 小沢「いずれにしても、本当に僕は、国際政治で言うと、お父さんブッシュのほうがやはり慎重で、利口だったと思いますね。ブッシュ・ジュニアは、アメリカ人の単純で悪い面が出ちゃった。 これも僕はアメリカ大使に言ったんだけれども、大体あんたらの言うことは矛盾している、と。ブッシュは何と言った? 戦争を始める時に。『これは俺たちの戦争だ。アメリカの戦争だ。国際社会の合意なんか必要ない』と言って戦争を始めたんですから」 岩上「そうですね。有志連合と言って、国連軍をつくったわけでも何でもない」 小沢「そうそう。全然同意を得ていないんですから。アメリカの戦争だから勝手だ、と」 岩上「売られた喧嘩なんだから買うんだ、みたいなことでした」 小沢「そうそう。それでやって、イラクも、フセインは大量破壊兵器なんかない、ないと言っていたでしょう。それなのに武力侵攻して倒しちゃったでしょう。フセイン政権がいいとは言わないけれども」 岩上「実際は、(大量破壊兵器は)なかった」 小沢「アフガンだってそうでしょう。『俺の戦争だ』と言ったわけでしょう、ブッシュは。それで困ったら、今度は世界中助けてくれよという話でしょう。だから僕も大使に、『アメリカ人らしくない。自分で始めた戦争だ、自分で尻拭いせい』と言ったんだ」 岩上「ひとに頼むな、と」 小沢「なんだ、と。自分で『俺の戦争だ』と言ったんだから」 岩上「米国債を買えとか言うな、と」 小沢「そうそう(笑)。だから、ほんとに矛盾してるの」 岩上「大使はどなただったんですか? 小沢「これを言ったのは誰だろう……」 岩上「今のルースさんは?」 小沢「今のルースさんにも言ったな」 岩上「そうですか。その前の方にも?」 小沢「湾岸戦争の時の彼にも言ったし。とにかく会う時はズケズケ言うから。 それからもう1つ変なのは、イラクのフセインは大量破壊兵器はない、ない、だからやめてちょうだい、と言っていたわけでしょう。北朝鮮どうですか。核兵器を持ってる、持ってると言うてるでしょう。持っていないというやつを攻撃して、持っているというやつをそのままにして、話し合いだというのはどういうことだ、と言うんですよ」 岩上「全く矛盾していますよね」 小沢「矛盾しているでしょう? 僕はそれを言ったの」 岩上「だからといって、持っているというやつを今から攻撃しようという話とはまた違う話ですけれども」 小沢「違うけど、論理矛盾だ、と。理屈が通らん」 岩上「通らないですね」 小沢「それは(北朝鮮の背後に)中国があるから、北に侵攻はできないでしょう、現実問題としては。だけれども、イラクは武力討伐、北朝鮮は話し合え。こんな馬鹿なことあるかと言うんですよ。『だからアメリカ人は尊敬されないんだ』と僕は言うんですよ」 岩上「そこまで言い切った?」 小沢「はい。筋道通らない」 岩上「アメリカの大使は怒りませんか?」 小沢「怒らないですよ、本当のことだもの。 中国にも僕は言っていますよ。いろいろなことを。僕は、その代わり、日米のためにも日中のためにも、自分の公的な立場だけじゃなく、プライベートな一政治家としても、長年にわたって日中、日米の友好のために一生懸命やっていますから、その点では中国に何を言っても中国の人たちは、僕が言う限りは怒らない。ちゃんと聞いてくれる。アメリカ人でも、わかっている人はちゃんと聞いてくれる」 岩上「今、日本が現実に、そういう国際社会の力学の中に置かれている。それは北朝鮮がどんなに脅威であっても、中国がノーと言っている限りアメリカだってできない」 小沢「できないです」 岩上「やっぱり中国の存在というのは大きいわけですね」 小沢「中国は今、半島について言えば、現状維持ですから。金正日の政権をいいとは思っていないんじゃないですかね、内心は。だけれども、それをぶっ壊したら、ごちゃごちゃになって、北朝鮮は存在しなくなっちゃいますから。そうすると、自由主義・民主主義で半島が統一されたら、すぐ満州と境ですから」 岩上「そうですね。そこに米軍が駐屯する可能性がある。喉元に」 小沢「米軍以上に、国民の交流が激しくなっちゃいますから。朝鮮族というのは、もともと満州にいっぱいいるんですから」 岩上「吉林省や何かにいっぱいいます」 小沢「いっぱいいるんですよ。騎馬民族ですから、草原の。特に北朝鮮は。そういう意味で、中国にとっては統治の上で困るんですよ。だから現状維持なんです。その気持ちはわかるけれども、もう少し、あんなむちゃくちゃな乱暴はやめさせなきゃだめだよということを中国に言わなくちゃいかんのです」 岩上「小沢さんは中国のトップ政治家と直に会って、さしでお話ができる非常に数少ない政治家なわけですけれども、今、非常に半島問題というのは緊泊しておりますが、中国の指導者たちと話し合いをしたことがある、あるいは話しあう可能性というのはあるんですか?」 