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「聖域」に手を触れる自民党
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64216435.html
★「田中良紹氏の視点ー(2013/10/12)」★ :本音言いまっせー!
「聖域」を辞書で引くと「神聖な地域」、「手を触れてはならない場所」
とある。自民党は選挙でTPP交渉には「聖域がある」と言ってきた。
コメ、麦、砂糖、乳製品、牛豚肉の5分野で関税が引き下げられることが
あれば、即刻交渉から離脱すると約束した。ところが自民党は手を
触れてはならない場所に手を触れるらしい。
自民党が「聖域」としてきた5分野には、TPP交渉で関税撤廃の対象
となる品目の6.5%にあたる586品目がある。それを「聖域」にすれば
日本の関税撤廃の上限は93.5%となる。
しかしTPPは「例外なき関税撤廃」を目的とするもので、
初めから「聖域」の存在など認めていない。
それでも自民党が「聖域」を設けたのは、交渉力によって上限の93.5%
を参加各国に認めさせると国民に約束した事になる。フーテンは3月に
「TPPの交渉力」を書いて、安倍政権に対米交渉力など持てるはずがない
事を過去の事例から解説した。その時TPP交渉は国民を騙すための
茶番劇であるとも書いた。事態はフーテンの指摘した通りに動いている。
そもそも安倍政権を「右傾化」とか「保守化」とだけ見るのは間違いである。
安倍政権誕生直後にフーテンは「保守化と言うより従属化」を書いたが、
この政権はアメリカに従属して日本の伝統的価値観を破壊する「反保守」
の政権でもある。日米同盟を至上命題のように言う政権が日本の国益を
守れるはずはない。
TPP交渉で日本の国益を守るとはどういう事か。TPP交渉を主導する
のはアメリカである。参加各国はみな自国の利益を追求するが、日本が
最もぶつかる相手もアメリカである。従ってアメリカの裏をかかなければ
国益を守る事は出来ない。
かたくなに交渉参加を拒否してアメリカと対立するのも賢くない。
「江戸の仇を長崎で」ではないが、思わぬ報復を受ける恐れがある。
むしろアメリカと同じ土俵に乗り、アメリカの顔を立てるように
見せながら、しかし実を取る。それが交渉力というものである。
アメリカの言いなりにならないためには国内の反対勢力を勢いづかせ、
それを交渉に利用する事である。冷戦時代の自民党と社会党はその役割
分担が絶妙だった。アメリカは日本の交渉力に翻弄され、経済交渉で
連戦連敗を重ねた。冷戦の勝利者はアメリカではなく日本だとアメリカに
言わせたほどである。自民党は選挙で決して社会党の議席数を
減らさないよう配慮した。それが国益を守る道なのである。
ところが中曽根政権がその構図を変えた。イデオロギーを前面に掲げた
中曽根総理は野党勢力の力を削ぐことに力を入れ、86年のダブル選挙で
300議席を超す大勝利を収めた。すると直後にアメリカはコメ自由化を
要求してきた。日本の交渉力が弱まったと見たのである。
親米路線を採る中曽根政権は拒否できない。反対勢力の力も減退した。
日本は要求を跳ね返す事が出来ずに、必要のない外国産米を輸入する
ようになり、無駄な税金を支出している。
郵政選挙で大勝した小泉政権も同じようにアメリカの言いなりになり、
300兆円の国民貯金をハゲタカの危険にさらす事になった。
フーテンが3月に「TPPの交渉力」を書いたのは、安倍自民党を
参議院選挙で大勝させれば交渉力を弱めることになると警告したつもり
だったが、自公両党は「ねじれ」を解消して安定政権を作ることが交渉力
を強めると真逆のことを主張した。
全く政治のイロハの分からない政治家が増えたとフーテンはため息をつく。
冷戦時代と比べて急速に日本政治は幼稚化している。
国民にそれを理解させるのは難しいにしても、学者、評論家、メディア
の能力が恐ろしく劣化したのである。参議院選挙で「ねじれ」が消え政権
が安定化したために、フーテンが懸念した通り日本の交渉力は弱まった。
安倍総理は「TPPの年内妥結に向けて日本が主導的役割を果たしていく
べきだ」と発言した。TPPの年内妥結を目指しているのはアメリカ
だから、日本はアメリカに全面協力する姿勢を明らかにした事になる。
もはや交渉から撤退する姿勢を見せて相手を揺さぶる事など出来ない。
しかしこうした事態は初めから分かっていた。安倍政権は交渉力によって
国益を守る事など初めから考えてはいなかった。選挙前には「聖域」と
言いながら「聖域」でなくすることも初めから考えていた。
参議院選挙で「ねじれ」さえ解消してしまえば3年間は選挙がないため、
いかようにでも国民を騙すことができるからである。
怒る農家には「バラマキ」を用意すれば怒りを鎮める事ができる。
その作業を3年がかりでやれば良い。しかし農家への「バラマキ」に
使われるのは国民の税金である。それを国民に意識させないようにする。
そういう政治がこれまでも繰り返されてきたし、これからも繰り返されて
いく。
しかし国民が参議院選挙で与党を勝利させ、交渉力を弱めさせたのだから、
ツケが国民に回るのは自業自得とも言える。次の選挙でその過ちを繰り
返さないようにするしかない。むしろ忘れてならないのは「聖域」が
目くらましに使われる可能性である。「聖域」にばかり目を奪われていると、
より重要な国益が守られない恐れがある。
情報が極端に少ない中で妥結を急がれると、見逃される可能性は大きくなる。
目くらましに遭わないようフーテンは交渉の行方に目を凝らすつもりでいる。
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