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2013年10月23日
2013年4月の日米合意文書には、自動車について日本は、合意文書で「最大限」の譲歩をした。つまり、日本は自動車におけるアメリカの関税撤廃を「最大限後ろ倒し」することに合意した。
日本唯一の強みと言ってもよい自動車輸出でさえも、アメリカは自国の関税撤廃をいつになるか分からないレベルで後にすることを日本に了承させた。
これで、積極的に攻めるべきものは攻めるなどと言っていた推進派の拠り所は完全に失せてしまった。
あとは守るべきものは守るという言い方しかできなくなっている。
自動車についていえば、米国は以前から日本の軽自動車の存在そのものに強い不満をもっていた。
日本にはこの軽自動車優遇政策があるから、アメリカ車が日本で売れないのだというのである。だから、この政策をやめるように執拗に要求してきた。
具体的には、米自動車大手3社(ビッグスリー)が組織する米自動車政策会議(AAPC)は、日本の自動車市場の閉鎖性を理由に、参入障壁となっている軽自動車規格については、「廃止すべきだ」と主張した。
彼らは、日本独自の軽自動車規格について、「市場の30%を占めているが、もはや合理的な政策ではない」と批判したらしい。
日本の技術基準や、認証制度などの規制も参入の障害になっており、透明性を必要としていることらしいが、どこかで何度も聴いた言いぐさである。
普通なら、日本の軽自動車に脅威を感じるのなら、日本の道路事情や生活様式、燃費などを考えて、アメリカ独自の性能の良い軽自動車を作り、自国や日本で売ることを考えればよい。
いくら広い面積を持つアメリカでも、都市部などでは軽自動車の需要はあると思う。
だが、アメリカは日本では小型車の需要が高い環境にあることなどはいっさい考慮していない。
このままであれば、TPPが稼働した暁には、アメリカは日本の軽自動車規格や技術基準などを対象とし、ISDS条項(Investor-State Dispute Settlement 投資家対国家の紛争解決条項)によって、投資の参入障壁を認めているかどで日本政府を訴えることになる。
あまりに理不尽であり馬鹿馬鹿しすぎて説明の必要はそんなには感じないが、TPP自体が常識外れというか、外道(げどう)すぎる協定なので、辟易しながらも、どういうことか説明するとしよう。
日本の軽自動車規格について、アメリカ自動車業界がISDS条約を使って日本政府を提訴するということは、日本の道路事情や燃費の良さを追求した企業の歴史や努力をすべて無効化し、軽自動車の存在そのものを危うくすることになる。
つまり、アメリカは日本の道路事情や自動車関連企業の軽自動車研究、軽量化、耐久性などの努力をすべて水の泡にするということなのである。
これは英語圏の企業が、日本に対して“日本語”が参入障壁になっているから即刻廃止して英語で統一しろという話と本質が同じである。
日本語が障壁であるのと同様に、軽自動車が考えられ、発達したこと自体が大いなる間違いであったかのように言っている。
日本の風土、社会事情によってできあがっている、つまり、日本の然るべき事情によって存在論的に出来がっている社会システム、あるいは国土的な事情そのものが裁かれることになる。
これでは、まるで日本列島がアメリカ大陸と比べて狭すぎるという物理的、国土的条件が“存在悪”であるかのように見なされていることになる。
無茶苦茶とはこういうことである。
なぜ企業が、歴史ある国家の諸事情を裁きにかける権利を持つのだろうか。
これは国や人種に関わらず、子供でさえも理不尽であることが分かる。
TPPとは、企業の投資利潤を最優先して、人類の生活権を否定する奴隷条約ということになる。
日本に限らず、このようなことはどこの国が見ても普遍的に間違っていると思うのは当然であろう。
アメリカでも軽自動車を作って、日本に輸出すればいい、と誰しも考えるが、傲慢なアメリカは、そうは考えない。日本は脅せば何でも言うとおりにする、と考えているのだろう。日本も弱腰というしかない。
たとい、日本の政府がこの要求を受け入れなくても、アメリカの自動車会社はTPPのISDS条項を使って、訴訟をおこし、その結果、日本政府は賠償金を支払うことになるだろう。
もしも日本がアメリカの要求を受け入れたらどうなるか。日本から軽自動車は消えるしかない。
そして、ガソリンをふり撒いて走るような車に乗るしかない。
筆者は、個人的にはアメリカの大型車が嫌いではない。
とくにカーマニアではないが、アメリカのハマーなどは大好きである。
あのようにダイナミックで野性的、精悍な動きをするオフロード仕様の車は魅力がある。
オフロードが好きな連中は、ガレ場や斜面、川、荒野等を走破するマシンに憧れている。
ハマーは対向車輪同士の幅が長いので抜群の安定性がある。これがハマーの格好よさを特徴づけている。
外観も美しいし、荒れ地の走破様態も精悍そのものだ。
ハマーを好きな日本人はけっこういることが分かっているが、憧れていることと、その車を自家用車にして、日常的に乗ることは別である。
ハマーがいかに精悍で野性的な魅力があろうとも、あの車両幅や全体サイズ、リッターあたり数Kmくらいしか燃費が持たないことは、しょげる要素しかない。
あれが自由に走行できる日本の道路環境やレジャー走行地の少なさ、そして、その驚くべき高燃費のアンチ経済性などから、実用的ではない。
もちろん、趣味で所有する人間はいても、これが大衆車的に普及することは、島国日本の立地からは考えにくい。
だから、日本の軽自動車を殲滅しても、日本列島内ではこういうアメ車は大衆的な用途としては絶対に根付かない。
狭い田舎道やカーブ、都会の狭い路地などにおける接触事故や、歩行者や自転車をはねる率は高くなるだろうし、公共駐車場の車庫入れ、車庫出しなどは危なくて仕方がないだろう。
TPPが日本の軽自動車にぶつけてくる理不尽さは、日本の固有性の否定であり、日本列島の狭さを貿易障壁だと言っているのである。
これを自主権の否定だとかいう前に、儲けるためなら何でもありのイカレタ考え方が出てくること自体が、コーポラティズムの理不尽というものだろう。
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