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維新の会は石原私党か
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/10/20)」★ :本音言いまっせー!
臨時国会は先週、安倍総理の所信表明演説とそれに対する各党の
代表質問が行われ、第一ラウンドを終えた。
7月の参議院選挙後、日本の政治はまるで安倍総理のワンマンショー
だったが、久しぶりに野党政治家の顔を見た。
しかし消費増税、経済対策、TPP,汚染水、憲法などの諸問題を
巡る議論で、安倍政権の考え方が具体的に浮き彫りにされたとは
言えない。安倍総理は言質を取られないよう官僚が作成した答弁書を
読み上げ、「明るい未来に向かって頑張る」とのポーズを示した
だけである。
具体性のない答弁の繰り返しを見ていると、これが第一ラウンドに
過ぎないにしても、代表質問という制度そのものが無意味なものに
思えてくる。今、国会では「国会改革」と称して審議の効率化が
叫ばれている。総理演説を衆参の本会議場で別々にやるのはおかしい
とか、国会に総理や閣僚が出席する時間を制限しようとする動きがある。
フーテンは一部には賛成だが、そもそも国会審議が国民のためにある事
を思えば、的外れの部分もあると考えている。総理演説を衆参別々に
やる必要はない。それはその通りである。天皇が臨席する国会の開会式
は衆参全議員が出席して行われる。党首討論も衆参の議員が共に出席する。
総理演説だけ別々でなければならない理屈はない。
もし代表質問を別々にやるから総理演説も別々にというのなら、
形式に過ぎない代表質問は廃止すれば良い。そして総理に対する質問は
英国議会のように毎週必ず行い、質問者も党首に限らないようにする
のが良い。英国議会の「クエスチョンタイム」は野党党首と首相との
一騎打ちになることが多いが、一般議員も質問できる事になっている。
世の中は刻々変化する。国会の冒頭で総理が行った演説に対する質問
だけでなく、その時々に発生する問題に総理がどのような考えを
持っているかを国民に知らせる事は重要である。また「質疑」は
「疑問点を質す」という意味で「討論」ではない。
国会で総理の考えを聞く際には「質疑」ではなく「討論」を行って
もらう方が国民には理解しやすい。
その意味でNHKが「国会中継」と称して放送する予算委員会の
「基本的質疑」も不十分である。そこでは何の「討論」も行われて
いない。そもそも予算委員会で予算とは関係のない「質疑」をやって
いること自体がおかしい。そんなことをやっているから国民に最も
大事な税金の使い道についての関心が薄くなる。それを「改革」する
のが「国会改革」であり、総理や閣僚が国会に縛り付けられているのが
おかしいなどと低レベルの問題に終始している場合ではないと思う。
ところでフーテンが無意味さを感じる代表質問だが、現行の仕組みでは
総理の演説に対し、各党の代表者が党を代表して質問するのが建前で
ある。ところが日本維新の会の石原共同代表は、個人の積年の思いを
演説しただけで、所信に対する質問とは思えなかった。
これを聞いていると日本維新の会は公党ではなくまるで石原私党に
見える。
石原氏は代表質問を終戦の日のニューヨーク・タイムズ紙の社説の話
から始めた。社説には漫画も掲載されていて、巨大で醜い怪獣の口を
開けさせ牙を抜く米兵が描かれている。そして「怪獣はまだ生きて
いる。我々はいかなる手段を使っても怪獣を解体しなければならない」
とのコメントが付けられていたという話である。怪獣はもちろん
日本を指す。
これは20年以上前に衆議院憲法調査会で東京都知事をしていた石原氏
が証言した内容の繰り返しである。当時、私は他の証言者も含めて
石原氏の証言内容を『衆議院憲法調査会証言集〜国のゆくえ』
(現代書館)という本にして発行した。この石原氏の話には私も全く
同感で、私が10年以上見てきた米国議会の議論や知り合いのアメリカ人
の話からアメリカの日本を見る目は今でもその通りだと思う。
ロシアや中国はアメリカにとって怪獣ではない。
しかし日本は理解不能で不気味な怪獣であり、永遠に解体作業をやめては
ならない対象なのである。ところがそこから先の話になると私と石原氏の
認識はころりと正反対になる。尖閣諸島の領有権が問題になったのを
石原氏は中国の一方的な侵略的意図だと言うが、私はむしろニクソン政権
の対中外交がそうさせたとみている。
アメリカの歴史学者マイケル・シャラーも指摘しているが、1971年の
米中和解で台湾はアメリカに切り捨てられ、72年に沖縄が日本に
返還された。その中で現在の尖閣問題の下地は作られた。
台湾が尖閣の領有権を主張し始めるのは71年である。自分たちを切り
捨てたアメリカが日本に領有権を引き渡す事を阻止するためで、
その時まだ中国は領有権を主張していない。
そして沖縄の施政権を持っていたアメリカは米中和解交渉の中で、日本に
沖縄を返還しても、尖閣の領有権にアメリカは中立の立場を取る事を
中国に表明した。当時の佐藤政権は尖閣問題でアメリカが中国寄りに
転じた事に衝撃を受けた。シャラーはアメリカ側資料に基づいて日米関係
を調べ、そのように指摘している。
ところが石原氏はアメリカが永続的に日本の解体作業を続けている事を
認識しながら、それをころりと忘れたかのように、尖閣問題をアメリカに
すがって解決しようとするのである。この一貫性のなさをどう理解すれば
良いのか。石原氏は党を代表する質問で個人の考えを披歴したが、
党所属議員はこの一貫性のない考えに全員同調しているのだろうか。
維新の会を自らの補完勢力と考えているだろう安倍総理は石原氏に対して
極めて官僚的な答弁に終始した。
代表質問でフーテンの印象に残ったのはこの部分だけである。
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