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安倍首相の英語スピーチは東京五輪招致に貢献したが…(AP)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131016/plt1310160723000-n1.htm
2013.10.16
★(1)
東京五輪招致の成功は、安倍晋三首相の不安材料をとりあえず先延ばしにした。首相自身のスピーチも含めて、IOC(国際オリンピック委員会)総会での日本代表団のプレゼンは、中身が真実かとか、安請け合いだったとかは別として、誘致成功のためには誠に見事なものだった。
「戦後レジームからの脱却」とちょっと方向が違うのが皮肉だが、何人かがフランス語で演説したことなど、西欧文明の価値観に寄り添う姿勢を示したことは、日本のあるべき姿を示していたと私は思う。JALのエアバス機購入決定もそうだが、中国に傾きがちだったヨーロッパに楔(くさび)を打ち込むことになったのではないか。
安倍首相のスピーチを、スイスで教育を受けてきた在欧日本人大学生が「古代ローマの雄弁家キケロばりの雄弁術」とブログで褒めていたのを見て、なるほどと思った。
きちんと暗記をして、格調高く身ぶり手ぶりを交え、強調すべきところはゆっくり話したのが良かった。福島第1原発を冒頭に持ってきたのは、攻勢防御として最善だった。スポーツ精神の世界的向上への貢献を意義として上げたことも、消去法に留まらない支持を得る材料になった。
日本の政治家が英語でもっと長い演説をできるようになれば、国益を大いに増進することになるだろう。近代日本の初代首相に伊藤博文がなったときすでに、語学力も決め手だった。まして、国際化時代なのだから、これから首相になろうという政治家は、積極的に語学力を磨く努力する風潮にならないとおかしい。
そして、五輪招致成功によって、日本人が景気が良くなると感じたことは、それが正しい見通しかどうかは別にして、消費税引き上げについて、経済ブレーンの保身による間違った助言で、安倍首相が非常識な判断をすることを回避させた。
また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の受け入れについても、五輪というグローバリズムの祭典を迎えることの高揚感が、行き過ぎた「国内の既得権保護」に固執することの歯止めになるだろう。
外交政策においても、五輪が無事開催され、ボイコットを受けないように配慮せざるを得なくなる。それは、国内の不満のはけ口を外交に求める愚に走らないために好影響を与えるだろう。福島原発問題への対処でも、常に海外の眼を意識するようになれば好ましい。
いいことだらけなのだが、そういうムードだけで内外の難問が解決するものでもない。五輪の弊害も相当ある。そのあたりを、明日以降、解説しよう。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「世界の王室うんちく大全」(平凡社新書)、「本当は偉くない? 世界の歴史人物」(ソフトバンク新書)など多数。
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