http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/349.html
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「核兵器不使用への決意を示す共同声明」そのものにUN加盟国の行動を縛る国際法的効力や拘束力はないが、賛同した日本政府の対応は外交的に重要な意味を持っている。
唯一の被爆国なのにこれまではなぜ賛同しなかったのかといういぶかる声や中国・北朝鮮との緊張関係が継続している状況でなぜわざわざ手を縛るようなことをするのかという批判の声もあるようだ。
UNで優越的地位を占める安保理常任理事国は、すべて核兵器保有国だが、当該「核兵器不使用への決意を示す共同声明」には賛同していない。インドやイスラエルといった“未承認”核兵器保有国も、自分の手足を縛ることになる当該声明には賛同していない。
それどころか、核保有国は、「核兵器の先制不使用」や「非核兵器保有国への核兵器不使用」といった“最低限のマナー”さえ条約化していないのである。
筋道から言えば、非核保有国があれこれ言うより先に、核保有国は、「核兵器の先制不使用」や「非核兵器保有国への核兵器不使用」が盛り込まれた条約に署名すべきである。
これまで、米国政権は、日本政府に対し「核兵器不使用への決意を示す共同声明」といったものに賛同しないよう働きかけていた。今回の日本政府の動きが米国政権の意向を無視したものではないはずだから、米国政権は、そのような働きかけをしなかったか、180度方針転換したと思われる。そのような米国政権の動きにシグナルを読み取るべきだろう。
米国の思惑はともかく、日本の「核兵器不使用への決意を示す共同声明」への賛同は、諸外国から、日本政府が核兵器の開発及び保有に向かわないことを宣言したものと受け止められるはずである。
核保有国が当該声明に賛同していないことでわかるように、核兵器を保有しようと考える国家も、そのような声明に賛同することはないからである。
諸外国に不使用を求めた兵器を保有することは自己矛盾の極みであり、それこそ、諸外国から得体の知れない国家だと思われる。
今回の賛同について推測しやすいのは、安倍政権が“解釈改憲”の積み重ねのなれの果てとして「集団的自衛権行使」まで合憲化しようと動きとの関係である。
その必要さえないのかもしれないが、日本の「集団的自衛権行使」は、自立したものではなく、あくまでも米国の下請けとして行われるものであることを世界に示す役割は果たすであろう。
軍事的強硬路線を主張してきた産経新聞も、今回の賛同については温和な記事しか掲載していないことから、日米合意のなかで安倍首相がリベラル路線に動いたとみることができるだろう。
非核保有国が核保有国にあれこれお願いするより先に、核保有国が、「核兵器の先制不使用」や「非核兵器保有国への核兵器不使用」が盛り込まれた条約に署名すべきだと考えているので、今回の情緒的すぎる「核兵器不使用への決意を示す共同声明」には賛同しない。
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日本、核兵器不使用に初の賛同 最多125カ国が声明、国連で発表
【ニューヨーク=杉本貴司】軍縮などを担当する国連総会第1委員会で21日、核兵器の不使用を訴える「核兵器の人道上の結末に関する共同声明」が発表された。作成はニュージーランドが主導し、過去最多の125カ国が参加。日本が初めて賛同した。(関連記事を社会2面に)
共同声明は、冒頭で「核兵器のもたらす壊滅的な人道上の結末に深く懸念する」と指摘。「核兵器爆発による壊滅的な影響に適切に対処することはできない」と訴えた。「核兵器が使用されないことを保証する唯一の方法は核兵器の全廃だ」と強調し、核兵器廃絶をめざすことを宣言した。
岸田文雄外相は22日午前、「唯一の被爆国で核兵器使用の悲惨さを最もよく知る国として支持する」と歓迎する談話を発表した。
核兵器不使用に関する共同声明はこれまで、核拡散防止条約(NPT)関連の会議などで文言修正を重ねてきた。日本は「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類生存のための利益」とする従来の表現が、米国による核の傘の抑止力を損ないかねないと解釈し、参加を見送ってきた。
今回の声明は「いかなる状況下でも」とする文言を残したが、「核兵器の非合法化」に触れなかった。「核軍縮に向けたすべてのアプローチと努力を支持する」と表記。日本は自国の安全保障政策と整合性が取れる内容に修正されたと判断した。
声明には米国など核保有国は参加しておらず、法的な拘束力もない。
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国連「核兵器不使用」共同声明、日本が初の賛同
. 【ニューヨーク=加藤賢治】国連総会第1委員会(軍縮)で21日、日本やニュージーランドなど、125か国が賛同し、「核兵器不使用」を訴える共同声明が発表された。
同様の共同声明は、昨年5月以降、同委や核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会で計3回、発表されているが、日本は今回初めて賛同した。国連加盟国数は193か国。
