http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/858.html
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東南アジアの元慰安婦から聞き取りをしない外務省の方針を各大使館に伝えた文書。「関心を徒に煽ることを避けたい」とある :朝日新聞
慰安婦問題に関する朝日の大スクープとその限界
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64216842.html
★「天木直人氏の視点ー(2013/10/13)★ :本音言いまっせー!
きょう10月13日の朝日新聞は一面と二面を割いて慰安婦問題に
ついての日本政府のダブルスタンダードについて一大スクープ調査記事
を掲載した。
すなわち宮沢政権は一方において河野談話で日本が慰安婦問題を認め、
謝罪し、更なる調査を行うと発表しておきながら、その一方で、聞き取り
調査を行うどころか騒ぎがこれ以上アジアに広がらないように
日本大使館を通じて慰安婦問題の拡大阻止の工作をしていたというのだ。
私がこのスクープを評価するのは、朝日がこのスクープ記事を外務省
が情報公開した極秘公電を丹念に読み解いて、それに基づき関係者への
取材を重ねて記事にした事である。
調査報道の真髄がここにある。
情報公開された機密文書は情報の宝の山であるということだ。
どんなに外務省が注意して極秘文書を精査し、これなら大丈夫と
思って公開しても不都合な情報を公開してしまうことは避けられない
ということだ(実はそんな質の高い仕事をすることなくいい加減な判断
で公開して後で後悔する、その繰り返しであるほうが当たっている
と思う)。
実は私も朝日の記者からこの件で取材を受けた一人である。
当時私は在マレーシアの公使をしていたということで取材対象に
なったというわけだ。
私のことだから知っていればすべて話しただろう。
しかし外務省が工作を始めたのは私がマレーシアの日本大使館を
去った後だったから取材に答えられる情報は持ち合わせていなかった。
その取材の時、朝日の記者が見せてくれた膨大な機密解除の公電を
見て驚いた。
紛れもない極秘電報のコピーの数々である。
かつての同僚たちの名前が並び、かつての同僚たちの書いた報告電が
すべて公開されている。
この朝日のスクープ調査記事が教えてくれている事は、朝日が書いて
いるように、河野談話を発表した宮沢内閣でさえ、本気で慰安婦問題を
調べ、解決しようという政治的覚悟がなかったということだ。
以来この国の慰安婦問題についての政治的決断のなさは今日まで
続いている。
そして、慰安婦問題について最も熱心に取り組んでいる朝日新聞で
さえも、慰安婦問題についての根本的解決を提示できないでいる。
ここからが、このメルマガの本旨である。
このスクープ記事にタイミングを合わせ、きょうの朝日はその社説で
「慰安婦問題 政治の意思があれば」と題して、まぼろしに終った
野田民主党政権と李明博政権次代の政治決着について書いている。
政治的決着が両政権の交代で合意に至らなかった事を残念だといい、
安定した政治基盤を持つ安倍政権こそ政治決断をすべきだと書いている。
そこまではいい。
しかし朝日は何が政治決断であるかを一切語らない。
それどころか日韓政府関係者から取材したまぼろしに終った
野田・李明博政権下の政治合意案を引用し、それを評価している。
すなわち駐韓日本大使が元慰安婦に会って謝罪する。
それを受けて日韓首脳が首脳会談を開き、日本側が政府予算を原資
とする償い金などの人道的措置をとる。
これである。
10月8日の朝日新聞紙上で斉藤つよし元民主党官房副長官が自慢気
に語っているまぼろしの政治合意(10月9日メルマガ第750号参照)
の焼き直しである。
これではいままでの解決策とほとんど変わらない。
こんな中途半端な案で朝日は慰安婦問題が解決されると思っているの
だろうか。
李明博政権はこんな中途半端な案で韓国国民を満足させられるとでも
本気で思っていたというのか。
日韓間に横たわる歴史認識問題は慰安婦問題だけではない。
日本の占領下にある韓国国民に対する個人補償問題にまで発展して
いる。
韓国政府は韓国最高裁判決によって日本との再交渉を求められている。
おりしも慰安婦問題については、韓国女性家族相が国連総会
第3委員会(人権)で日本の法的責任を追及し、米国各地には
韓国ロビーによって慰安婦像がつくられあたかもナチスの犯罪の如く
日本の罪が未来永劫に糾弾されるがごとくだ。
こんなことを日本政府が放置していてはいけない。
将来の日本国民のためにも、今の政府は嵐が過ぎ去るのを首を
すくめて待つような真似を繰り返してはいけない。
もはや中途半端な解決は許されないのだ。
