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村木厚子著『私は負けない』に書かれていない事
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64239868.html
★「田中良紹氏の視点ー(2013/10/25)」★ :本音言いまっせー!
郵便不正事件で逮捕され無罪となった村木厚子さんが『私は負けない
「郵便不正事件」はこうして作られた』を10月25日に出版する。
そのため23日に日本記者クラブで記者会見が行われた。会見で村木さんは
如何にしてでたらめの調書が作られ、自白を迫られたかの実体験を語った。
そこで語られた取り調べの話は別に珍しくはない。検察は被疑者の話を
聞いて調書を作る訳ではなく、あらかじめ検察の考えるストーリーに沿った
自白を引き出して調書を作る。被疑者は検事が書いた調書に署名を
させられる。署名を拒むと様々なテクニックで署名を強制される。
人間には誰にでも弱みはある。そして失うものが大きい人ほど弱みも大きい。
社会的地位や名声、他人より優れた能力を持つ人間は、検察の言う通りに
しないとそのすべてを失うと思い込まされる。従ってインテリやエリートは
簡単に落ちる。しかも男は理屈に弱い。検事の張り巡らす理屈の罠に陥って
屈服する事も多い。ところが簡単に落ちないのが女性である。
いったん覚悟を決めると梃子でも動かない。理屈も糸瓜もない。
昔、フーテンがロッキード事件を捜査する東京地検特捜部を担当していた頃、
検事からそんな話を聞かされた。
村木さんの話を聞きながらフーテンは、大阪地検特捜部がでっち上げ事件の
中心に女性を置き、その女性をよくぞ逮捕してくれたと思った。
最初に逮捕された厚労省の男性係長は検察のストーリー通りの自白をして
しまい、それに基づいて村木さんは逮捕されたが、それによって検察は墓穴
を掘ったのである。
しかし如何に検察のストーリーに抵抗しても、自分が無実である事を証明
するのは難しい。身に覚えがないと言っても、真相がどうだったかなど知る
はずもない。いかに無実を訴えても裁判で無罪になることはほとんどない。
村木さんもそうなるはずであった。しかし村木さんが幸運だったのは、
男性係長のフロッピーディスクが作成された日付の違いに気付いた事である。
それがなければ検察の証拠改ざんは発覚せず、村木さんの無罪もなかった。
しかしなぜ大阪地検特捜部は郵便不正事件をでっち上げる必要があったのか。
それについて村木さんは何のコメントもしないし、コメントできる立場にも
ない。今や彼女は厚生労働事務次官という内閣の主要幹部である。
この人事は安倍内閣による異例の抜擢人事だが、それを聞いた時にフーテン
は「口封じだ」と思った。彼女が反体制的な動き、政治的な動きをすること
はこれで封じられた。
にもかかわらず村木さんが『私は負けない』を出版した事は、検察の取り
調べの可視化に向けて大きく後押しをする意味がある。でっち上げを意図
した権力機構は、村木さん無罪によって民主党幹部を逮捕する目的を達する
事は出来なかったが、村木さんを法制審議会の委員にして可視化の動きに
携わらせ、そこまでは許容範囲にする事にしたのだろう、こうして政治捜査
の本質を見えなくした。
この郵便不正事件は小沢一郎氏を狙い撃ちにした「西山建設事件」と共に
民主党の政権交代を阻止するための自民党政権による政治捜査である。
フーテンはそう主張してきた。検察が自ら捜査に乗り出した事件とは全く
思えない。官邸の意向によって検察は動かされ、だから捜査はボロボロで
あった。しかしそれでもでっち上げを企図した権力機構の目的は達せられた。
民主党を分裂に導き、再び自民党政権を作りあげたのである。
そして事件の本質は封じ込められようとしている。
特捜部は極めて政治的な捜査機関である。特定の権力と手を結び反対派を
摘発する。東京地検が華々しい活躍を見せた60年代半ば、「吹原産業事件」、
「田中彰治事件」、「共和製糖事件」と政治家がらみの汚職事件が相次いで
摘発され国民は検察に拍手喝さいを送った。しかしそれらの事件はいずれも
佐藤政権を脅かす池田派、河野派に打撃を与えるものであった。
佐藤長期政権は検察の協力によって実現した。
フーテンが取材をしたロッキード事件はアメリカで作られた調書が田中逮捕
の決め手となった。そもそもこの事件はアメリカ軍需産業と世界の反共人脈
の癒着を断ち切ろうとしたアメリカの民主党によって暴露された。
日本でのターゲットは右翼の領袖児玉誉士夫であり、それにつながる政治家
は中曽根康弘自民党幹事長であった。
ところが児玉の病気入院でターゲットが田中角栄前総理に代わる。
田中の存在は三木政権にとって最大の脅威であった。田中逮捕の決め手は
ロッキード社幹部を刑事免責にして作られた嘱託尋問調書である。
それを基に丸紅や全日空幹部らが逮捕され嘘の自白調書が作られていった。
田中は無実を叫ぶが検察とメディアによって国民は「検察は巨悪を捕まえる
正義の味方」という嘘を信じ込まされた。
ロッキード社から賄賂を受け取った政治家は世界各国にいたが、世界各国は
誰も逮捕されていない。アメリカの情報を信じて自国の政治家を逮捕する
ほど世界は愚かではないのである。日本を操るのは簡単だとアメリカは
思ったに違いない。安倍政権はアメリカとの情報共有を図るため
「特定秘密保護法」を成立させようとしているが、アメリカのような
情報公開の仕組みもない日本が、わざわざ騙されるために自国民の罰則を
強化するような話である。
ロッキード事件でさすがに最高裁は最終的に嘱託尋問調書の証拠能力を
否定した。しかしその調書がなければ田中逮捕はなかったのである。
田中逮捕はその後の日本政治を大混乱に陥れたが、調書を作成した
担当検事はテレビ界で偉そうにコメンテーターを務め、国民はその解説を
拝聴させられてきた。
村木さんは事件について「二度と経験したくはないが、得難い経験であった
ので、それを国民に知らせたい」と出版の動機を語った。
フーテンも検察担当記者としてロッキード事件を取材し、また政治記者
として田中角栄氏に密着取材、さらにアメリカ政治がいかなるものかを
冷戦が終わる頃から見続けてきた。
その得難い経験がフーテンにブログを書かせている。
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