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2013/10/22 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
景気のいい話が飛び交っている。
都内の一等地に分譲された最高5億4000万円の億ション22戸が、即日完売したと話題になっている。しかも、購入希望者が殺到し、平均5・1倍の競争率だったそうだ。株価も再び上昇しはじめている。10月7日に1万3853円だった株価は、あれよあれよという間に1万4693円へと、2週間で840円も値上がりした。証券業界は「年内1万8000円だ」と沸き立っている。
「株価は5月をピークに足踏みしていました。ところが、2020年東京オリンピックが決まったこともあってジワジワと上がりはじめています。安倍首相が国会で“雇用が増えた”“賃金を上げる”と、アベノミクスの成果を大々的に宣伝していることも大きい。ここ最近、大手メディアの報道も“高級食パンが売れている”など、景気回復を裏付ける記事が目につく。個人投資家は、強気になっています」(大手証券マン)
大新聞には「マンション発売戸数 77%増」「株、相次ぎ今年の高値」「大卒内定3年連続増」と、景気のいい話があふれている。だからだろう。世論調査では、安倍政権の経済政策を「評価する」58%、「評価しない」30%と、国民の6割がアベノミクスを支持している状況だ。
◇60年前と変わらない国民性
しかし、本当に景気は回復しているのか、この先、好景気になるのか、疑問だらけだ。
そもそも、アベノミクスを支持している国民だって、自分の生活は良くなっていないはずだ。「景気回復を実感していない」は、79%に達している。
実際、労働者の「基本給」は、安倍政権がスタートしてから9カ月間、毎月ダウンしている。安倍首相は「有効求人倍率が上向いた」と国会で胸を張っているが、増えたのは非正規雇用だけで、正社員は減っている。雇用も悪化しているのだ。
なのに、なぜ国民はアベノミクスを支持し、期待しているのか。東大教授の石田英敬氏(メディア論)が、「安倍人気」について朝日新聞で面白い分析をしている。
〈(アベノミクスが)開始されてしまったら否も応もない。失敗させるわけにはいかないから、経済界や経済紙…(略)…は成功に向けて動くしかありません。アベノミクス効果をうたい、称賛し、人々の景気回復への期待をどんどん膨らませ…(略)…それが実際に株価上昇という現実をつくり出し、さらなる期待を醸成する〉
〈この「期待の螺旋」の裏側は、「期待をしぼませるようなネガティブなことは言ってはいけない」という「沈黙の螺旋」で出来ています〉
要するに、安倍政権と大手メディアが結託し、都合の悪い事実には口をつぐみ、アベノミクスの成果だけを煽っているというわけだ。
「いまの日本は、戦前と酷似しています」と政治評論家の森田実氏がこう言う。
「戦時中、本土を空襲されても、国民は『勝った、勝った』という大本営発表を疑わず、最後まで『日本は勝つ』と信じ込んでいた。たとえ疑問を持っても、勝って欲しいと期待するしかなかった、ということもあります。いまの日本は、当時とソックリです。政府とメディアが、アベノミクスは成功していると喧伝し、国民は真に受けている」
2020年の東京五輪が決まったこともあって、「7年間は景気がいいぞ」と、ますますアベノミクスに期待する声が大きくなっている。政府とメディアを簡単に信じてしまう日本人の国民性は、60年前と少しも変わっていない。
◇「資産バブル」だけを引き起こす
デフレ不況に15年間も苦しんできただけに、国民がアベノミクスに期待したい気持ちはよく分かる。しかし、アベノミクスでは景気は回復しない。行き詰まるのは、時間の問題だ。
アベノミクスは、簡単に言えば、カネをジャブジャブにすることでデフレ不況から脱出しようという発想である。
日銀の黒田東彦総裁は、マネーの供給量を2年間で2倍にすると宣言している。
しかし、カネをジャブジャブにしても、一時的な“資産バブル”を引き起こすだけのことだ。
「日銀が大量にバラまくカネが、企業の貸し出しに回れば、景気浮揚につながります。しかし、黒田総裁が“広がりが見られない”と漏らしたように、貸し出しはほとんど増えていない。企業の資金需要がないのです。有り余ったカネは、行き場を失い、株と不動産に流れている。結局、ひと握りの富裕層が“資産バブル”で潤っているだけのこと。労働者の基本給が下がりつづけているのに、億ションが即日完売しているありさまです。しかし、庶民の給料がアップし、GDPの6割を占める個人消費が活発にならなければ、ホンモノの景気回復は望めない。実体経済が良くならなければ、資産バブルだって崩壊するだけです」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
景気を回復させるためには具体的な成長戦略が欠かせない。なのに、安倍首相は打ち出そうともしない。金融緩和だけで景気が回復するわけがないのだ。
◇アベノミクスの失敗は米国が証明
いい加減、国民は目を覚ますべきだ。いつまでもペテンのようなアベノミクスに期待しているようでは、どうにもならない。
金融緩和の限界は、すでにアメリカで証明されている。リーマン・ショックに直撃されたアメリカは、5年前からFRBが大胆な金融緩和をつづけているが、失業率は7・3%とFRBが目標にしている6・5%から程遠いままだ。いまでは、金融緩和をやめたいのに、やめた時のショックを恐れて「出口戦略」が見つからないジレンマに陥っている。
しかも、安倍首相は、4月から消費税率を8%にアップすることを決めたのだから狂気の沙汰だ。国民生活が一気に苦しくなるのは間違いない。
「消費税率8%は、8兆円の大増税です。国民1人当たり年間5万円、家族4人だと20万円の負担増になる。ニッチもサッチもいかなくなる世帯が続出するでしょう。その一方で、安倍首相は法人税を減税するつもりです。さらに、大企業が収益を上げられるように、いずれは社員のクビを簡単に切れるように法改正する方針でいる。株や土地が値上がりしようが、庶民にアベノミクスの恩恵が行き渡ることはありませんよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
庶民が台風や原発、震災に苦しんでいるというのに、社員を酷使してボロ儲けしている企業経営者のなかには、アベノミクスに便乗して、資産バブルで一儲けしようと企んでいる連中も多い。そんな歪んだ経済政策が成功するはずがない。もし、成功したら、この世には神も仏もいないということだ。戦前、大本営発表を信じた結果どうなったか、国民はよく考えるべきだ。
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