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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131025-00010004-wedge-int
WEDGE 10月25日(金)13時45分配信
9月25日付け米Diplomat誌にて、Julio Amador III米East-West Center客員研究員が、「力の網におけるASEAN」と題して、アジアで出来つつある国際秩序へのASEANの対処ぶりを解説・提言しています。
すなわち、東南アジアでは、米中関係のあり方がASEANに直接影響を及ぼすが、ASEAN諸国は受け身になるのではなく、将来の地域秩序の形成に関与しようとしている。
中国は、新しい大国関係、すなわち米国とほぼ平等な関係を求めている。これは東アジアで中国が優位性を持つことを意味する。日本の尖閣諸島領有を問題にし、フィリピンのスカボロー礁などを奪取し、ベトナムとの西沙諸島紛争を継続している。
東南アジアは中国と平和的・生産的な関係を有してきた。2002年には南シナ海での行動についての宣言も出来た。東南アジア諸国には地理的に中国と協力する以外の選択肢はない。
ASEANは、中国を取り込むことに努めてきた。しかし、日本にかわり世界第2の経済大国となった中国は、大国として尊敬されることを期待している。中国は東南アジアの支配を当然と考えているが、地域諸国は自主性を保持することを望んでいる。中国を尊敬しているが、中国に服従する気はない。それで、ASEAN諸国は、中国との関与を他の域外諸国との関与でバランスしようとしている。
東南アジア諸国にとり、米国の優位性は受け入れやすい。米国の航海の自由尊重、他国の小国支配防止、領土要求の欠如の3点がその理由である。また米国の政策決定過程の透明性やアジア重視を歓迎している。
しかし、ASEANは米中いずれかを選ばなければならないようにはなりたくない。ASEANは中立で大国に対話の場を提供しようとしてきた。ARFなどがそうである。また、米国がアジアでのコミットメントから引き上げる可能性があるとの恐怖が常にある。南シナ海での中国の領土主張についても、ASEAN諸国は慎重に対応している。
ASEANは一致して、中国に南シナ海での行動規範の交渉を求めてきた。
ASEANは、地域的構造の中心であることを望み、米中間で微妙な姿勢をとり、かつ日本、ロシア、インドとの関与を推進している。ただ、ASEANは、外交政策の調整では強くない。脅威認識も各国で違う。それで議長国が調整の任に当たることになるが、外圧への抵抗力はその議長国の力による。2012年のカンボジアと今年のブルネイでは異なる。
ASEANがより大きな役割を果たすためには、ASEANは真の共同体になる必要がある。その上でASEANは宣言作りから実際問題の解決に力点を移す必要がある。
ASEANは既存の地域構造の中で中心的地位を占めてきたが、それを続けられるか。もしASEAN諸国が領土紛争など実質問題に取り組み、かつこれらの問題は共同体建設と切り離せないと考えれば、そうなるだろう。そうでないと、ASEAN抜きのTPPのような地域取り決めが出来ることになる。
ASEANがアジア太平洋の中心であるためには努力がいる。これに失敗すれば、大国自らが地域の将来を決めることになろう、と論じています。
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この論説はASEANの地域秩序への貢献を肯定的に評価した上で、ASEANが東南アジアで中心的役割を引き続き果たすためにASEANを強化するべきであると論じています。
アマダーはASEANが真の共同体となっていくことが役割を果たす上で重要であると指摘しています。共同体作りが加盟国間で対中政策調整を十分に行うことにつながれば良いでしょう。現状では、対中政策はばらばらであり、中国に分断される余地を残しています。
また、ASEANには、中立を重んじる伝統があり、米中の間で上手くやっていきたいとの気持ちが強いです。しかし、米中対決が厳しくなると、そういう中立路線で諸問題に対応し得るのか、疑問です。
ASEANは、国内のあり方のモデルとしては、中国よりも米国や日本に好意を持っていると思われます。
ASEAN側には、米国がアジアへの関与を弱めていくのではないかという懸念があるとアマダーは指摘しています。
日本としては、ASEANの強靭化を支持することが重要です。本年12月、安倍総理は、ASEAN首脳を日本に招待して、日本ASEAN首脳会談を開催することを決めました。こうした機会を通して、日本とASEANとの関係を深め、ASEANの地域機構としての確立を日本が側面支援して行くことは、アジアの平和と発展にとって極めて大切なことだと思います。
岡崎研究所
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