05. 2013年10月18日 18:31:28
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交渉は一気にしらけムードに そんな中、オバマ米大統領が国内の財政問題を理由に欠席。予定されていたマレーシア訪問も見送られた。国有企業の問題などを抱えるマレーシアでは、5月の総選挙でTPPに反対する野党が得票数で与党を上回ったこともあり、TPP交渉に対し強硬な姿勢を示し始めている。バリ島でナジブ首相が、公然と「年内の妥結は時間的な余裕がなく、困難」との考えを表明し、またオバマ米大統領の欠席も相まって、一部では「ドーハラウンド化」(※)とも言われ始めているという。(※)ドーハラウンド WTO(世界貿易機関)による多角的な貿易自由化交渉。1994年のウルグアイラウンド合意成立後、2001年、ドーハで行われた閣僚会議で開始が決定された。 交渉分野は、農業・非農産品の関税引き下げ、サービス貿易の自由化、途上国の開発促進や環境関連物品・サービスの自由化まで多岐にわたる。そのため、新興途上国と先進国、輸出国と輸入国など、交渉分野によって各国が複雑に対立し、交渉は難航・長期化。議論は膠着し、2008年7月には農業・鉱工業分野での交渉が決裂した。 参考:コトバンク・外務省HP 12月に政治的決着の懸念も しかし一方で、「ひょっとすると12月会合で一気に政治的決着が図られるおそれ」もあることから、今後の動きを注視していく必要があるという。 篠原議員は、前のめりで年内妥結を目指す安倍政権の動きを問題視。西川公也・自民党TPP対策委員長が6日バリ島現地で、重要5項目(聖域)の関税撤廃ができるか検討する意向を示したことや、石破茂幹事長が重要5項目を選り分けて一部の加工品はゼロにする可能性に言及したことについて、「自民党は聖域をなし崩しにする魂胆である」と厳しく批判した。 また、西川委員長発言の狙いとして、「農業だけの問題に矮小化し、国家の主権を脅かすISDの問題など、他の重要課題から注目を逸らせる、役人がよく使う手ではないか」と分析。「そのうえで政府は農産品の関税について『先送り』し、大枠で政治決着させ、国内向けに『農業を守りきった』と嘘をつくのではないか」と語った。 「悪魔は細部に住んでいる」 一方TPP阻止国民会議の事務局長を務める、首藤信彦 前衆議院議員は、この重要5項目の問題自体も重大な危険性を孕んでいると指摘した。 多国籍企業を長年研究している首藤氏は、「コメをブロックしても、例えばウォルマートなどが全国展開し、コメに色んなものを混ぜた『ピラフ米』のような半製品を輸入すれば、ふるいにかけてそこからコメだけを取り出せば、市場価格の数分の1で売ることができてしまう」と、マレーシア議員の指摘を紹介。「これまではそうした汚いやり口は農水省や経産省が取り締まる。TPPにはISDがある。『本来売れるものが売れなかった』として政府が訴えられる可能性がある」と指摘した。 首藤氏は、「悪魔は細部に住んでいる」というマレーシア議員の言葉をあげ、「信じられない細かい所に、その産業全体を牛耳るような悪魔が隠れている」と語り、重要5項目の細部の品目まで詳細に見ていく必要性を訴えた。 12月会合は日本で? TPP交渉は、12月上旬にバリ島で開催予定のWTO関係閣僚会議で、TPP関係閣僚会合を持つことが検討されているが、現状インドネシアは渋っている。マレーシアも国内の反対運動の高まりで難しい。篠原議員は、「もし日本で開催となれば、ベトナムなどから『そこまでして年内妥結したいのか』と批判を浴びる。絶対にすべきではない」と強調した。 また首藤氏も、「間違っても日本で開催とならぬよう、ましてやその費用(海外出席者の渡航費など)を日本側が出すなどということにならぬよう、現職の議員のみなさんには頑張っていただきたい」と語り、報告会を締めくくった。(IWJ・佐々木隼也) ☮http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107157 |