小沢「今、僕は何も立場がないから、なるべくよけいなことをしないようにしているんですけれども、背景は中国ですから、中国はああいう多民族の大きな国家ですから、なかなか強い権力じゃないと統治がもたないんですね、統一が。その点はわかる。だけれども、権力で統治するという手法から、民主主義の、民意を尊重するという手法に徐々に変えていかないと必ず政権の限界が来るよ、と。共産党政権は崩壊するよ、と」 岩上「はっきり言ったんですか?」 小沢「ええ、言いましたよ」 岩上「それは、相手はどなたに?」 小沢「相手は中連部(*)の部長さん。ちょっと前ですけれどもね。それから、そうでないスタッフの人とも議論しています」 *中連部:中国共産党中央対外連絡部。中国共産党の党外交を推進する機構。【ウィキペディア】http://bit.ly/dQ9mtG 岩上「胡錦濤さんとか、ああいう方とも、そういう……」 小沢「胡錦濤さんは、この間、日本に来た時に会いたいと言うから、僕は儀礼的な社交辞令で会うのは大嫌いなものですから、いいと言ったんだけれども、会いたいと言うから、じゃ15分か20分で何を言おうかと思って、それで僕は自分の好きな『山猫』のイタリア革命の……」 岩上「ヴィスコンティ(*)」 *ヴィスコンティ「山猫」:ルキノ・ヴスコンティ監督による1963年のイタリア・フランス合作映画。政変により没落していく貴族階級と勃興する新興階級を描いている。【ウィキペディア】「山猫」http://bit.ly/cBGjEp 小沢「はい。『変わらずに残るためには、変わらなければならない』、これが私の人生と政治の哲学だ、胡錦濤主席にもこの言葉を贈りたい、と」 岩上「中国に『変われ』と言ったわけですね」 小沢「『変われ』と言った。変わらないとだめになるよ、と」 岩上「一党独裁ではなく徐々にでもいいから民主化しろと、直言したわけですね」 小沢「そうそう。ソフトランディングが大事だ、と。短い時間ですし、その場でどうこう言わないけれども、『山猫』の革命の時の映画のせりふにあれして、彼に贈った。言葉を言った」 *読売の虚報。小沢氏はAPECで、胡錦濤主席に会ったとは一言も言ってないのに、翌日のYOMIURI ONLINEでは、『小沢氏、中国主席から「会いたい」と11月会談』という見出しで記事を掲載。小沢事務所にも未確認。(文末参照) 岩上「誤解している人も多いと思うのですけれども、小沢さんが中国へ度々訪問される、親中派なのではないか、などというふうに思っている人も多いんですね。どこの国と親しくして友好関係を築く、これは大事なことなのですけれども、中国の利益におもねっているのではないかなどというふうにうがった見方をする人もいる。でも、お話を聞いてみると、非常に厳しいことを相手に向かっておっしゃっている。 で、お聞きしたいのですけれども、代表選の時に菅さんと決戦をやりましたけれども、たびたび演説会を催されました。あの時に、自分の言葉で政策を語っている時に、外交・安全保障の話で、尖閣とか沖縄、それから奄美も日本の領土である、と。わりあい唐突な感じが私は聞いていてしたのですけれども、中国にまるで牽制するかのようにおっしゃられておりました。 これはやはり、中国にもし領土欲のようなもの、あるいは日本の国境を侵すような目論見や企みがあるのであったらば、それはだめだよ、そういうことは私は毅然として認めないよということをおっしゃりたかったのかなと思ったのですが…」 小沢「それはもう、前から言っていますから。中国の首脳にも、『尖閣列島は数千年の中国の歴代王朝の支配下に入ったことは一度もない。そして琉球王国の一部だ。琉球が日本と一緒になった以上、日本の領土だ。これだけは譲らんよ』と言ったら、その相手の人が、『ケ小平さんも、これは次の世代に任せようと言ったことだから、まあ今日はこの辺で……』なんて言っていたけれども(笑)」 岩上「棚上げ論ですね」 小沢「その時に、『そんなことを言ったってケ小平さんが亡くなって、それを言ってからもう20年ほど経っているじゃないか。もうそろそろ解決せにゃだめだ』と僕は言っています」 岩上「『解決』というのはどういうことですか。これはきちんと日本の領土だから手出しするな、と。それを認めなさいということですか」 小沢「そうです。それはそうよ。それは当たり前です」 岩上「そうすると相手は、今言ったような曖昧な反応なんですか?」 小沢「その時はね。