日本は、米国の「核の傘」により北朝鮮などの核の脅威に対抗しており、この種の声明への賛同を見送ってきた。今回の声明はこれまでよりも包括的で、段階的な核軍縮を目指す日本の安全保障政策との整合性が保てると判断した。声明は核兵器不使用に向けた決意を表明するもので、法的拘束力はない。
(2013年10月22日11時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131022-OYT1T00423.htm
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日本の賛同は「安倍首相の強い指示」 核不使用声明で菅官房長官[産経新聞]
2013.10.22 12:53
菅義偉官房長官は22日午前の記者会見で、日本やニュージーランドなどが核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明を発表したことに関し、安倍晋三首相の意向で日本の賛同方針が決まったと強調した。「首相は『核兵器のない世界の実現』を基本的考え方としていた。首相の強い指示があった」と述べた。
同時に、声明には、核軍縮への全てのアプローチを認めるとの趣旨の文言が含まれているとして、「段階的に核軍縮を進める日本の取り組みと整合性が取れていることが確認できた」と説明した。
岸田文雄外相は、核兵器の脅威を除去しようとする「政治的意志を示すものだ」として唯一の戦争被爆国の立場から歓迎する談話を発表。「核兵器のない世界の実現に向け、引き続き国際社会の取り組みを主導していく」と表明、来年4月に広島で開く日本など非核保有12カ国の外相会合を成功に導く意欲を示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131022/plc13102212550013-n1.htm
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核不使用声明に賛同「やっと日本動いた」「他国リードして」 被爆者ら歓迎・注文
核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明に日本が初めて参加したことについて、広島、長崎の被爆者らは22日、「やっと日本も動いた」と歓迎する一方、政府に注文も付けた。(1面参照)
広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)の佐久間邦彦副理事長(69)は「やっと政府も動いた。不使用は当然」と指摘。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(73)は「参加は評価できるが、本来はいの一番に日本が取り組み、他国をリードすべきだ」と話した。
広島市の松井一実市長は「歓迎する。日本政府には広島の思いを受け止めていただいた」と述べた。長崎市の田上富久市長は「核兵器廃絶に向けて力強くリーダーシップを取るきっかけにしてほしい」と求めた。
[日経新聞10月22日夕刊P.15]
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日本、国際世論に配慮 核兵器不使用声明に賛同
2013/10/22 23:59
国連総会第1委員会で21日発表された核兵器不使用への決意を示す共同声明に、日本政府が賛同した。唯一の被爆国でありながら、米国の「核の傘」に依存している日本は同趣旨の声明に加わってこなかった。あえて参加したのは、平和への積極姿勢を示すことで国際世論の評価を高めるためだった。
声明はニュージーランドの主導で過去最多の125カ国が参加。米英仏やロシア、中国、インドといった核保有国、ドイツなど米国の主要な同盟国は賛同しなかった。
同様の声明は昨年5月以降、国連や核拡散防止条約(NPT)再検討会議の関連会合で発表され、今回は4度目だった。安倍晋三首相の強い指示を受け、広島が地元の岸田文雄外相が声明参加に向けて各国と調整した。
今回の声明の拘束力は乏しい。第1委員会は軍縮を議論する場だが、発表した声明がそのまま国連やNPTの決定になるわけではない。4月のNPT関連会合での声明に加わった80カ国から、参加国数が大幅に増えた背景の一つでもある。
文言の解釈も幅広い。例えば、声明は日本の働きかけで「核軍縮に向けたすべてのアプローチや努力を支えなければならない」と明記した。「すべてのアプローチ」なら、核抑止力に頼りながら核保有国に漸進的な核軍縮を求めている日本の政策とも矛盾しない。
日本と同じ米国の同盟国であるオーストラリアは声明に加わらず、核兵器の人道的影響と安全保障の重要性の両方を訴える別の声明を発表。米国の核の傘にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国など17カ国が賛同。日本も参加し、対米配慮のバランスをとった。
日本は被爆地と海外の世論から批判を浴びていた。中国、韓国との対立が続く中、国際世論の評価を高める必要がある。安倍政権は女性の人権問題など国際社会の賛同が得やすいテーマでの発信を強めている。核軍縮で積極姿勢を印象付けたいのも、その流れにある。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS22027_S3A021C1PP8000/
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