朝日は安倍政権に、いまこそ原点に立ち返って日韓基本条約の再交渉
を始めるべきだと詰め寄るべきだ。
再交渉が困難な事であることは事実だ。
しかしそれは韓国政府にとっても同様である。
再交渉が日本にとって不利になるだけではない。
韓国もまた譲歩を迫られることになる。
これまで日本が韓国に行なってきた正負の両面を総合的に判断し、
それを新たな国家間の合意に反映すればいいのだ。
それは時間のかかる厄介な交渉になるだろう。
しかしもはや健全で公平な日韓両国関係を築く事にはそれしかない。
そしてそれこそが安倍首相が提唱しているところの戦後レジームの
チェンジなのである。
日韓関係の正しい形を安倍政権に提示できない朝日新聞は、どんな
スクープ記事を書いてみたところで日本の国益に資するメディアとは
ならないことを知るべきである。
◇
慰安婦問題の拡大阻止 92〜93年、東南アで調査せず
http://www.asahi.com/politics/update/1013/TKY201310120357.html
2013年10月13日8時29分 朝日新聞
外務省からインドネシア側への抗議を記録した1992年7月14日の外交文書。兵士の処罰を求める発言を「驚き」と批判している
http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/16994.jpg
旧日本軍の慰安婦問題が日韓間で政治問題になり始めた1992〜93年、日本政府が他国への拡大を防ぐため、韓国で実施した聞き取り調査を東南アジアでは回避していたことが、朝日新聞が情報公開で入手した外交文書や政府関係者への取材で分かった。韓国以外でも調査を進めるという当時の公式見解と矛盾するものだ。
「河野談話」が出る直前の93年7月30日付の極秘公電によると、武藤嘉文外相(当時)は日本政府が韓国で実施した被害者からの聞き取り調査に関連し、フィリピン、インドネシア、マレーシアにある日本大使館に「関心を徒(いたずら)に煽(あお)る結果となることを回避するとの観点からもできるだけ避けたい」として、3カ国では実施しない方針を伝えていた。
日本政府は当時、内閣外政審議室長が「(調査)対象を朝鮮半島に限っていない」と答弁するなど、韓国以外でも真相究明を進める姿勢を示していたが、水面下では問題の波及を防ごうとしていたことになる。
インドネシア政府が日本政府の慰安婦問題の調査は不十分などと抗議する声明を出したことについて、外務省の林景一南東アジア2課長(現駐英大使)が92年7月14日にインドネシアの在京公使に申し入れた内容を記す文書もあった。
林氏は「信用できないと断定されたに等しく、残念」と抗議。両政府間で戦争賠償は決着しており、慰安婦への補償を求められることは「ありえない」と批判した。さらにインドネシア政府の担当者が声明を発表した際、旧日本兵の処罰を求める発言をしたことに触れ、「韓国ですら問題にしていない。かかる発言は驚き」と非難した。
当時の宮沢内閣で慰安婦問題を仕切った政府高官は「問題が大きくなっていた韓国以外には広げたくなかった。問題をほじくり返し、他国との関係を不安定にしたくなかった」と語る。
■韓国と別対応、収束急ぐ
《解説》被害者は韓国女性に限らないのに、慰安婦問題は「日韓の政治問題」という印象が定着した。背景には、日本批判が高まった韓国と他国を切り離して対応し、事態の収束を急ぐ日本の外交方針があった。
当時の宮沢内閣は役所に眠る資料を探し、韓国では聞き取り調査をした。韓国世論の高まりに対処するための異例の態勢だった。その韓国では今も慰安婦問題は収まっていない。
一方、韓国に刺激されて世論が高まり始めた東南アジアでは真相解明に後ろ向きで、聞き取り調査をしなかった。戦場だった国々に慰安婦問題が波及して深刻な実態が明らかになるのを恐れた、と当時の政府高官は明かす。東南アジア諸国も経済発展を優先し、途上国援助(ODA)を受ける日本政府との関係悪化を恐れて政治問題化を避けた。
政府間の思惑が一致した結果、置き去りにされたのは被害者だ。今夏、インドネシアで彼女らを取材した。大半は90歳前後。インドネシアでは、日本政府が主導したアジア女性基金の「償い金」は同国の意向で元慰安婦に渡らず、元慰安婦に限定しない福祉事業にほぼとどまった。救済どころか、実態調査さえ行われていない。これが20年後の現実だ。
◇
〈慰安婦問題〉 旧日本軍の要請などにより各地に慰安所が設けられた。加藤紘一官房長官は92年7月、政府の関与を認める調査結果を発表。河野洋平官房長官は93年8月の談話で「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」と認めた。
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