『次の世界に任せようとケ小平さんが言ったんだから、ここで結論を出すのはやめましょう』という回答だったけれども、『これは曖昧にはできないよ』ということは、僕は言いました」 岩上「これは今、大変重大な安全保障上の課題になっているわけですね。中国の漁船の問題もありまして、あれ以来非常に、日本の政府の対応も稚拙だったのではないかと思うのですけれども、拙速で逮捕・拿捕、非常に強気の態度に出た。それで今度はアメリカ頼み。そのあげく、今度はいきなり釈放してしまう。もし小沢さんだったら、あの問題、衝突の時点から全部含めてですけれども、どのように対応するべきだったとお考えですか」 小沢「事実関係を僕は現場で検証したわけではないからわかりませんが、もし伝えられている事実通り、領海を侵して巡視船にぶつけたということであるならば、明らかに領海侵犯であり、公務執行妨害でありますから、それは法に照らしてきちんと処分しなきゃだめですよ。 それで、釈放をする。日本の民主主義として最大の問題は、釈放の決定を那覇地検の次席検事が発表したでしょう。日中の国際間の大問題、これに鑑みて釈放する、と言ったでしょう。検事であれ普通の行政官であれ、役人が国際間の重大問題に鑑みて釈放したり、逮捕したり、そんなばかげたことはあり得ないことですよ。民主主義国家じゃないですよ、これは。政府が決めるべきです」 岩上「内閣が、ですよね」 小沢「内閣が。それが指揮権発動だと言われようが何しようが、『これはそれ以上に大事な国益のかかった問題だから、政府は釈放の決定をした』と、そう言わなくちゃんいかんのです。そこを一官吏に責任をおっつけようということは、非常によろしくないですね。ましてや領土問題なんですから」 岩上「実際にはあれは、内閣が一定程度の示唆をしたのではないか、ということも言われていますね」 小沢「いや、示唆じゃ、あんなことしないでしょうね。事実上命じたんでしょうね」 岩上「命じた!?」 小沢「と思います」 岩上「命じて、内閣が政治責任をとらなかったということですか?」 小沢「そうじゃないと言っているわけですね。あれは那覇地検が決めたことだと言っているわけでしょう。それは僕は、非常によろしくない、禍根を残すことになると思いますね」 岩上「小沢さんの言う『政治主導』というのは、内閣がきちんと決断し、それを行政府に命じ、そしてその生じる責任をとる」 小沢「政治家がとる。ましてや国際問題なので、一官僚が責任とれるわけないじゃないですか。それは国民を代表する政治家が責任をとらにゃいかんですよ」 岩上「なるほど。 もっともっとお話をうかがいたいのですけれども、お時間がということで、ちょっとまとめさせてください。政治主導というお話が出ました。ところが、例えば枝野さんは『政治主導などという迂闊なことを言ってしまった』なんていうことを最近言っているんですね」 小沢「あ、そうですか」 岩上「ええ。ちょっと驚いたのですけれども。政治主導というのをやるべく誕生したのが民主党政権だったのではなかったのか、と」 小沢「そうですね」 岩上「それをはじめ、例えば企業団体献金の禁止というものをコロッと変えてしまったり、あるいはさっきの可視化もそうですし、消費者を上げないということを明示していたのに、それも、今すぐに上げるというわけではないですけれども……」 小沢「『上げる』と言っちゃった」 岩上「09年総選挙のマニフェストに掲げられてきたような国民への約束を、現在の菅政権はことごとく引っ繰り返すような状態になっているのですけれども、この現状は我々国民としては納得いかないんですよね」 小沢「国民の皆さんに約束しても、約束したことの100 %すぐできるということは、人間のやることですから、なかなかあり得ないですよ。だけれども、約束したことを守ろうという努力を一生懸命するというのが貴い姿だ、あるべき姿だと思うんです。それを現実が、例えば金が足りないとか何とかいろいろ問題があるでしょう。そんなこと最初からわかっていたことなんですから、旧来の役所の積み上げ方式でやったら金はないに決まっていますよ。その方式を根本から変えて、無駄を省いて、優先順位をつけて、我々の主張を実現しようと、こう言ってきたわけですから、現実の壁があったから我々の理想の旗を捨てるというのでは、これはもう何のための政権交代だかわからないので、国民から必ず、このままだったら早晩見放されちゃいます。今でもだんだん……(笑)」 岩上「支持率は、下がってきていますけれども(笑)」 小沢「そこは、民主党の議員それぞれが政権に安住していちゃだめですよ。その使命を、その責任を一人ひとりが、もっともっと強く認識しなきゃいかんと思います」 岩上「わかりました。まだまだ実はお話しうかがいたくて、考えていた質問の半分ぐらいなんですけれども、またぜひ」 小沢「またの機会に」 岩上「小沢さん、今日こうやって、ちょっと長い時間でしたけれども、これだけ語って、たぶん恐らくダイレクトに届いていると思います」 小沢「届いているんですか、もう」 岩上「ツイートでバーッとたくさんの人が書き込みをしてくださったものを……」 小沢「自分の書き込みなの? 各人の」 岩上「はい。いろいろな人たちの書き込みなんです。これをプリントアウトしたものを、あとでお渡ししますので、ぜひご覧いただければと思います」 小沢「ありがとうございます。これ、今出てきてるんですか?」 岩上「ええ、こういうような形でどんどんどんどん書き込みがされています。いろいろな人たちの書き込みも、今日は拾えなかったのですけれども、皆さんのお声も小沢さんにお伝えしたいと思います。小沢さん、またぜひ、こういう機会にご登場いただければと思います」 小沢「はい。お願いします」 岩上「どうもありがとうございました」 小沢「ありがとうございました」(拍手) 本インタビュー翌日、12月24日発行のYOMIURI ONLINEは、『小沢氏、中国主席から「会いたい」と11月会談』という見出しで、小沢氏のこの発言を取り上げた。しかし、正確には小沢氏は11月横浜で開催されたAPECで会談したとは一言も述べておらず、読売新聞の未確認報道である。2011年1月6日にBS11 InsideOutの番組内で、小沢氏は改めてこの報道を否定している。 以下、NHK BS11 InsideOut 関連発言 テキスト起こし 『提言!小沢一郎 どこへ行く日本 (2011年01月05・06日放送)』 BS11 INsideOUT 毎週月〜金曜日 22時00分〜22時55分 小西克哉 (国際教養大学客員教授) 金子秀敏 (毎日新聞論説委員) ゲスト:小沢一郎 (民主党元代表) 番組放送開始約6分 小西 「胡錦濤さんが、小沢さんにぜひ会いたいとおっしゃっていたと、岩上さんとのインタビューで我々知ったんですけども、実際にどうなんですか。胡錦濤とはお会いになったんですか」 小沢 「いつ?」 小西 「あの、2010年。横浜のAPECで」 小沢 「いえいえいえ、横浜のAPECでは会いません、会いません。会いません。なんかそれ、話題になったんですって?」 小西 「えぇ、ustreamではそういう風に仰っていたので」 小沢 「言ってない、言ってない。胡錦濤さんと会ったときに、自分はこういう話をしたと、いうことを言っただけです」 小西 「あぁ、なるほど」 小沢 「こないだ会ったっつーわけじゃないです」 金子 「いつか訪中されたときですね」 小沢 「訪中した時もそうだし、胡錦濤さんが去年かな、一昨年かな、何か日本に来たでしょう」 金子 「松本楼で…、福田政権のときですか」 小沢 「いつだったか忘れたけど日本に来て、各政党の党首と会うっちゅうから、ほ〜んな、15分や20分なんぞ会ったてしょうがないから、俺は前にもしょっちゅう会ってるし、会わんでもいいっつったんですが、ぜひ会いたいっちゅうその時は話だったもんで、短い時間で個別の具体的な話もできないし、そんなに哲学論争もできないし、っていうんで、短い会話をしたっちゅうわけです」 小西 「なるほど。その時、小沢さんはヴィスコンティの映画の…」 小沢 「えぇ。『変わらずに残るためには、変わらなくてはならない、という言葉。私も政治家として大変好きな、しかも肝に銘じていることです。あなたにもお贈りします』と」 小西 「その言葉を贈られたら胡錦濤さんは、どんなことをお仰っていましたか」 小沢 「う〜ん。その意味するところは分かっていんだとは思いますが、僕は胡錦濤主席だけじゃなくて、いろんな部長レベルの人たちとも、ずっと話ししてますので、その中で共産主義の、一党独裁体制っちゅうのと市場原理というのは、絶対相反する原理だと、共産主義の原理と。だから、ケ小平さんが改革、解放と、これは毛沢東の後始末をし、文化大革命の混乱を収拾すると同時に、経済も回復させた、と。しかしこれは、経済的自由はイコール政治的自由と裏腹だということは共産党の原理、一党独裁と必ず衝突するときがくる、と。だからこのまんまでは、絶対共産党政権は持たない、と。僕はそう言ってますから」 小西 「向こうはどういう風に答えるんですか、そういう時は」 小沢 「いやぁ、本当に分かる人は分かってますよ。そりゃぁ、公式には言いませんけども。大変深刻な問題ってことは幹部の人は知ってますよ」 ※サポーター・ボランティアのみなさんに会見の文字起こし等をお手伝いいただいたきました。ありがとうございました。 ◎ @hoshigatanoniwaさん ◎ ぼうごなつこさん |